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【イスタンブール旧市街】博物館からモスクへ!カーリエ・モスクの入場料や見どころ

取材・写真・文:

トルコ在住
訪問エリア:17ヶ国

2025年7月11日更新

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写真:Zon

ビザンツ時代のフレスコ画や黄金のモザイク画が足元から天井にまで巡らされているカーリエ・モスクは、イスタンブールの歴史を深く知る上で欠かせない建造物です。2020年に博物館からモスクへ転用されたものの、依然として海外からの旅行者は入場料を支払う必要があります。最新の情報と見どころをまとめました。

この記事の目次表示

カーリエ・モスクの歴史

  • 写真:Zonイスタンブール旧市街 カーリエ・モスク 外観

イスタンブール旧市街の北西側、エディルネカプ地区の閑静な街角にひっそりと佇むのが「カーリエ・モスク(Kariye Camii)」です。カーリエ・モスクは、もともと正教会の修道院に付属する聖堂であり、本来の名称は「コーラ修道院付属ソーテール(救世主)聖堂」といいます。修道院の起源は古く、6世紀から7世紀頃のユスティニアヌス帝の時代に設立されたと考えられています。「コーラ」という言葉はギリシア語で「田舎」や「郊外」を意味し、その名の通り、この修道院は当時のコンスタンティノポリス(現在のイスタンブール)の中心部から離れた北西の第六の丘に位置していました。また「コーラ」は正教会において「受肉(神が人となること)」の神秘を象徴する言葉でもあり、この聖堂の宗教的な意味合いを深めています。

建設後は地震や戦乱により度重なる修復と改築を経て、現在の建物は主に11〜14世紀にかけて整えられました。特に、パライオロゴス王朝時代の14世紀、宰相テオドロス・メトキテスによって行われた大規模な改装では、内部に素晴らしいモザイク画やフレスコ画が施され、ビザンティン美術の最高峰のひとつに数えられる教会となりました。

1453年にオスマン帝国がコンスタンティノープルを征服すると、この教会はモスクへと転用され、長い間イスラムの礼拝所として使われました。20世紀に入り、修復が行われてモザイクやフレスコ画が再び姿を現し、1948年に博物館として一般公開されました。

モザイク画とフレスコ画

  • 写真:Zonカーリエ・モスク モザイク画「デイシス」

カーリエ・モスクの最大の魅力は、ビザンティン後期の宗教美術を代表するモザイク画とフレスコ画です。モザイクは色とりどりのガラスや大理石片で緻密に描かれ、光を受けて輝くその美しさは息を呑むほどです。教会の天井や壁、ドームに至るまで、聖母マリアとキリストの生涯を中心に、旧約聖書や新約聖書のエピソードが克明に描かれています。

  • 写真:Zonカーリエ・モスク ビザンツ時代のフレスコ画

また、フレスコ画はモザイク画よりも後に描かれたもので、礼拝堂部分の壁に施されており、より柔らかいタッチで人間味あふれる表現が特徴です。

特に注目すべき作品

  • 写真:Zonカーリエ・モスク 最も有名なフレスコ画「復活」

特に注目したいのが、パレクレシオンの東端に描かれた「アナスタシス(復活)」のフレスコ画です。これは、死後のキリストが冥界に下り、アダムとイヴを救い出す場面を描いたもので、力強い筆致と躍動感にあふれています。白い衣をまとったキリストが、地獄の門を踏み砕き、罪を克服する姿は、ビザンティン美術の傑作として広く知られています。

注意点!現在はモスクとしての役割も

  • 写真:Zonカーリエ・モスク イスラム教徒たちの祈りの場

旧修道院は20世紀半ばから博物館として公開されてきましたが、近年になって再びモスクへと転用されることが決まりました。2020年には、トルコ政府の決定により正式に「カーリエ・モスク(Kariye Camii)」としての運用が再開され、現在はイスラム教の礼拝が行われています。そのため、金曜日は見学のための入場はすることができません。 また、金曜日以外の見学は、礼拝時間を除いて可能というのが現状です。

モザイク画やフレスコ画の保存と公開は続けられており、訪れる人々は今もなお、これらの貴重なビザンティン美術を目にすることができます。モスクとしての静けさの中で、宗教の違いを超えた文化的価値に触れられるのは、カーリエならではの体験です。

カーリエ・モスクへのアクセスと入場料

  • 写真:Zonカーリエ・モスク 見学の際はドレスコードに注意

カーリエ・モスクへは、トラムT4線の「エディルネカプ駅」で下車するのが最も簡単です。駅からは徒歩約10分です。トルコ国民ではない場合、モスクの見学の際は入場料20ユーロ(約3,400円)を支払う必要があります。モスクなので、露出の多い服装では入場できません。女性は頭に被るスカーフも必要です。(2025年7月現在、スカーフの無料レンタルはありません。) また、男性もハーフパンツなどの丈の短いズボンでは入場することができません。

おわりに

  • 写真:Zonカーリエ・モスク 聖母マリアの誕生を描いたモザイク画

カーリエ・モスクは、ビザンティン後期の粋を集めたモザイク画とフレスコ画が息づく、イスタンブールの隠れた名所です。観光客で賑わうアヤソフィアやブルーモスクとは異なり、落ち着いた雰囲気の中で、悠久の歴史に触れられるのが魅力です。

かつてはビザンティン教会として、そしてオスマン帝国のモスクとして、多くの人々の祈りを受け止めてきたこの場所。現在も、信仰と芸術が共存する場として、訪れる人々に深い感動を与え続けています。イスタンブールを訪れるなら、ぜひ足を運んで、この静かな奇跡の空間を体験してみてください。

(価格は2025年7月現在 1ユーロ約170円)

カーリエ博物館
イスタンブール / 博物館
住所:Dervişali Kariye Cami Sk No18 34087 Fatih İstanbul地図で見る
Web:https://ayasofyamuzesi.gov.tr/tr/content/kariye-m%...

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