中南米

カリブの島はどこがいい?陽気レゲエでちょっぴり危険な「バルバドス」どこまでも静かな「アンティグア」

取材・写真・文:

東京在住
訪問エリア:186ヶ国

2019年9月4日更新

34,716view

お気に入り

写真:toshel

カリブ海には、大小様々な島がおよそ700あります。そのほとんどは欧米各国の領土で、独立国はわずか13カ国のみ。今回は、その中より対極にある2つの小さな島国をご紹介します。

この記事の目次表示

カリブ海の場所と島々の歴史

カリブ海の島は、北米大陸と南米大陸の中間海域に位置し、主に北方の東西に連なる大きな島(キューバやドミニカ共和国など)の大アンティル諸島と、東方の南北に連なる小アンティル諸島に大別されます。今回ご紹介するのは、バルバドスとアンティグアという独立国家で、両島とも小アンティル諸島に属します。

カリブ海の小アンティル諸島に住む人々は、ほとんどがアフリカから連れてこられた強制労働者(奴隷)の子孫です。今でこそ、この地を故郷として生まれ育ちますが、先祖は強制的に連れてこられ、プランテーションなどハードな仕事を強いられた奴隷です。故郷であるアフリカの大地に思いを馳せながら、帰国の術もなく彼の地で没し、さぞかし無念、辛い思いをされたことと思います。

  • 写真:toshel

そんな中からも、住民が蜂起して政治を起こし、単なる植民地の島から独立を獲得するまでに至らせた熱意や信念は、並々ならぬものだったのではないかと想像します。その背景には、悲しい歴史を背負わざるを得なかった先祖への思いもあったことでしょう。

そして、時を経て今やカリブの島々はどこも観光立国となっています。大自然の宝庫であり、眩いばかりの青い海、白い砂浜の広がる楽園は、この地へ訪れる世界中の人々を魅了しています。

  • 写真:toshel

同じ過去の境遇を経て今に至るカリブの国々も、島によって少しずつ特徴が変わります。それでは、まずはファンキーな国、バルバドスをご紹介します。

バルバドス

バルバドスは、小アンティル諸島の最東端に位置する国です。人口はおよそ28万人で、アフリカ系が92.4%、白人系が2.7%という人口比です。

バルバドスの歴史

バルバドス島は、コロンブスに発見されるまで、現在の南米大陸ガイアナやベネズエラからやってきたアラワク系民族が住み着いていました。コロンブス発見後、1500年にスペインが渡来すると、その先住民を一人残らずイスパニョーラ島(現在のハイチとドミニカ共和国)へ強制労働者として連れていきました。

無人と化していたこの島へ、1625年にイギリスが入植し、当時の植民地であったアイルランドから労働者を連れてきて、サトウキビのプランテーションを経営しはじめます。2年後、この島の領有権が認可されると、より安価な黒人奴隷をアフリカから大量に送り込み、強制労働させました。

時は過ぎ1930年。奴隷の子孫は統治していたイギリスへ政治参加を表明。1939年には自治議会を開設し、1966年、とうとうイギリスから英連邦王国として独立を果たします。

  • 写真:toshel旧市街中心部の英雄広場

現在も国家元首はイギリス国王ですが、行政は地元から選出された首相が担っています。

バルバドスの首都ブリッジタウン(旧市街は世界遺産)

イギリスの入植後、1628年にブリッジタウンが建設されました。世界遺産にも登録されている旧市街の歴史地区を散策してみます。

コロニアル建築の街

ブリッジタウンの旧市街は、イギリス統治時代のコロニアル建築が残る街です。これまで、幾度となく大火やハリケーンで破壊されましたが、当時の建物の外観そのままに再建してきたようです。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

国会議事堂

港に近いブリッジタウン旧市街中心地に建つ議事堂です。

  • 写真:toshel

1870年代初頭に、ネオゴシック様式で建てられたこちらの建物は、英連邦で3番目に古いとされています。時計塔がいかにもイギリスらしいですね。

  • 写真:toshel
国会議事堂
バルバドス / 建造物
住所:ブリッジタウン 国会議事堂地図で見る

チェンバレン橋とインディペンデンス・アーチ(Independence Arch)

チェンバレン橋は1872年に完成した古い橋で、船の往来が多かったブリッジタウンならではの旋回橋となっています。

  • 写真:toshel

インディペンデンス・アーチは、チェンバレン橋の南端にあります。1966年の独立後、21年間それを維持したことを記念して1987年に建てられました。

アーチ側面には、バルバドスを象徴する花と、国民的シンボルであるイルカとペリカンが描かれています。また、アーチの両側には1966年独立時の首相であり、現在は国民的英雄でもあるエロルウオルトンバローの肖像画。アーチ上部には、「産業の誇り」を掲げた島の紋章があります。

  • 写真:toshel

また、国家の公約がアーチの各列に刻まれ、バルバドスの人々にとってとても意味の深いアーチです。

サンダルス・アクア・センター(Sandals Aqua Centre)

運河沿いはボードウオークになっており、カフェが連なっています。昼間ともなると観光客が増え、ほとんどの人がバルバドスの地ビールを飲んでいます。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

ここから、大小様々なクルーザーが出港し、近隣にある無人島や沖へ海釣りへ行くことができます。

  • 写真:toshel

観光客を乗せて帰ってきたばかりのクルーザーが、釣ってきた魚を捌いています。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

