かつて市町村合併が進んだ中、あえて「村」として生きる道を選んだ岡山県の「西粟倉村」。今、ここには若く発想力も豊かでエネルギッシュな人たち、ローカルベンチャーを目指す人たちが集まってきています。そんな「西粟倉村」のオススメ3スポットをご紹介!
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“自立した村” を目指す【西粟倉村】
岡山県と鳥取県の県境あたりにある【西粟倉村】は、かつて政府主導で行われた “平成の大合併” と言われる市町村合併を拒み、“自立した村づくり” を目指して生き残る道を選んだ、ちょっと珍しい村です。…というと漠然としてイメージが湧かないかもしれませんが、簡単にいうと “西粟倉村の森林や水などの豊富な資源をちゃんと村に還元する” ということを村全体で行っているんです。
“村全体” というのは、行政はもちろん、民間企業と二人三脚でいい感じに村づくりをしているということ。その民間企業が “ローカルベンチャー” にも力を入れているので、ここには「田舎だからできる新しいことをしよう!」というを若い人たちに注目されています。
ただ、こういうことは目に見えづらいし、特に目立つ施設があるワケでもない。一見「なーんだ、ただの里山じゃない」と素通りしてしまうかもしれません。だからこそ、この記事で西粟倉村の良さを少しでも知っていただき、ぜひ足を運んでいただけたらと思います。
今回はお子様から年配の方まで、誰でも気軽に楽しめるおすすめスポット3つをご紹介します。
1. 【旧影石小学校】には面白いお店がいろいろ!
西粟倉村の幹線道路「智頭街道(国道373号)」沿いに、一見なんでもなさそうな薄ピンク色の木造の建物があります。ここは【旧影石小学校】。
【森の学校】という企業が、平成11年に閉校した「旧影石小学校」を拠点にし、森林・林業、山村に関わる新規事業の企画・プロデュースなどを行っています。冒頭で “行政と二人三脚でいい感じ” とご紹介した企業の1つです。
特に目立つ看板もなく、知らなければそれこそ素通りしてしまうかも知れませんが、この校舎の中の教室を「ローカルベンチャーを立ち上げたい!」と言う人たちに貸し出しているので、なかなか面白いお店に出会えますヨ!
入口は解放されて誰でも入れるので、ぜひ自由に中に入って散策してみてください。
こんなスタンスの酒屋もあり!【酒うらら】
入口を入ってすぐ左には、一升瓶が並んでいるお店があります。ここは【酒うらら】という 日本酒専門店 。冷たいお酒というより常温保存可能なお燗向けの日本酒ばかりです。
【酒うらら】の店主もなかなか稀有な方。親の酒屋を継ぐとか大手酒屋のチェーン展開などではなく、元々は純粋に日本酒や造り手が大好きな飲み手で、その好きが高じて酒販免許を取ったという。そしてイチから西粟倉村で酒屋を開業した 若手の日本酒女子 なんです。
「出張日本酒バー」としても活躍中!訪れる際には事前にお電話を…
【酒うらら】の面白いところは、自称 “予約制の酒屋” 。本当に予約制なわけではないんですが、営業していない日が多いんです。曰く「岡山で酒屋やってもほとんど客は来ないので、出張日本酒バーやってます。」とのこと。
なるほど、確かに人口1,600人ほどの西粟倉村の人たちがお酒を買いにきても知れているし、しかも日本酒しかない。ちなみに、インターネット販売やメール対応での販売も行っていません。自ら販路を広げるべく、しょっちゅう各地へ出張して日本酒を提供するイベントを行っている忙しい方でもあるので、ふらっと【酒うらら】に訪れると営業していないことも多々ある…というわけです。
「そんな酒屋、あるのかー?!」と思われるかもしれませんが、それが【酒うらら】のスタンスであり、こんな新しい発想も受け入れているのが西粟倉村。なので、訪れる際には事前に電話で営業しているか確認するのをオススメします。
- 酒うらら
