熊本市にある「珈琲アロー」は、「琥珀色のコーヒー」が飲めるということで、地元で非常に有名な喫茶店です。82歳で現役の八井巌さんが一杯入魂で入れるそのコーヒーは、非常に澄んでいてお茶のように飲めてしまいます。この記事では珈琲アローと、そのオーナー八井巌さんに迫ります。
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珈琲アローの概要
珈琲アローは、熊本市の中央区にある、広さ4坪半の小さな喫茶店です。
昭和の香りと雰囲気が漂う店内は、どこか懐かしい気持ちになります。オープンしたのは東京五輪が開催された1964年。
それから約50余年、珈琲アローのオーナー八井巌さんは、年中無休で毎日営業しています。休んだ日は、奥様が亡くなられた18日間だけだそうです。
珈琲アローの「琥珀色のコーヒー」
珈琲アローのメニューは「コーヒー(500円)」のみ。そのコーヒーこそ、「琥珀色のコーヒー」と呼ばれる幻のコーヒーです。店内に入ると、オーナーの八井さんが優しく出迎えてくれ、話がひと段落すると次第にコーヒーを入れ始めてくれます。
琥珀色のコーヒーが出来上がるまで
まずは、コーヒー豆を挽いていく八井さん。注文が入ってからコーヒー豆を取り出し、挽いてくれます。その瞬間に、コーヒー豆のいい香りが部屋一面に漂います。
コーヒー豆も、生豆かと見間違うほど繊細に焙煎されたコーヒー豆を使用しているそうです。その色は黒ではなく、白っぽかったのが印象的でした。
そして挽いた豆を丁寧にゆっくり、フィルターに入れていきます。バサーッとフィルターに入れてしまうのが普通だと思っていたので、この丁寧さにも非常に驚いてしまいました。
コーヒー豆の本当に美味しく、香りのいい部分を選んでフィルターに入れているそうです。
そして、やかんで沸かしたお湯を、フィルターに入れていきます。この作業もおよそ3分ほどかけてゆっくり丁寧に入れてくださっていました。やかんの先を、フィルターに細かくこすりつけて少しずつお湯を入れていく姿に、筆者夫婦は心打たれました。
たった一杯のコーヒーにこれだけの手間と思いで、入れてくれるんだなと感動したのです。
そして、ついにカップに入れてくださります。ここも時間をかけてゆっくり入れてくださりました。八井さんの額には汗が見えました。
琥珀色のコーヒーの味
こちらが八井さんが魂を込めて入れてくれた琥珀色のコーヒーです。味は、まるでお茶のように澄んでいて、始めて飲むコーヒーの味、そして豆の香りでした。
「コーヒー豆本来が持つ香りと味、いい成分だけを味わってほしい」、その思いで行きついたのがこの琥珀色のコーヒーだそうです。
琥珀色のコーヒーは健康にいい
「コーヒーが何杯も飲めないのは、焙煎した成分で胃もたれしてしまうから。つまり健康にもよくないんです。私(八井さん)が求めたのは、コーヒーが飲めない人でも何杯も飲める、真の意味で健康なコーヒーなんです」
そう仰る八井さん。たしかに何杯も飲める味でしたし、飲んだ後もコーヒー特有の胃もたれも全くありませんでした。
八井巌さんのコーヒーにかける思い
八井さんは、コーヒーを入れる前と入れた後は、物凄く気さくに色んな事を話しかけてくれたのですが、コーヒーを入れ始めた時だけは、人が変わったように無言になりました。
その理由を尋ねてみると、「コーヒーは入れているときが命で、魂を入れてやらないと、香りや味がすべて変わってしまうんです」と仰っていました。たった一杯のコーヒーに、文字通り、ここまで命を懸けて入れてくれる人は、中々出会えないのではないでしょうか。
珈琲アローと、そのオーナー八井さんが熱い思いでいれる琥珀色のコーヒーを、ぜひ熊本に行った際は飲んでみてくださいね。