モンゴルには5つの世界遺産があり、そのうちのひとつがモンゴル帝国の都カラコルムです。広大な自然の中に数多くの遺跡が発見され、ウランバートルから最も訪れやすい世界遺産でもあるため、人気の高い観光地となっています。
この記事の目次表示
世界遺産カラコルム遺跡とは
カラコルムは1235年、モンゴル帝国初代皇帝チンギスハーンの命令により、第2代皇帝オゴタイハーンが作ったモンゴル帝国初の都です。モンゴル帝国はかつて世界最大規模であったため、その中心都市であるカラコルムは、同時に世界の中心だったということになるでしょう。
周囲にはモンゴルで最も長いオルホン川が流れ、両岸には美しい渓谷が広がっています。そこは遊牧民の暮らしに不可欠な水が豊富で、はるか昔から独自の生活が営まれてきたと考えられています。そしてそれを物語るたくさんの古代遺跡も発見されており、2000年以上も続く遊牧民の歴史の証として、ユネスコの世界遺産に登録されました。
現在の名前はハラホリン
カラコルムとは実は古い呼び名で、現在はハラホリンと呼ばれています。ですが観光地として紹介される際には「カラコルム遺跡」と呼ばれることが多いです。カラコルムとは「黒い砂礫(されき)」という意味らしく、砂礫とは砂や小石のことをいいますが、この辺りは火山岩からできた黒っぽい石が多いため、このように名付けられたのだそうです。
カラコルム観光の見どころ
エレデネ・ゾー寺院
カラコルム遺跡で最も有名なのは、1586年に建てられたエレデネ・ゾー寺院です。こちらはモンゴルにおけるチベット仏教の最初の寺院となったそうで、後に周囲にいくつかの寺院が建ち、さらに後には108の仏塔が並び、長さ約429mの城壁も建てられました。この敷地内がカラコルム観光のメインとなります。
エレデネ・ゾー寺院の中に入ると何体かの仏像を見ることができるのですが、筆者が訪れたのは10月であり、残念ながらすでに冬季閉鎖されていました。モンゴルの観光シーズンは短いので、外観だけでなくくまなく見学したい場合は夏に訪れるのがベストかもしれません。
カラコルム博物館
様々な文化財が展示されたカラコルム博物館は、なんと日本政府の無償資金援助で設立されたそうです。ですがこちらもタイミング悪く、筆者が訪れたのは休館日でした。ありがたいことに館内の展示物には日本語が添えられているようなので、私たちもモンゴルの歴史を深めることができます。
5月から9月までは無休でオープン(9:00〜18:00)していますが、10月から4月は平日のみ(9:00〜17:00)の営業となるようです。入場料は大人5,000トゥグルグ(約250円)。
三角のオボーからは広大なオルホン渓谷の景観も
円を描くように囲われた三枚の壁の中心には、三角のオボーが建てられています。オボーとは祈願のために作られたもので、郊外へ行くと道の脇に立っているのをよく見かけます。そしてこのオボーはモンゴル帝国記念碑であり、ここは高台になっているため、エルデネ・ゾー寺院やオルホン渓谷を一望できます。
オルホン川のさらに奥には滝があるようで、規模は小さいですがチャンスがあれば訪れてみてはいかがでしょうか。ただしぬかるんだ道も走行可能な車が必要であり、バスなどの交通手段はありません。そのためご希望の際は、現地旅行会社に相談してみるといいでしょう。
カラコルムへ行くには
カラコルムはウランバートルら約370㎞離れていて、アクセス方法は長距離バスか自家用車しかありません。モンゴルでは交通機関が発達しておらず、英語が通じる率も低いので、旅慣れない方や初めて訪れる場合には、ツアーに申し込むことをオススメします。自力で行く際には寺院や博物館の入館日に注意してください。
ウランバートルからの所要時間は約6時間で、カラコルムに着く手前でブルドという場所を通過します。ブルドは砂地でラクダや砂丘も見れるので、できればツーリストキャンプに一泊し、周辺観光とともにカラコルムに向かうと充実したプランになるでしょう。大自然に囲まれたモンゴルの世界遺産を是非訪れてみてください。