岩山の斜面で静止して動かない、不思議な巨大岩が南インドにあります。場所はマハーバリプラムという小さな村で、インドの主要都市チェンナイから、南に約60kmの所にあります。その岩は「クリシュナのバターボール」と呼ばれていて、ヒンドゥー教の神様クリシュナの大好物に形が似ていることからその名が付きました。かつて、王様がゾウを使って動かそうとしたもののビクともしなかった、という逸話が示すようにどんな嵐が来ようとも微動だにしない、世にも不思議な岩なのです。そんな謎めいた、インドの一部をご紹介します。
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マハーバリプラムへの行き方
マハーバリプラム(Mahabalipuram)には鉄道駅がありません。ですので、現地へはバスを利用します。チェンナイ(Chennai)主要部からならば、所要時間は約2時間です。60km程度の距離なので、思い切ってタクシーを利用するのも良いでしょう。ただし、バスだと1人35ルピー程度で済むのに比べ、タクシーは1,500ルピー程度かかります。
旅情を楽しみたい場合は、鉄道との併用をオススメします。ベンガル湾沿いに途中までMRTSという列車が通っています。高台を走っているので、道路からの景色とはまた違った風景が楽しめます。
クリシュナのバターボール
マハーバリプラムは片田舎の小さな村で、そのほぼすべてが1km四方に収まっています。クリシュナのバターボールがある公園までは、バス停から歩いて10分とかかりません。拝観料などの費用も一切かからず、無料で見学できます。
マハーバリプラムには、実は世界遺産に登録された遺跡がいくつもあり、学術的にも貴重な場所です。しかし、それが観光名所となり得たのは、やはりこのクリシュナのバターボールがあってこそでしょう。
ツルツルとした岩肌の斜面、その途中に5m以上あろうかという楕円形の巨石が静止しているのです。これは見ごたえがあります。
岩山は人がやっと腰掛けられるほどの急斜面です。今にも転がり落ちてきそうですが、心配いりません。その昔、王様がゾウを使って動かそうと試みたものの、ビクともしなかったという逸話があるそうです。7世紀頃の話ですから、考えるのもバカバカしくなるくらい大昔からこの場所にたたずんでいるのです。
ぐるっと回って裏側を見ると、予想外の形をしています。まるでナイフで切ったかのように、鮮やかで鋭い切り口です。これが「クリシュナのバターボール」と名付けられた所以です。ヒンドゥー教の神様、クリシュナの大好物であるバターボールに、形がそっくりだというわけですね。
岩山との接地面にも注目して下さい。本当にわずかしか接していないことが分かります。何度見ても、どうしてこんな現象が起きたのか、謎は深まるばかりです。
ところで、クリシュナのバターボール前で記念写真を撮りたいなら、早朝が狙い目です。こちらは正午過ぎの公園内の様子ですが、ご覧の通りバターボールの周りは観光客でいっぱいです。人々の憩いの場にもなっていますので、日中よりも午前中、午前中よりも早朝の方が、落ち着いて写真を撮ることができます。
- クリシュナのバターボール
- インド / 遺跡・史跡
- 住所:Mada Koil St, Mahabalipuram, Tamil Nadu, India地図で見る
マハーバリプラムの歩き方
マハーバリプラムは小さな村なので、徒歩でも1日あれば周りきることができます。日帰りでチェンナイに戻るのも良いですが、マハーバリプラムはリゾート地でもあり、海に面した立地です。遺跡を巡り歩く以外にも、様々な楽しみがあるのでご紹介します。
マハーバリプラム・ビーチで遊ぼう
マハーバリプラムのシンボルである海岸寺院方面へ行くと、マハーバリプラム・ビーチへ続くビーチ・ロードが続いています。その通りは露店がいくつもひしめき合っていて、さながら縁日のようです。食べ歩きはもちろん、海岸へ抜ければ、メリーゴーランドや乗馬体験を楽しむこともできます。
マハーバリプラム・ビーチから見えるのはベンガル湾です。やがて続くインド洋を想うと興味深いものがありますが、それよりも興味を引くのは、海水浴をして遊ぶインド人の姿です。この辺りのインドの人々には水着を着る習慣がないらしく、服を着たそのままの格好で海に入ります。女性はサリーを着たままです。
- マハーバリプラム・ビーチ
- インド / ビーチ
- 住所:Mahabalipuram, Tamil Nadu, India地図で見る
南インド料理を楽しもう
マハーバリプラムにはリゾート地らしく、外国人向けのレストランも数多くあります。しかし、旅先ではできる限り、現地の人々と同じものを食したいですよね。こちらのシュリー・アナンダ・バワンは地元で人気の南インド料理屋です。現地価格で地元料理を味わえて、衛生面でも比較的安心なお店です。
ちなみに、南インドでは食堂のことを「HOTEL」と表記しますので注意して下さい。ではホテルのことはというと、「LODGE」と言います。
南インドに来たからにはビリヤニとドーサは欠かせません。ビリヤニは一見、炒飯のようですが、炒めるのでなく、スパイスと食材を炊き込んで作ります。ドーサはクレープ料理の一種で、ジャガイモとスパイスの炒め煮を包んでいます。それを様々なソースに付けて食します。
加えて、ミールスは是非ともトライして欲しい一品です。バナナの葉を皿代わりにした南インドの定食料理です。おかずはお店ごとに決まっていて、おかわり自由なのが特徴です。ミールスを注文した時は、現地の人に倣って、スプーンではなく右手を使って食べてみましょう。
- シュリー アナンダ バワン
- インド / アジア料理
- 住所:1 Aanaikatti St. Mahabalipuram, Tamil Nadu, India地図で見る