- 岡山 / 酒屋 / 日本酒
- 住所:岡山県英田郡西粟倉村 影石895地図で見る
- 電話:090-6408-8695
- Web:http://sakeurara.com/about/
子ども向けの帽子ブランド【帽子屋 UKIYO】
「酒うらら」さんの向かいには【帽子屋 UKIYO】があります。中を覗くと「あれ?帽子が小さい!」と思うかもしれません。というのも、【帽子屋 UKIYO】は “子どもが帽子好きになるきっかけの帽子を作る” をコンセプトに、子ども向けの帽子を作っているからです。
“田舎で余暇を楽しもう” ではなく、“田舎で挑戦してみませんか?” という西粟倉村のメッセージに共感し、ここで開業したんだそう。【帽子屋 UKIYO】の店主も若い女子で、そのセンスも素敵! オンラインショップ もあるので、ぜひ見てみてくださいね。
- 帽子屋 UKIYO
- 岡山 / ファッション
- 住所:岡山県英田郡西粟倉村影石895地図で見る
- Web:http://ukiyoboushi.net/okayama/
木工と料理【フレル食堂】
「帽子屋 UKIYO」のすぐ隣にあるのが、食堂&木製小物の販売店【フレル食堂】。食堂といってもその料理は本格的!2日前までに予約すれば、シカやイノシシなどのジビエ料理(¥1,300)が食べられます。
そして、料理を添える器やお箸、フォーク、スプーンなどは、すべて【フレル】が西粟倉村の木で作っているもの。教室っぽい雰囲気を残しながら改装した店内には、そんな木工作品もたくさん売られています。
2. こんな温泉、新しい!【あわくら温泉 元湯】
おすすめスポット2つ目は温泉です。この辺りは ラジウム温泉 で泉質も良く、地元の方からも評判が良いのですが、その中でも【あわくら温泉 元湯】が面白いんです!
建物の中に入ると、「こんな田舎なのになんて素敵な空間?!」とびっくりするに違いありません。玄関の真正面の黒板は、小さなお子様が落書きし放題!その空間を子供達がキャイキャイ走り回っています。
ここはもともと公営温泉でしたが一度閉店、その後を担ったのも、また若手の夫婦です。小さなお子様が2人いらっしゃるので、子連れファミリーにとって理解あるサービスが提供できているのですね。
玄関を入ってすぐのこの空間はカフェにもなっていて、温泉に入らなくても、美味しい料理やドリンクが楽しめるようになっています。ここにあるテーブルや椅子は全て木製、もちろん西粟倉村の木が使われています。
温泉に入りたい方は、まずカウンターでお金を払います。中学生以上500円、小学生250円、小学生未満は無料。カウンターに貼られているビールの数々も気になりますネ。
地元のビール「タルマーリー」
こちらのカフェでビールを飲むなら、筆者のおすすめは「タルマーリー」。県は跨ぎますが、地元といっても良いくらい近い、「元湯」から車で20分ほどの 智頭(鳥取県) にある、自家製酵母を使ったパン屋さんの地ビールです。酵母の爽やかな味わいが楽しめます♪(タルマーリーHP)
西粟倉村の木を活用!【薪ボイラー】
「元湯」が公営温泉だった頃は、年間約200,000リットルの灯油を購入して温泉を温めていたそうです。でも石油を使うことは大量の二酸化炭素を発生させるし、コストもかかる…そこで、注目したのが「バイオマス」と呼ばれる資源です。
西粟倉村は面積の95%が山林、それだけ木が豊富にあるということですが、間伐で山林に切り捨てられる木材もたくさんあります。そんな “使い道がない” と今まで思われていた木材をバイオマスとして温泉加熱に使用する、という新しい発想「薪ボイラー」を実現したのが、【あわくら温泉 元湯】なのです。
- あわくら温泉 元湯
- 岡山 / カフェ・喫茶店 / ゲストハウス / 日帰り温泉
- 住所:岡山県英田郡西粟倉村影石2050地図で見る
- Web:http://motoyu.asia