捨てられる内臓などを求めてきたのか?カメもやってきました。

  • 写真:toshel
サンダルス・アクア・センター
バルバドス / その他スポット
住所:バルバドス地図で見る

アガペー・チョコレート工場(Agapey Chocolate Factory)

港のそばにある有名なチョコレート工場です。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

工場見学ツアーがあり、チョコレートのできるプロセスを学びながら作り、最後にはできたてのチョコレートを頂けますよ。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

ツアーは二人から申し込むことができ、値段は40US$(約4,200円)/2人です。予約はこちらから

アガペー・チョコレート工場
バルバドス / 工場・施設見学
住所:agapey chocolate factory地図で見る
Web:http://www.agapey.com/

カーライル湾(Carlisle Bay)

バルバドス島には60を超えるビーチがあり、マリンスポーツが盛んです。どこのビーチを覗いても、パドルボーディング、サーフィン、カイトサーフィン、ホビーキャットやカヤックでのセーリングをする観光客で賑わっています。早朝や夕方でも、散歩する人やリラックスする人で常に多くの人がいます。

首都の近くには、カーライル湾の海岸ビーチがあります。

  • 写真:toshel

バルバドスは、島全体がサンゴ礁でできているため、首都からすぐのビーチでも、水は透明で砂は白く細かいパウダーサンドです。

  • 写真:toshel

ダイビングも盛んで、1970年代に海岸近くで沈没したギリシャの船の残骸などを観に行くツアーが人気なのだとか。

カーライル湾
バルバドス / 自然・景勝地
住所:カーライル湾 バルバドス地図で見る
ブリッジタウン
バルバドス / 町・ストリート
住所:ブリッジタウン バルバドス地図で見る

次のページを読む

中南米の旅行予約はこちら


中南米のパッケージツアー(新幹線・飛行機付宿泊プラン)を探す

(南米)

(北米・中米)

中南米のホテルを探す

(南米)

(中米)

(南米)

(中米)

中南米の航空券を探す

中南米の現地アクティビティを探す

中南米のWi-Fiレンタルを探す

この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


【コロンビア・メデジン】世界で最も革新的な街に選ばれたメデジンおすすめ観光スポット6選

日本にはまだまだ馴染みの薄いコロンビアで旅行者に最も注目を浴びている街が、コロンビア第二の都市メデジン。見どころがたくさんある注目の街です。今回は、まだ情報の少...


【2023】ペルーの人気観光スポットTOP13!旅行好きが行っている観光地ランキング

マチュピチュやナスカの地上絵をはじめとする、ペルーの観光スポットを、トリップノートの8万9千人を超える旅行好きのトラベラー会員(2023年6月現在)が実際に行っ...

【ホンジュラス】世界屈指の犯罪都市テグシガルパ

世界の治安が悪い国ランキングなどを見ると、毎年必ず上位になってしまうホンジュラス。しかし、手つかずの美しい自然が多く、世界遺産に登録されたマヤ文明のコパン遺跡を...

アルゼンチン・ブラジル・パラグアイの国境が見られる三国国境展望台

南米大陸のアルゼンチン、ブラジル、パラグアイは、お互いが隣接している国です。その境目を見ることができるのが、三国国境展望台。島国日本では体験することができない、...

【コロンビア】悪魔の岩La Piedra Del Peñolから望む絶景を見に行こう

まだまだ日本人にはなじみの薄い国、南米・コロンビアはメキメキと観光客数が増加している注目の国です。そこで異彩を放つ巨大な岩La Piedra Del Peñol...

この記事を書いたトラベルライター

地球旅~現在186ヵ国~
行ったことのない国を中心にひとり旅しています。他国の歴史、文化、宗教、遺跡、そしてそこに住む人々の考え方に興味があります。

車の運転が好きなので、海外ではドライブ旅を楽しんでます。普段は会社員です。

【ホンジュラス】世界屈指の犯罪都市テグシガルパ

世界の治安が悪い国ランキングなどを見ると、毎年必ず上位になってしまうホンジュラス。しかし、手つかずの美しい自然が多く、世界遺産に登録されたマヤ文明のコパン遺跡を...


【レバノン】ベイルート・ビブロス・バールベックの見どころ

遠い昔、世界の中心が地中海にあった時代、レバノンは東西貿易の交差点となる重要な位置にあり、繁栄の極みにありました。古くから数多くの王様や将軍が、この土地を挙って...


【サウジアラビア】ついに観光ビザ解禁!閉ざされていた王国の珍しい文化と各都市の見どころ

観光での入国が困難だったサウジアラビアが、2019年9月27日に突然、ツーリストビザの発給開始を発表しました。今回は、サウジアラビアに古くからある慣習と文化、そ...

【ベネズエラ】世界の危険都市上位?首都カラカス

世界屈指の産油国にしてハイパーインフレーションに陥った南米の国ベネズエラ。かつて、スペイン植民地から独立へと導いた英雄「シモン・ボリバル」の生まれ育った街でもあ...

【リヒテンシュタイン】日帰りで行こう!ヨーロッパの小国

リヒテンシュタイン公国は、世界で6番目に面積の小さな国です。そして、この国の住人はわずか4万人弱と少ないですが、意外にも富裕国。今回は、山に囲まれ静かで美しいリ...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります