神戸
神戸観光
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【生田神社】境内の見どころ・巡り方完全ガイド(神戸)

取材・写真・文:

兵庫在住
訪問エリア:44都道府県

2022年2月11日更新

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写真:まき子

生田神社といえば、神戸の繁華街のすぐ近くにある、とても歴史深い神社。創建は201年で、源平合戦で激しい戦いがあった「生田の森」があることでも有名です。そんな長い歴史が楽しめるたくさんの見どころ、その場所など、境内散策に役立つ情報をご紹介します。

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【生田神社】は見どころいっぱい!でもちょっと分かりづらい…

  • 写真:まき子

神戸イチの繁華街、三宮に近く、アクセスも良いことから観光名所にもなっている【生田神社】。神戸旅行での行き先リストに入れている方も多いと思います。

でも、「とりあえず名所だから、参拝だけしよう」で済まそうと思っていませんか? それだけではもったいない!もう少し踏み込んで境内を隅々まで廻ると、より生田神社の素晴らしさを堪能できると思います。とはいっても、生田神社の ホームページ に見どころは書いてあるものの、どこに何があるか分かりづらい…。また、見つけたとしても注釈の看板が古く読みづらい…。

そこで、皆さまの境内散策がより効率良く楽しめるよう、見どころのわかりやすい解説や、詳しい場所をご紹介したいと思います。

ですが!その前に、事前に知っておくとより境内散策が楽しくなる、生田神社にまつわる歴史をご紹介したいいと思います。 知っておいて間違いなし!というポイントを、下記の4つにまとめました。

1. 始まりの201年から現在の地名につながる!

  • 写真:まき子

上の写真「御由緒」は、楼門をくぐる手前の左側にあります。生田神社の主祭神は「稚日女尊(わかひるめのみこと)」、日本神話に登場する神で、「稚日女」とは、若く瑞々しい日の女神 という意味があります。

この稚日女尊が、201年、神戸港で神占いをした 神功皇后 の前に現れ、「私は活田長峡国(いくたながさこく)に居たい。そこに祀らせよ。」と神託した、と『日本書紀』にはあります。これが「生田神社」の始まり。

この神託にある「活田長峡国」には、神戸に今でも残る地名が含まれています。まず「活田(いくた)」、これがまさに 生田神社「いくた」。そして「長峡(ながさ)」も、今のJR三宮駅からJR神戸駅の北側にある町名「北長狭通(きたながさどおり)」につながります。ちなみに、「峡」が「狭」になったのは町名をつけた人が単純に間違えただけだとか?!

2.「生田の神封四十四戸」から生まれた街「神戸(こうべ)」

古代(奈良時代あたり)では、神社の周りは 社領(神社の領土) となり、そこに住む人々は神社に税を納めたり、神社に務めるなど奉仕していました。その家のことを「神封(じんぷ)」と言います。すなわち「生田の神封四十四戸」とは、生田神社の神封が44軒、という意味。その44軒があったエリアが、現在の 神戸市中央区の一帯

そして、その住民のことを当時は「神戸(かんべ)」と呼んでいました。だから、この一帯に住む人たちの「かんべ」が後世になって「こうべ」と言われるようになったのですね。

3.生田神社では「松」はタブー!

日本の神社はじめ歴史深い場所には、何かと縁起の良い を見かけます。しかし、生田神社には一本も見られません。なぜなのでしょうか?

実は、生田神社は今の場所に建立されたのではなく、201年当初は新神戸駅の奥にあった 砂山(いさごやま)にありました。ここには、現在の日本三大神滝の一つ「布引の滝」があり、現在も流れている 生田川 があります。

この生田川は当時は暴れ川で、とうとう 799年(延暦18年)4月9日に大洪水 を起こします。「このままでは山全体が崩壊してしまう!」と危惧した村人が、御神体を今の場所に移転 させたんだそう。その大洪水の時、神社の周りには松が植えられていましたが、洪水を防ぐ役割を全く果たさなかったどころか、水に流された松が社を破壊する始末。その故事から、今でも生田神社では松はタブーとなっています。

また、能舞台の鏡板の絵といえば「松」ですが、生田神社では「杉」の絵が描かれ、元旦には「門松」ではなく「杉飾り」(上写真)を立てています。

4.源平合戦で形勢が逆転した「一ノ谷の戦い」の場が「生田の森」

さて、生田神社が現在地に落ち着いてから数100年後は、源氏 vs 平氏、いわゆる「源平合戦」の時代です。一時は平氏が優勢でしたが、その形勢逆転を決定づけた戦いが「生田の森」で繰り広げられました。

  • 写真:まき子

「生田の森」は、世界大戦の大空襲でほとんどが焼けてしまい、今となっては“鎮守の森”として生田神社の境内に残っていますが、当時はもっと広大なエリアに森が広がっていて、一帯は「一ノ谷」と呼ばれていました。一ノ谷は、北は断崖絶壁の山がそびえ立ち、南は海、という 天然の要塞。平氏はここで陣を張っていたんです。

