日本から直行便で約6時間のベトナム。ベトナムと言えば何を思い浮かべますか?日本人に有名なのはフォー、アオザイ、可愛い雑貨、あたりでしょうか。6時間の距離を近いと思うか遠いと思うかは意見の別れるところですが、文化的に見るとベトナムと日本は実は共通点が色々とあり、意外と近いということはあまり知られていないと思います。知れば知るほど面白いベトナム文化を紹介します。
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ベトナムの基礎知識
ベトナムは中国の南に位置する、南北に細長い国です。中国とは国境を接していて、古くから中国の影響を受けてきました。ベトナムは東南アジア、というイメージが日本では強い気がしますが、実は文化的には漢字文化圏で日本と同じです。
- 出典:commons.wikimedia.org漢字文化圏
なので、ベトナムは日本、台湾、中国、韓国などと同じ文化圏に属していて、他の東南アジアの国と比べると日本との共通点がはるかに多いんです。実際にベトナムで現地の人と話したり、ベトナムの文化を経験すると、ああ同じ文化圏なんだな、と実感することが多々あります。その辺りの比較をしつつ、ベトナムの魅力を紹介しようと思います。
ベトナム語
まずは言語について。ベトナム語の発音は日本語とは似ても似つかないですし、ローマ字表記ですがたくさんの発音記号がついていて、見てもどう発音すればよいのかさっぱりわかりません。全く未知の言語のような気がしますね。でも実はベトナム語と日本語には共通点があるんです。
漢字は中国から来た文字、というのは日本人であれば誰でも知っていると思います。また、漢字の音読みは中国語を元にした発音です。つまり日本語には中国の文字、言葉が大きな影響を与えています。これはベトナム語も同じなのです。
ベトナム語には中国語を語源にした言葉が非常に多く、発音も中国語に似た単語がけっこうあるそうです。こうした単語の発音は日本で言う音読みのことばと非常に近いので、聞けばああなるほど、とわかるほど日本語と似ています。
また今でこそベトナム語はローマ字表記ですが、かつては漢字を中心にした文字が使われていました。今でもお寺などに行くと、たくさんの漢字で書かれた仏教用語などが見られます。
日本人であれば、漢字で書かれていればだいたいの意味がわかりますね。面白いことに、現地のベトナム人(特に若い世代)はこれらの漢字で書かれた文言は全く読めません。
お寺を訪れたときに、外国人である筆者が現地のベトナム人に意味を説明する、というなんとも不思議な状況になりました。なんだか少しベトナムのお寺に親近感が湧きました。
ベトナム人の宗教観
先ほどお寺について少し書きましたが、ベトナムの主な宗教は仏教です。しかし、敬虔な仏教徒というのは少ないようです。寺院には現地の人もたくさん参拝に訪れていますが、その雰囲気はまさに日本の神社仏閣と同じです。何かのイベントの時や、ちょっとした機会にお寺に行って軽くお参りをする、という感じで、仏教を強く信仰している、という人は少ないみたいです。
日本でもいわゆる神道や仏教というのは、宗教というよりは生活の一部として習慣化して根付いていますね。ベトナムもそれと同じ感覚のようです。日本人の宗教観というのは世界的に見ても珍しいもので、海外の人には理解しがたい面が多々あるようですが、それと似たような宗教観を持つ国がある、というのは少し驚きでした。
そんなベトナムのお寺は日本の仏教寺院と似ています。日本で言う恵比寿様のような仏像がいたり、
日本にある大仏と似たLady Buddhaがいて人々に親しまれています。
また、お寺の入り口には左右に狛犬がいます。ベトナムの狛犬は左右が雌と雄でわかれています。
雌の狛犬は足の下に子犬を抱え、ネックレスなどのアクセサリーを身につけていたりします。雄の狛犬は地球儀を表す球体の上に足を乗せています。これは日本ではあまり見られない形だと思っていたのですが、日本でも見つけました。ベトナム式の狛犬!
目黒にある東京都庭園美術館の敷地内にある、旧朝香宮邸の正面入口の前にいました!右側が雌で、左側が雄です。思わず嬉しくなって写真を撮ってしまいました。
ベトナムの食文化
ベトナムの食べ物と言うと日本ではフォーが有名ですが、ベトナム料理は非常にバラエティーに富んでいて、決してフォーが全てではありません。ベトナムは南北に細長い国なので、地域によって気候も違えば、食も異なります。その地域でしか食べることができない料理などもあります。
一般的には南部の方が味付けが濃くて辛く、北部の方があっさり味だそうです。麺類もたくさんの種類がありますが、ほとんどが米粉でできた麺です。
そうなんです、ベトナムは日本と同じく米を中心とした食文化です。なので田園地帯などへ行くと水田が広がる光景を目にすることができます。何となく日本と似ていませんか?
ベトナムの麺料理
たくさんある麺料理の中からいくつかを紹介します。
おなじみのフォーです。ホーチミンで食べるとスープも少し濃い目な気がします。
こちらはベトナム中部の古都ホイアンの代表的な料理、カオラウです。太めの麺にタレをからめて食べます。具は新鮮な野菜や香草、焼き豚、揚げ餅などです。実はこのカオラウは伊勢うどんにルーツがあると言われています。こんなところでも日本とベトナムは繋がっているのですね!
筆者の一番のおすすめはこのブンチャーです。細い麺のつけ麺料理で、肉団子や炭火で焼いた豚、パパイヤなどが入ったつけだれに麺とたくさんの野菜や香草をつけて食べます。甘酸っぱいたれと肉、香草、麺の組み合わせが絶妙です。
ベトナムのコーヒー文化
ベトナムでは広くコーヒーを飲む文化があり、街中にはカフェもたくさんあります。ホーチミンなどの大きな街では大抵のカフェでWi-Fiも使えるのでちょっと休憩がてらカフェでコーヒーを飲む、というのも楽しい時間の過ごし方です。
ベトナムコーヒーは日本で一般的に飲まれているコーヒーとは少し違います。非常に濃いコーヒーで、ミルク入りを頼むと練乳が入ったものが出てくるのでとっても甘いです。この甘いミルクコーヒー、冷たいものはこのような形で出て来ます。
グラスに入ったコーヒーとともに、大きな氷の塊がついてきます。この氷をグラスの中に入れて、少しずつ溶かしながら飲みます。現地のベトナム人に話を聞いたところ、甘すぎて氷なしでは飲めない!と言ってました。
屋台料理など
ベトナムには屋台料理もたくさんあります。
バインセオと呼ばれるお好み焼き、おせんべいのようなものにタレをつけて食べる料理、しじみのような小さな貝を炒めた絶品屋台料理もあります。
とっても甘いさとうきびジュースも人気です。これはさとうきびをしぼってジュースにしてくれる機械だそうです。沖縄にも似たような飲み物があった気がします。