豊かな自然に囲まれたボスニア・ヘルツェゴヴィナには数本の鉄道路線があり、特に首都のサラエボと、透き通る川にかかる昔ながらの橋で有名なモスタルを結ぶ路線では、快適な特急列車から山々を超える景色を楽しむことができます。
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ボスニア・ヘルツェゴヴィナの鉄道にまつわる基礎知識
旅客路線は国内3路線
旧ユーゴスラビア諸国の一つであるボスニア・ヘルツェゴヴィナでは、近隣諸国各方面に向けて鉄道網が整備されていますが、2018年6月の時点では国際列車は運行されておらず、国内3路線のみが旅客輸送に使われています。
本数は少なめ
列車の本数は多くなく、例えばサラエボとモスタルを結ぶ列車は上下線合わせて1日に5本、サラエボと第二の都市バンニャルカを結ぶものは1日4本しかありません。これらの長距離列車は快適な特急となっています。
その他、短距離を結ぶ普通列車はサラエボ以北でのみ運行されており、それぞれの区間で1日に数本ずつとなっています。早朝に出発する列車もあるので、計画はしっかり行いましょう。
列車の種類:普通と特急
基本的には普通列車と特急列車の二つがありますが、サラエボから南へ向かう路線では特急列車のみが走っています。特急列車の場合は乗車距離にかかわらず1マルク(約70円)の追加料金を払う必要があります。普通列車は昔ながらの車両ですが、特急列車は数年前に改新された快適な車両です。
特急車内はWi-Fi、エアコン、電源プラグ完備!
近年新型車両に置き換えられた特急列車内には、普通列車には見られない設備が完備されており、快適な時を過ごすことができます。エアコンや掃除が行き届いたトイレはもちろんのこと、Wi-Fi(ネットワークは各車両ごと、パスワードは車内モニターに表示)や電源プラグ(座席と座席の間のひじ掛けの下)が備え付けられています。
ただし、取材時のサラエボとモスタル間の列車ではWi-Fiが途切れ途切れであったため、本格的なネット作業には向いていないかもしれません。
時刻表:公式ページの単純なシステムで確認
鉄道会社の公式サイトで時刻表等の情報を確認することができますが、システムが古く基本的な情報しか得ることができません。駅ごとの到着または発車時刻を確認することしかできず、列車ごとの停車駅と時刻を確認できないため少し使いづらいです。
混雑期には早めの切符購入を!
鉄道会社の公式サイト上からオンラインでの切符購入はできないため、鉄道会社と提携している旅行会社などを通して事前に手配しない限りは、現地で切符を購入する必要があります。
料金は事前でも当日でも変わらないため、普通列車の場合は乗車する際に駅で購入すれば問題ないですが、特急列車の場合は特に夏期などの繁忙期には切符が売り切れる場合もあるため、できる限り早めに購入することをお勧めします。
きれいな景色が楽しめるサラエボ⇔モスタル路線
ボスニア・ヘルツェゴヴィナは国の大部分が山間部であるため、どの路線に乗っても比較的きれいな景色を楽しむことができますが、特にサラエボとモスタルの区間は谷が深く、路線がヘアピン状にカーブしている区間では特に景色がきれいです。
お勧めの絶景・写真ポイント
標高差をカバーするために路線がヘアピン状に数回折り返す区間(サラエボからモスタルに向かう場合コニツ駅直前の15km程度の区間)では、直前に通過した区間を谷の向こうに見ることができます。
また、コニツ駅以降はしばらく湖沿いを走るため、そちらでも特にきれいな景色を楽しめます。湖沿いには数か所の橋があり、例えばコニツ駅からモスタル方面に5〜6km進んだところにある橋からは、湖と両側の山をあたかも湖の上にいるかのような感覚で見ることができます。
写真映えしそうな場所は多くあるのですが、それなりに速度が出ていることが多いことに加え、窓を開けることができないため、きれいな写真を撮るにはある程度の腕と運が必要です。写真を撮ることに夢中にならずに、思い出は自分の目で見て記憶にとどめる程度の意気込みで景色を楽しむのが良いでしょう。