藤沢市

【江ノ島】レンガ造りの遺跡がすごい!「サムエル・コッキング温室遺構」

取材・写真・文:

茨城在住
訪問エリア:45都道府県

2022年1月13日更新

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写真:Sosyu Kikuchi

江ノ島の頂上部分に広がる庭園「サムエル・コッキング苑」。実はこのサムエル・コッキング苑内に、2021年11月、歴史体験型新施設「サムエル・コッキング温室遺構」がオープンしました!この記事では、新施設の概要や知っていると見学が楽しくなるマニアックな見どころについてご紹介しています。

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「サムエル・コッキング温室遺構」とは

2021年11月サムエル・コッキング苑内にできた新施設

江ノ島の頂上部分には、「サムエル・コッキング苑」と呼ばれる庭園が広がっています。入場料は有料となりますが、コッキング苑内には展望灯台、カフェ、お土産屋などもあり、江ノ島観光の際はぜひとも訪問したい人気のスポットです。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング苑
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング苑
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング苑

2021年11月、そんなコッキング苑の一角に新たな施設がオープンしました!それが本記事でご紹介する「サムエル・コッキング温室遺構」です。コッキング苑へ入場されている方であれば、誰でも見学可能です。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構

サムエル・コッキング苑の歴史

そもそもサムエル・コッキング苑ってどんな場所?という方向けに、簡単に歴史をご紹介しておきます。庭園の名前は、アイルランド生まれの貿易商サムエル・コッキング氏が由来となっています。

1868年、横浜に来日したコッキング氏は江ノ島の景観と植物を愛し、妻(宮田リキ)の名義で江ノ島の土地を購入、和洋折衷の大規模な植物園を開設しました。これが現在のサムエル・コッキング苑の基礎になったと言われています。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構

コッキング氏が江ノ島に作った植物の温室は、東洋一の規模だったそうです。震災等の影響で多くの部分が失われましたが、2002年に遺跡が発見され、保存と公開に至りました。特にレンガ造りの温室遺構は現存する唯一のもので、貴重な文化遺産となっています。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構

展示棟と地下通路を見学しよう

「サムエル・コッキング温室遺構」は、大きく展示棟地下通路に分けて見学可能です。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(展示棟)

展示棟は、2021年11月オープンに向けて新設された建物です。全面ガラス張りで、お洒落なデザインとなっています。建物内では、主に資料展示がなされています。パネルを使った展示と映像を使った展示の二種類が用意されており、江ノ島の歴史を効率よく学ぶことができます。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(展示棟)
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(展示棟)

また、建物内にはガラスや植物を使った装飾品が散りばめられており、お洒落なインテリアを見学する目的でも楽しめます。アロマオイルのボタニカルな良い香りも漂っていますので、その点にもぜひ注目してみては。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(展示棟)

展示棟からは、地下通路へと降りられるようになっています。地下へ向かう短い階段を降りる瞬間は、最もロマンを感じドキドキするタイミングです。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(地下通路)

地下通路は、当時の温室とボイラー室及び貯炭庫を接続する短い通路。幅約1メートル、高さ約1.9メートルで、レンガ造りの趣を存分に味わえる空間です。まるで外国の遺跡にやってきたよう。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(地下通路)
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(地下通路)
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(地下通路)

以下からは、知っていると見学の楽しさが倍増する、ややマニアックな見どころをご紹介していきます!

マニアックな見どころ

【1】展示棟の透ける足元

展示棟ではパネル展示や映像展示など、簡単にまとまった展示がなされていることは先述しましが、実は展示棟でご注目頂きたい点がもう一点あります。それが「足元」です!