裏手を取った「義経と弁慶」の「逆落とし」

平氏は「まさか断崖絶壁の山から攻撃されるまい」と、たかをくくっていましたが、その裏手を取ったのが 源義経と弁慶 が率いる70騎。この断崖絶壁の山の上に辿り着くと、義経は馬と共に「皆の者!駆け下りよ!」とこの崖を先陣となって駆け下ります。他の源氏軍も続いて駆け下り、一ノ谷にいた平氏の陣営に突入!背後から襲われると思っていなかった平氏軍は大パニック。

今でも「逆落とし」という言葉がありますが、まさにこの「義経たちが断崖絶壁を駆け降りる」という情景が由来です。

逆転の鍵を握った「梶原」

一言で「一ノ谷の戦い」と言っても一箇所で激戦が起きたわけではなく、周囲にある複数の陣営で激戦がありました。“義経たちの逆落とし” で源氏軍は士気を高めたものの、平氏軍の兵力は強く簡単には破れない。源氏軍のリーダーたちも次々と討たれてしまいます。

そこで、踏ん張ったのが、源氏軍の「梶原 景時(父)と景季(息子)」です。仲間が討たれていく中、一度はひるんだけれど、ふりそそぐ矢の中を突進して「梶原の二度駆け」と逸話が残る奮戦を見せました。こうして、生田の森で繰り広げられた一ノ谷の戦い で、平氏はあちこちでボロが出始め、ついには敗走。源氏が政権を握る鎌倉幕府へと時代が移ることになります。

序章が長くなりましたが、これだけ押さえておけば、もうバッチリです!

生田神社は本殿をぐるっと回れば見所いっぱい

それでは、生田神社の周り方をご紹介します。楼門をくぐる前にもいろいろポイントはありますが、やっぱり訪れたらまずは本殿で参拝したいですよね。諸々の見どころはこの後ご紹介します。

  • 写真:まき子

まずは立派な 楼門。この両サイドに、おみくじやお守りなどの売店と、祈祷の受付があります。

  • 写真:まき子

そして 本殿 。ここに、冒頭に述べた主祭神「稚日女尊(わかひるめのみこと)」が祀られています。

生田神社の面白いところは、稚日女尊が祀られている本殿以外にも、いろんな神が祀られている祠がたくさんあること。基本的には、 本殿 の周りをぐるっと回れば全て網羅できますが、その場所を分かりやすく説明するため、下記の5エリアに分けてご紹介します。

  • 1.本殿の右側
  • 2.本殿の左側
  • 3.本殿の裏側
  • 4.生田の森
  • 5.駐車場〜楼門

1.本殿の右側

  • 写真:まき子

本殿から右側の道へ行くと最初にあるのが、3つの御祭神が祀られている祠です。一番右にあるのが、病気封じや道守の神を祀る「塞神社」。真ん中が、元々ここにあった神社の神を祀る「雷大臣神社」、この神は料理上手のようです。そして、一番左にあるのが、歌人の柿本人麻呂を祀る「人丸神社」、学問の神様としても崇められています。

  • 写真:まき子

さらに奥に進むと、パワースポットらしい雰囲気になります。ここにも見どころがいっぱい。

  • 写真:まき子

まずは右手に注目。ここにあるのは「包丁塚」。料理人の魂がこもる包丁を祀るために、皇太子殿下御成婚・第61回神宮式年遷宮の記念事業として、神戸市内の料理食品関係者によって建立されました。全国でも珍しい塚です。

  • 写真:まき子

その先にある大木は「楠の神木」です。樹齢500年の年輪を持つこの楠は、第二次世界大戦の 神戸大空襲 で焼けただれてしまいましたが、それでも力強く蘇ったそうです。それにちなんで、再生・再起・復活・復興 の象徴として信仰されています。

  • 写真:まき子

「楠の神木」の右奥にあるのが 納札所 です。普段はここにありますが、初詣の時期は、本殿の左側に大きな納札所ができます。

  • 写真:まき子

通路の突き当たりにあるのは「稲荷神社」。京都の伏見稲荷大社と同じように鳥居が連なっています。祀られているのは「倉稲魂命(うかのみたまのみこと)」、別名、伏見稲荷大社の主祭神「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」です。

  • 写真:まき子

「稲荷神社」の入口のすぐ手前、左にあるのは、稲荷神社のための 手水舎 です。

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この記事を書いたトラベルライター

じっとしているのは耐えられない旅行好き&飲兵衛です
日本在住ですがアメリカで生活したこともあり、その時にすっかりアメリカ大陸の自然に魅了されました。それ以来、帰国しても日本の自然の素晴らしい場所をあちこち旅行するのが好きです。1児の母でもありますので、“子連れで行くとどんな旅になる?!”という視点も織り交ぜていろんな場所をご紹介できればと思っています。
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