幽玄、はかなさと、ほのかな灯を見せてくれるホタル。一年の中のホンの2週間ほどの間、水辺で瞬く”いのち”を見に行って、静かな感動体験をしませんか?今回は浴衣を着て行くのにおすすめな、和泉式部の歌にも詠まれたホタル名所・貴船川と、貴船神社の七夕神事についてご紹介します。
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和泉式部の恋ごころかよう蛍岩
「ものおもえば さわのほたるも わがみより あくがれいずる たましいかとぞみゆ」
と詠ったのは、恋多き女流歌人で、紫式部とも同僚であった和泉式部です。これは「男に忘れられて侍りける頃、貴船にまゐりて、御手洗川に蛍の飛び侍りけるを見てよめる」歌で、ホタルのはかなさげな光が、愛しい人を思ってふらふらと身から出でたわが魂かとも見えてしまう切なさを詠んでいます。ホタルと恋心は似ているようです。
この歌は、家に久しく通ってこない夫が戻ることを祈念するために貴船神社に参詣した折の歌です。傷心の和泉式部に返歌を送ってきた方が貴船明神。「おくやまに たぎりておつる たきつせの たまちるばかり ものなおもいそ」そう思いつめなさんなよ、と心に染み入るお言葉をかえした、貴船の神様でした。
貴船口駅から貴船川を上流に230mほど行くと、上記の和歌を詠んだ和泉式部にちなんだ、ホタル鑑賞の名所である「蛍岩」があります。
場所/京都府京都市左京区鞍馬貴船町 府道361号沿い
ホタル鑑賞可能時期/6月下旬~7月上旬 ※年により変動するので、貴船近くに宿泊する場合は、お宿に問い合わせてみるのもいいですね!
蛍の種類/ゲンジボタル・ヘイケボタル・ヒメボタル・オバボタル
駐車場/有料
ここから1.8㎞上流に、貴布禰総本宮 貴船神社が鎮座します。
水の神さま貴船神社
貴船神社には、参道に美しい朱塗りの灯篭があり、情緒があると外国人にも人気です。
貴船神社は水の神様のため、「祈雨・止雨」の祈念のため農耕民には欠かせない神様で、昔から全国にお祀りされています。総本宮の貴船神社には、「若水神事」「雨ごい祭り」「貴船の水まつり」など水に関するご神事が年間を通してたくさん行われます。
その中でも、若い女性を中心に人気の祭りが「七夕神事」です。
貴船神社の七夕神事
貴船神社では、7月7日に七夕神事が行われます。七夕は「五節句」の一つで、元旦(1月1日)、桃の節句(3月3日)、端午の節句(5月5日)、菊の節句(9月9日)に加えられる重要な節目であり、水にちなむということで貴船神社では重要なご神事の一つになっています。
七夕というと「笹」と「短冊」。笹のこすれあう音によって神様をお招きし、そこに願いを込めた短冊をつるします。翌日には短冊のかかった笹を川に流す「七夕流し」をし、身心の穢を祓うという意味があるといいます。水の霊力によって罪穢を祓い除き、願い事の成就を祈るという古い信仰に基づくもので、大変重要な「祓(はらえ)」の儀式なのですね。
日時/令和元年7月7日(日)11:00~
午前9時ごろから参列整理券を配布するようです。
縁結びの社「結社」
貴船神社本宮を少し上流に上ると「結社(ゆいのやしろ)」があります。御祭神には磐長姫命 (いわながひめのみこと)を祀っていますが、恋に破れた磐長姫命がこの地にとどまって良縁を与えているという伝承が残っており、古くから縁結びの神様として知られています。恋に破れたからこそわかる、恋の道があるのでしょうね!カップルの信頼関係を盤石に結びつける、キューピッドの役割をされているようです。
貴船神社 奥宮
結社からまた少しさかのぼってゆくと、奥宮が見え和泉式部ゆかりの立て札があります。
水占いおみくじ
水の神様・高龗神(たかおかみのかみ)と、縁結びの神様・磐長姫命(いわながひめのみこと)にお参りしたあとは、本宮で「水占いみくじ」にも挑戦したいですね。御神水に浮かべると、神様の言葉が浮き出るおみくじにドキドキ!
七夕とホタルが楽しめる貴船の旅
今回のメインは、七夕のお参りとホタル観賞です。年によってホタルの出現時期が若干ズレるようですが、七夕とホタルが同時に楽しめたら、すごくラッキーな年になる気がして、ワクワクしますよね。
貴船川沿いの県道は道が細く、車で行く場合、駐車場の数が限られて確保が大変です。できれば、叡山鉄道を利用したいですね。その場合、「貴船口駅」から貴船神社までは片道約2㎞の道のりを歩くことになります。浴衣で向かう場合も、足元はスニーカーで、現地で下駄に履き替えるなど工夫してお出かけくださいね!
- 貴船神社
- 大原・鞍馬・貴船・八瀬 / 観光名所 / 神社 / 紅葉 / パワースポット / 縁結びスポット / ツーリング
- 住所:京都府京都市左京区鞍馬貴船町180地図で見る
- 電話:075-741-2016
- Web:http://kifunejinja.jp/