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(展示棟)

展示棟の足元はガラス張りになっており、レンガ造りの遺構が真上から見られるようになっています。一部パイプが張り巡らされていますが、これは温室を温めるためのスチームを通すパイプだったそうです。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(透ける足元)
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(透ける足元)

【2】レンガに押された刻印

温室遺構のレンガを見ていると、何かのマークが刻印されていることに気が付きます。これは、当時の「煉瓦製造所」を示す刻印なのだそう。例えば、太陽マークの刻印は、日本国内で最初期の近代的煉瓦工場・横浜煉瓦製造会社のものなのだとか。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(レンガの刻印)

刻印の後ろに「いろは、イロハ、甲」などの文字も見えますが、こちらはレンガを作った職人のサインです。レンガに関する歴史を感じられて、非常に興味深いポイントですね。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(レンガの刻印に関して)
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(レンガの刻印)

【3】レンガ造りの水路

レンガで造られているのは、壁面に使うブロックだけではありません。コッキング氏が温室を作った当時は水道設備がなかったため、雨水を貯めて利用する循環設計がなされていたそうです。

雨水が流れる水路にもレンガが使われていました。じっくり観察しないと分かりづらいのですが、よく見ると本当にレンガが使われていますね。こちらは地元のガイドさんから教えて頂いた、ややマニアックな知識です。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(レンガの水路)
サムエル・コッキング温室遺構
藤沢市 / 遺跡・史跡
住所:神奈川県藤沢市江の島2-3-28地図で見る
電話:0466-23-0623
Web:https://enoshima-seacandle.com/

休憩は日本初のフレンチトースト専門店・LONCAFEで

「サムエル・コッキング温室遺構」のすぐ近くには、日本初のフレンチトースト専門店・LONCAFEがあります。散策で疲れた際は、ぜひ利用してみては。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング苑(フレンチトースト専門店・LONCAFE)
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング苑(フレンチトースト専門店・LONCAFE)

メニューは、フレンチトーストはもちろん、コーヒー、紅茶、ソフトドリンク、アルコールなど、各種ドリンクが揃います。テラス席もあり、ピクニック気分を味わえる空間です。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング苑(フレンチトースト専門店・LONCAFE)
ロンカフェ江ノ島本店
藤沢市 / カフェ・喫茶店 / 女子旅
住所:神奈川県藤沢市江の島2-3-38 江の島サムエルコッキング苑内地図で見る
電話:0466-28-3636(ご予約は承っておりません)
Web:http://loncafe.jp/index.html
江の島サムエル・コッキング苑
藤沢市 / 植物園 / 花畑(1月)
住所:神奈川県藤沢市江の島2-3-28地図で見る
電話:0466-23-2444
Web:http://enoshima-seacandle.com/

夜景も幻想的でおすすめ

江ノ島では、季節ごとに全国有数の規模を誇るナイトイベントを開催しています。特に毎年冬季に行われるイルミネーションイベントは、関東三大イルミネーションに認定されるほどです。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング苑(関東三大イルミネーション)
  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング苑(関東三大イルミネーション)

今回ご紹介した「サムエル・コッキング温室遺構」も周辺が華やかに点灯されます。夜間ならではの様子も楽しめます。※地下通路の見学時間は9~16時半までのためご注意ください。

  • 写真:Sosyu Kikuchi江ノ島/サムエル・コッキング温室遺構(周辺のイルミネーション)
湘南の宝石・江ノ島イルミネーション
藤沢市 / イベント・祭り / 冬のおすすめ観光スポット
住所:神奈川県藤沢市江の島2−3地図で見る
Web:https://enoshima-seacandle.com/event/shonannohosek...

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この記事を書いたトラベルライター

大自然に魅せられて
江ノ島出身、現在は霞ヶ浦湖畔で暮らしています。自然に触れる旅が好きで、これまで国内45県、海外13か国を訪問。地域に根付く食と文化を探るのも楽しみの一つです。

▶よくある執筆ネタ
・湧き水、ネイチャースポット
・焼き芋、食文化、町の飲食店

▶Awards
・H30.10 環境保全茨城県民会議主催「いばらき自然環境フォトコンテスト」部門賞
・H31.01 羽田空港主催「私の旅する日本語2018」大塚製薬賞
・R01.08 tripnote主催「トラベルライターアワード2019上半期」審査員特別賞
・R03.08 tripnote主催「トラベルライターアワード2021上半期」SNSシェアトップ賞

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