モンゴルの遊牧民が実際どんな生活をしているか、想像できますか?日本人からすると、遊牧民の生活と聞くとまるで異世界の印象があるかもしれません。でも実は、モンゴルでは遊牧民の家庭に気軽にホームステイすることができるんです。遊牧民のホームステイで何ができるのか?不便なことはないのか?実際に一人でホームステイをしてみた体験を元にご紹介します。
この記事の目次表示
ホームステイの申し込み方
まずはホームステイ先から送迎まで、まとめてコーディネートしてくれる旅行代理店を探しましょう。
おすすめは、口コミサイトTripAdvisorの「ツアー」ランキング上位の旅行代理店をチェックすること。旅行代理店のHPにホームステイの料金が記載されている場合もあります。
TripAdvisorに掲載されているのはほとんど英語対応の現地代理店なので、言葉に不安がある場合は日本語で「遊牧民 ホームステイ」で検索してみましょう。日本語対応の代理店がいくつか出てきますし、時期によっては国内の大手代理店で手配してくれることもあるようなので、問い合わせてみると良いと思います。
筆者はStone Horse Expeditions & Travel(英語対応)という現地代理店のGer Stay(ゲルステイ)プランを申し込みました。料金は3泊4日食事込みで320USD(約34,000円)。数回のメールのやりとりで、予約完了です。
初日は首都ウランバートルの宿泊ホテルにスタッフが迎えに来てくれ、一時間半くらいのドライブを経てホームステイする遊牧民の居住地に到着。「じゃあ4日後に迎えにくるね!」とスタッフと別れ、いよいよモンゴルのファミリーと遊牧民生活のスタートです!
- ストーンホース・エクスぺディッションズ & トラベル
- モンゴル / その他スポット
- 住所:Viva Bldg 5/1, Jamyangun Street Ulaanbaatar Mongolia地図で見る
- 電話:9592 1167
- Web:https://stonehorsemongolia.com/
遊牧民ホームステイでできること
1,ゲルで生活
遊牧民が住む白いテント、ゲル!小学生の時に社会科資料集で見た覚えがある人も多いのでは?移動式と言っても、キャンプで使うテントとは大違い。実際に泊まってみると驚くほど快適なんです!
写真は実際に筆者が滞在したゲルの室内。ホームステイ客専用に用意されたゲルで、ベッドやストーブが完備されています。
モンゴルは真冬で最低マイナス20度になるほど寒さが厳しいのですが、外が雪でも中で薪ストーブを炊けばすぐに温かくなる保温性の高さに驚きました。繰り返してしまいますが、ゲルはとっても快適!です。
2,牛の乳搾りなど、遊牧民のお仕事体験
遊牧民にとって生活の糧である馬や牛。朝は乳搾りに始まり、餌やり、放牧、馬追い…とやることがたくさん。乳搾りは女性の仕事ということで、ファミリーのお母さんに教えてもらって牛の乳搾りをお手伝い。
うまく絞れず(意外と難しいです)、全く手伝いにならなかったものの、身振り手振りでやさしく教えてもらえました。
3,乗馬
遊牧民のお父さんから、乗馬も教えてもらいましょう。馬はとても忠実で、しっかり飼い主に着いて行くので、乗馬が初めてでも大丈夫。
建物一つ無い壮大な大高原を馬で走る爽快感は格別です!
ただし、翌日は筋肉痛になります。
4,モンゴルのお母さんと家庭料理を作る
ホームステイ中は毎日3食、ファミリーと一緒の家庭料理を頂きます。手伝いながら作り方を教えてもらうこともできます。
モンゴル料理は基本的に素朴な味付けで、なんとなく懐かしい家庭の味、という印象。日本人の口にあうと思います。
5,満天の星
夜中トイレに行くためにゲルを出ると、満天の星に囲まれていました。視界を遮る建物も、街灯も何もないと、ここまで星がはっきりと見えるなんて、まるで360度プラネタリウム。見上げていると平衡感覚を失いそうな、不思議な感覚に襲われます。
6,デジタルデトックス
電線やコンセントが通っていない遊牧民の家庭では、もちろんスマートフォンやパソコンを充電するような環境ではありません。必然的に、デジタルな物から離れて生活することになります。日本にいると、たった1日でもネットもテレビも見ずに生活することなんて考えられないのではないでしょうか。
実際にホームステイ中の丸4日間、デジタルから離れて生活してみて、不便さは全く感じませんでした。昼間は遊牧民生活をどっぷり楽しんでいましたし、夜は本を読んだり普段書かない日記を書いてみたりと充実して過ごせました。自分のことだけに集中できる貴重な時間。日常だとなかなか持てるものではありません。
ネット環境があると特に重要ではない連絡にも対応しなければいけなかったり、必要のない情報が入ってきて不安を抱いたりと、便利なことがかえって不要なストレス要因になっているのかもしれません。
また今回ホームステイした遊牧民の家庭では、電気を太陽光パネルで貯蓄していたので夜小さい電球を付けるなど最低限の電力があったのも、不便さを感じなかった理由です。
おわりに:遊牧民ホームステイで「できないこと」
ホームステイで「できること」を紹介しましたが、「できないこと」ももちろんあります。
- 電気だけでなく水道も無いので、シャワーを浴びることはできません。汲んできた湧き水を貯めて身体を拭きます。
- 水洗トイレはありません。小さい小屋の中に穴を掘ったような、超簡易汲み取り式です。
- 近辺にコンビニやスーパーなどはありません。ふと何か欲しいと思っても買いに行けません。
- モンゴル語ができないとファミリーと言語での意思疎通ができません。身振り手振りのボディーランゲージでコミュニケーションを取ることになります。
しかし、そういった不便さも受け入れて楽しめば、忘れられない体験になりますし、日本では考えもしなかったことに、気がつくきっかけになります。
そうは言っても「シャワーを浴びないなんて無理…」「言葉が通じないなんて不安」と思われる方もいるかもしれませんが、ご心配なく。
ホームステイの受け入れ場所によっては、観光客向けに移動式の水洗トイレやシャワールームを設置している場所もあります。他にも旅行代理店が通訳を手配してくれるプランもあるようなので、希望に合ったサポートをしてくれる旅行代理店を探せば、安心してホームステイ体験ができますよ!
ただの旅行ではない、ちょっと変わった旅先候補として検討してみてはいかがでしょうか。