旅行や出張で中国に行くといえば、北京、上海、広州、あたりがメジャーどころ。しかし、広い中国、同じ国内であっても、ところ違えば見どころや文化、食べ物も大きく違ってきます。内陸にある重慶市は、直轄市でありながら、日本ではその魅力がそれほど知られていない地域のひとつです。もとは四川省の一部だった重慶は、四川料理の本場であり、中国大陸を横断する長江が流れ、三国志の舞台であり、日本人にとっても魅力がいっぱい!地元の人たちの意見もふまえた、重慶に来たら楽しみたい10のことをご紹介します。
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重慶ってどんなところ?
重慶市は、以前は四川省の一部でしたが、現在は北京、上海、天津と並ぶ、直轄市(最高位の都市で、省と同格の一級行政区画)のひとつです。四川、陝西、湖北、湖南、貴州の5省に接する内陸市ですが、「市」といっても、面積は北海道(島嶼部含む)より少し小さいくらいの規模があり、世界最大の都市でもあります。
中国人や地元重慶人に「重慶といえば?」と聞いてみると、挙がるのは次のようなものごとです。
- 「中国三大かまど」のひとつで、夏は暑い
- 美人の産地
- 辛くておいしい重慶グルメ
- 美しい夜景
実際に観光やビジネスで重慶を訪れたら楽しみたいことをご提案します。
重慶に来たらやりたいこと10
1. 重慶火鍋で己の限界に挑戦する
日本でも近年食べられるようになった中国の「火鍋」。重慶の火鍋は中国国内でも特に有名です。重慶の人たちは、職場の会食や、友人と久しぶりに集まったとき、ちょっとしたお祝いごとのときなど、折に触れて火鍋を囲みます。重慶の代名詞ともいえる料理です。
ぐつぐつたぎるスープで、各種野菜や豚肉・牛肉、ホルモン、餃子などを煮込んで食べます。ごま油、練りごま、薬味などを好みで混ぜ合わせたタレを付けるのを忘れずに。
重慶火鍋の核心は「麻辣湯」と呼ばれる辛いスープですが、辛くない「白湯」のスープも併せて2種類食べられる鍋を注文することもできるので、辛いものが得意でない人ともいっしょにチャレンジできます。
2. 重慶小吃を堪能する
火鍋とならんで、現地の人も中国人観光客も大好きなのは、重慶ならではの軽食「小吃」です。とくに「小麺」は、日本のラーメンのような小麦粉の麺に、ラー油、唐辛子、花椒、漬物、薬味、にんにく、うまみ調味料などを合わせて食べます。スープありとなしが選べる場合も。
写真のように、大豆がトッピングされたものや肉そぼろがのっているものも、おいしいです。食べるときに、調味料と麺を底からしっかり混ぜるのがおいしく食べるコツ。軽食、と書きましたが大抵ボリュームがあるので、食事にしても十分おなかいっぱいになります。
他に有名な重慶小吃としては、担々麺や酸辣粉(唐辛子とお酢が効いたタレを絡ませて食べる、さつまいものでんぷんで作った太めの春雨)などがあります。人気店には人だかりができているので、ぜひ食べてみてください。
3.悠久の長江の流れを体感する
長江(揚子江)は中国大陸の南部・中部の広範囲を流域として東西方向に流れる大河です。重慶では、古くから長江の水運が利用されてきました。市の中心部では、長江の両岸にホテルや観光施設が立ち、大きな橋がかかっています。まちなかを移動していると、長江の存在感をしばしば感じさせられます。
そんな長江は、重慶観光の目玉のひとつでもあります。
長江遊覧船(三峡下り)
長江のダイナミックさを全身で感じるには、遊覧船に乗るのが一番です。朝天門から重慶郊外の他の地域や別の省に向かう遊覧船やクルーズで、日程も数時間のものから数日かけて下るものまで、さまざま。
広大な長江の流れ。もやがかった両岸の荒々しい岩肌。一幅の絵のような迫力満点の景観が眼前に広がります。
乗船するには、遊覧船ツアーを手配してくれる旅行代理店にインターネットで連絡してもいいですし、朝天門付近にも代理店の店舗が複数立ち並んでいますので、余裕があれば日程と予算に合わせて現地で相談してみるのもよいでしょう。
長江ロープウェー
長江上空を渡るロープウェーに乗れば、長江を上から眺めることができます。「長江観光を楽しみたいけど、船に乗る時間はないよ~」という人も、手軽に重慶の街を流れる長江を一望できてしまいます。
たかがロープウェーと侮るなかれ。地上の岸から見るのと上空から見るのとでは、印象がぐっと変わります。
乗車時間は2分程度です。一回につきかなりの人数が乗ることになるため、急いで最初のほうに乗り込むか、最後(ドア付近)に乗り込んで、窓際の位置を確保すると景色がしっかり楽しめます。
朝天門
重慶の中心市街には、支流である嘉陵江と長江本流との合流点があります。朝天門の埠頭付近は小さな広場になっており、この合流点を展望することができます。
嘉陵江は四川、甘粛、陝西省の山岳地帯から複数の支流を集めて南下し、この朝天門で長江に合流します。長江はここからおよそ東へ湖北省、江西省、湖南省、湖北省、江西省などを通って上海に至り、東シナ海にそそぎます。
朝天門広場に立って、合流点を見渡すと、一定の条件が整えば、左手の嘉陵江、右手の長江の水の色がくっきり異なる様子が肉眼でも確認できる場合があるようです。
4. 洪崖洞で古き良き重慶の雰囲気に浸る
嘉陵江に臨む洪崖洞(こうがいどう/ホンヤードン)は、重慶の古き良き文化を垣間見ることのできるスポットです。
重慶は、山がちな地形でも知られ、「山城」という異名もあるほどです。そのため、斜面から長い柱を突きたててその上に建物を建てる「吊脚楼」という建築様式が発達しました。
現在ではそのような伝統的な建築は見られなくなってしまいましたが、この洪崖洞では崖上7.5メートルにその建築様式が再現されています。屋内には、重慶小吃やみやげ屋さんなどが入っています。
夜には、山の斜面に、ライトアップされた吊脚楼の建物が浮かび上がります。フォトジェニックな、今どきの重慶っ子もいちおしの観光スポットです。
5. 山城・重慶の地形と暮らしを観察する
上述した通り、起伏の激しい地形から「山城」とも呼ばれる重慶。中心市街地を歩いていても、あちこちで急な坂道に出合います。この地形の独特さが、重慶の文化や習慣を形作る要素にもなっています。
たとえば、重慶特有の職業に、「棒棒」があります。これは、ロープの付いた大きな棒を一本持ち、棒を天秤のように使って重い荷物を運んでくれる運び屋さんのことです。言わずもがな、重慶には坂や階段が多くあることから、このような仕事が発達したのです。
また、街を見回してみれば、超高層の建物が非常に多いことに気が付きます。商業施設やビジネス関係の建物だけではなく、ふつうの人たちが暮らす(年季の入った)集合住宅の建物までもとても高層で、文字通り林立しています。このような住宅様式も、山がちな地形で、利用可能な土地を最大限利用する独自の工夫だと思われます。