写真:Zonイスタンブール新市街の目抜き通り、イスティクラル通りで観光を楽しむ際にぜひ立ち寄りたいのが「ハジュ・アブドゥッラー・ロカンタス」。オスマン帝国時代から続く伝統を感じながら、トルコの家庭料理の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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オスマン帝国時代から続く老舗レストラン
イスタンブール新市街の中心地、イスティクラル通りから少し路地を入った場所に佇む「Hacı Abdullah Lokantası(ハジュ・アブドゥッラー・ロカンタス)」は、トルコの伝統を味覚と空間の両面から堪能できる老舗レストランです。その創業は1888年、オスマン帝国時代にまで遡り、代々受け継がれてきた料理とおもてなしの精神が、今もなお変わらず息づいています。トルコ文化省の「文化遺産レストラン」として認定されているこの店は、単なる食事処という枠を超えた、歴史と文化を感じられる貴重な場所です。
壁一面の漬物瓶に宿る歴史と美意識
店内に足を踏み入れるとまず目に飛び込んでくるのが、壁一面にずらりと並べられた色とりどりの瓶詰たち。これらはすべて自家製の漬物で、ナス、ピーマン、トマト、チェリーなど様々な野菜や果実が美しく漬け込まれており、その鮮やかな色彩はまるでアートのよう。訪れる人々を魅了し、レストランの歴史を物語る象徴的なディスプレイとなっています。見て楽しみ、食べてさらに味わえるこの漬物は、食前にぜひ試してほしい一品です。
素朴で滋味深いトルコ伝統料理の魅力
写真:Zonイスタンブール新市街イスティクラル通り ハジュ・アブドゥッラー・ロカンタス 前菜の盛り合わせ、イチリ・キョフテ、羊肉の煮込み、バターライス、果物の甘煮 3,800リラ(約13,680円) ※二人前
ハジュ・アブドゥッラー・ロカンタスの料理は、オスマン宮廷料理にルーツを持つ伝統的なトルコ家庭料理。野菜、豆、肉を使った煮込み料理や、トルコ風炊き込みご飯「ピラフ」、甘くとろけるようなナスのひき肉詰め「カルヌヤルク」など、どれも素朴ながら深い味わいが特徴です。調理にはバターやオリーブオイルがふんだんに使われ、どこか懐かしさを感じさせる優しい味が、日本人の口にもよく合います。ショーケースから好きな料理を指さして選べるスタイルなので、言葉に自信がなくても安心して注文できるのも魅力です。
またコンポスト(komposto)という果物の甘煮もぜひ注文したい一品です。果物本来のやさしい甘みがあり、肉料理や煮込み料理のあとにもよく合います。
歴史を感じながら優雅な食事タイムを
日本人観光客にとってこのレストランが特におすすめなのは、落ち着いた雰囲気と丁寧なサービスにあります。過度に観光地化されていないため、地元の常連客と観光客が程よく混ざり合い、トルコの日常に自然に溶け込むような体験ができます。宗教的理由からアルコールの提供はありませんが、その分、静かで穏やかな空間が保たれており、食事そのものに集中できます。買い物や観光でにぎわうイスティクラル通りの喧騒を少し離れ、100年以上の歴史を持つレストランで一皿の料理にじっくり向き合う。そんな時間は、旅の中でも特別な思い出になるはずです。
※価格は2025年7月現在(1トルコリラ約3.6円)


















































