奈良県大和郡山市には、日本最古の厄除け霊場と言われる松尾寺があります。山の中腹にある静かな境内には、本堂や三重塔などの建造物があり、日々厄除けの祈祷が行わています。バラやユリの花も咲く松尾寺に行ってみませんか?
この記事の目次表示
奈良 松尾寺とは
松尾寺は、奈良県大和郡山市にある真言宗醍醐派の寺院です。養老2年(718)に、舎人親王(とねりしんのう)が『日本書紀』の完成と、自らの42歳の厄除けを祈願するために創建したと伝わっており、厄除けの寺としては日本最古のものと言われています。本堂には、御本尊の千手観音(厄除観音)が祀られています。
山の中腹にある境内には、重要文化財の本堂をはじめ、三重塔、七福神堂などが立ち並んでいます。また、春にはバラが、初夏にはユリ(カサブランカ)の花が美しく咲き、訪れた人の目を楽しませています。
松尾寺の境内
北惣門
北惣門は、大和郡山市小泉方面からの参道にあります。門柱と2本の控柱だけで建てられた、薬医門(やくいもん)という様式です。反対側の参道には、南惣門が建っています。
北惣門をくぐると、本堂への階段が続いています。全部で108段もあるそうですが、木々に囲まれた参道を歩くと、森林浴気分で心地よいものです。
閼伽井屋(あかいや)・松尾寺霊泉
北惣門のすぐそばには手水がありますが、この水は閼伽井屋から湧き出ているものをを引いています。御本尊の「厄除観音様」にお供えする「閼伽水」として使われるほか、不老長寿、健康のために良いと言われており、参拝者が喉を潤したり、容器に入れて持ち帰ったりする姿も見られます。雑味の無いすっきりとした味のお水を味わってみてください。
本堂
本堂は、建武4年(1337)に再建された、入母屋造り本瓦葺の立派な建物です。建物内部は内陣と外陣に分かれており、内陣には御本尊の千手観音立像が安置されています。普段はその姿を拝見することができませんが、年に一度、11月3日だけ公開されています。本堂内では、日々厄除け祈祷が厳かに執り行われています。
三重塔
境内の階段を登った場所にある三重塔は、承和2年(835)に創建されたと伝えられています。明治に再建されたという説もあるそうですが、鬼瓦には正徳3年(1713年)と記されており、旧材が使われていることが分かります。塔の内部には、後水尾天皇の如意輪観世音菩薩が寄進され、祀られています。
七福神堂
七福神堂には、最古型と言われる重要文化財の大黒天や、七福の神々が祀られています。多くの福が授かる御堂として、参拝者にしたしまれています。
境内でバラの花を鑑賞しよう
毎年5月中旬から6月上旬まで(※2019年は5月3日(祝・金)~5月27日(月))境内では、バラの花が鑑賞できます。昭和27年、本堂の大修理を記念して、昔あったお花畑を復活させ、バラを植えたのが始まりだそうです。鐘楼のそばまで来ると鉢植えのバラが目に入りますが、これだけではありません。
建物の裏に回ると、赤や黄、桃色など、多種多様なバラの花が咲き乱れています。花壇に咲いているもの、建物に這わせているものなどがあり、非常に見ごたえがあります。美しいバラの花を、香りとともに楽しんでみてください。
またバラだけでなく、春から夏にかけては境内の花々が美しく咲き誇ります。5月中旬から6月上旬にはサツキが、初夏(6月下旬)には、ユリ(カサブランカ)の花も楽しめます。こちらは鉢植えですが、白を中心に、赤や黄、ピンク、紫の花が咲くそうです。
松尾寺の行事
松尾寺では、厄除けの行事が一年を通して多数行われます。こちらでは、それらを大まかに紹介していますので、詳細は松尾寺のホームページにてご確認ください。
除夜祭・初詣 12月31日~1月31日
大晦日より、新年を迎える行事が始まります。やくよけ除夜祭では、僧衣を着た小学生、先着108人の参詣者、参詣者全員の順で厄除けの鐘をつく「除夜の鐘つき修行」が行われます。1月1日からは、厄除けの寺に初詣をし、厄を払い福を授かることを願う人々で賑わいます。
厄除け祭り 2月1日~3月31日
2月1日から3月末までは、厄除け祭りの季節です。2月2日のはつうま・厄除観音出現記念大祭、3月10日の松尾寺の初午厄除祭では、1日3回の柴燈大護摩(さいとうだいごま)の奉修、神楽の奉納もあり、厄除けを願う参詣者で賑わいます。
厄除け祈願 4月1日~12月31日
4月から12月にかけては、厄除け祈願の行事、寺宝の公開などが行われます。普段は非公開となっている仏像や、寺に伝わる宝物が公開される日に訪れるのも良いでしょう。御本尊の「厄除観音」は、年に一度、11月3日だけの公開ですから貴重です。
松尾寺へのアクセス
電車・バスで
JR大和路線「大和小泉駅」下車、東口より奈良交通バス「近鉄郡山駅」行きに乗車。または、近鉄橿原線「近鉄郡山駅」下車、奈良交通バス「小泉駅東口」行きに乗車。どちらも「松尾寺口」バス停で下車、徒歩約2km。
※行事の際には、「松尾寺口」バス停とお寺を結ぶ臨時バスが運行されることがあります。
車で
国道25号線などから奈良県道9号、奈良県道123号を経て松尾寺へ。駐車場2か所あり。
おわりに
日本最古の厄除け寺「松尾寺」はいかがでしたか?少々アクセスはしにくいですが、神聖な雰囲気が漂うお寺は見どころも多いです。バラの咲く季節は新緑も美しく、特におすすめですよ。
- 松尾寺
- 奈良 / 寺 / 穴場観光スポット / 花畑(5月)
- 住所:奈良県大和郡山市山田町683地図で見る
- 電話:0743-53-5023
- Web:http://www.matsuodera.com/