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コックス・バザール近郊の絶景ポイント
120Km以上の長さを誇るコックス・バザールは、ホテルやレストランが立ち並ぶKolatoliポイントをはじめ、泳ぐのに最適なLaboniポイント、珊瑚のあるInaniポイントなど、それぞれ特徴のあるビーチが点在します。
ロングビーチを見下ろせる丘ヒムチョリ(Himchori)
特にオススメは、ヒムチョリという街です。平坦な土地のコックス・バザール周辺では珍しく海岸沿いに丘があり、地上で見るより遥か先までロングビーチを見渡すことができます。
ヒムチョリ一帯は国立公園に指定されており、手つかずの自然を堪能できます。入山料は日本円でおよそ30円です。
そしてこちらでは、バングラデシュでは珍しい滝を見ることができます。ヒムチョリ滝は、日本人から見ると「滝」と呼べるほどの規模ではありませんが、河川は多くても山のないバングラデシュでは希少な観光名所です。
ビーチにもすぐに降りることができ、静かなベンガル湾を楽しめます。
ヒムチョリは、コックス・バザールからオートリキシャを使って南へ20分ほどで行くことができます。左側の緑の乗り物がオートリキシャです。右は普通の自転車タクシーで、値段は安いですが道も悪いため時間がかかります。
コックス・バザールでのロヒンギャ難民問題
2016年に、隣国ミャンマーで警察が武装集団に襲撃される事件が起きました。ミャンマー政府がこの事件をロヒンギャ(ミャンマー西部に暮らすイスラム系少数民族)の犯行と断定した頃から、ミャンマー人による大規模な迫害が始まります。ロヒンギャの多く住むラカイン州では激しいジェノサイドが起こり、100万人近くもの難民が国境を越えバングラデシュのコックス・バザールへ到着しました。
- 出典:www.openstreetmap.org© OpenStreetMap contributors
コックス・バザールに設営された難民キャンプ
2017年にバングラデシュは、コックス・バザール郊外に80万人の難民を収容できるキャンプの設営を開始。2021年1月現在、34箇所に収容数を大きく上回る90万人以上のロヒンギャ難民が暮らしています。
そして、筆者が本記事を書いている正に最中(2021年2月1日現在)、ミャンマーでは国軍によるクーデターが起き、国家顧問や大統領が拘束されました。軍事政権に戻ってしまうと、ロヒンギャ難民はミャンマーへの帰還が更に難しくなるばかりか、既に100万近くといわれている難民がさらに膨れ上がる恐れもあります。
ベンガル人とロヒンギャ難民、そしてミャンマー人それぞれの感情
ロヒンギャ問題は根深く、先述した事件のみで起きた問題ではありません。これまでのイギリスによる植民地化や戦争の歴史の中で、翻弄されたロヒンギャ(旧アラカン)とベンガル人、ミャンマー(旧ビルマ)国民それぞれの感情が噴出した形ですので、一筋縄では解決できません。
コックス・バザールでは、当初こそ同じムスリムであるロヒンギャ難民を歓迎していましたが、それは比較的短期間でミャンマーへ戻るだろうという目算があってのことでした。難民滞在が長期に及んだことで、それでなくても貧困だった街は物価が上昇し、キャンプ設営のための森林伐採による環境破壊、雇用減少、治安悪化により、関係性が以前とは変わってきています。
難民キャンプはコックス・バザールの内陸部にあり、海岸沿いには設営されていません。また、ロヒンギャと呼ばれる人々は人懐こく純粋な民族ですが、用事のない限りキャンプへの訪問は避けた方が良さそうです。このような背景があるということを頭の片隅に入れて、安全に旅しましょう。
コックス・バザール観光に適した時期
毎年6~9月のモンスーン時期は、豪雨やハリケーンによる洪水、土砂災害が頻発します。比較的気候が安定し気温も高くない、11~1月の観光がおすすめです。
コックス・バザールの行き方
コックス・バザールは、国内線専用の小さな空港があります。
日本からバングラデシュ国際空港への直行便はないので、アジア各国を経由し、首都ダッカかチッタゴンより国内線へ乗り換えて行きます。