水の都・新潟で、贅をつくした豪商のお屋敷や庭園を眺めたり、「みなとぴあ」の歴史的建造物をめぐったり、クラシカルな新潟散策を楽しんでみませんか?犬を回したり、狐を巻いたり、なんとも楽しい神社で願掛けも。
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北方文化博物館 新潟分館
旧斎藤家から徒歩1分の近さにあるこちらのお屋敷は、油田掘削によって巨万の富を得た長岡の清水常作(しみず つねさく)が、1895年(明治28年)に別宅として建設しました。清水氏の逝去後、明治末期には、「越後の豪農」と称された、伊藤家6代目・伊藤文吉の新潟別邸となります。
主屋は落ち着いた数寄屋造りで、茶室、洋館が増築されています。戦後には、この洋館で夕刊ニイガタの社長となった會津八一(あいづ やいち)が永眠するまでの晩年を過ごしています。八一の書や資料、良寛の書の展示も充実していますが、一番の見どころは、回遊式の日本庭園。茶室を配した枯山水の庭園が大変趣があります。
- 北方文化博物館 新潟分館
- 新潟市 / 博物館 / 庭園
- 住所:新潟県新潟市中央区南浜通2番町562地図で見る
- 電話:025-222-2262
- Web:http://hoppou-bunka.com/niigatabranch/
旧齋藤家別邸
新潟の三大財閥の一つに数えられた名家・齋藤家。幕末の頃、家業の清酒問屋から事業を発展させ、明治に入ると、北前船経営で成功、地域経済の近代化に大きく貢献しました。四代・齋藤喜十郎(さいとう きじゅうろう)が、1918年(大正7年)に別荘として建てたのが、このお屋敷です。数寄屋造りを基調とした建物は、近代和風建築の秀作といわれ、座敷ごとに欄間や建具も凝った造りとなっていて、随所に贅を尽くしていることが感じられます。
そして一番の見どころは、庭園と建物が見事に融合し、庭屋一如(ていおくいちにょ)の空間といわれる、建物から鑑賞する庭園です。砂丘地形を生かした回遊式の庭園は、面積約4,500平方m。高低差のある斜面を利用して造り出された滝や渓谷、各地から運ばれた巨石や奇岩が配置され、築山(つきやま)と見立てた庭園は、季節を問わず訪れるものを感動させるに違いありません。お座敷に座り、ゆっくりと庭を見て過ごしたい空間です。
- 旧齋藤家別邸
- 新潟市 / 建造物 / 庭園 / 紅葉 / 歴史的建造物
- 住所:新潟市中央区 西大畑町576番地地図で見る
- 電話:025-210-8350
- Web:http://saitouke.jp/
地獄極楽小路
旧齋藤家から徒歩1分の場所に、愉快な名前の通りがあるので、時間があれば寄り道してみてください。その名も「地獄極楽小路」。むかって左手は「行形亭(いきなりや)」という名の料亭の黒壁です。江戸時代創業の日本料理の老舗です。そして右手が、現在は西大畑公園なのですが、昭和46年まで刑務所がありました。
公園の入り口には、監獄所の通用門を縮小再現したものが建っています。「高級料亭=天国」と「監獄所=地獄」が小路を隔ててむかい合っていたことから、呼ばれるようになったそうです。夜ともなれば監獄の中にも、三味線の音色や笑い声が届いたことでしょう。そんなことを考えると、ちょっぴり切ない気分になりますね。
新潟市歴史博物館みなとぴあ
平成16年3月、信濃川のほとりに造られたのが「新潟市歴史博物館みなとぴあ」です。博物館本館では、実物資料や写真、模型などによって水の都・新潟の歴史と文化が理解できるようになっています。敷地内には、重要文化財の旧新潟税関庁舎や登録有形文化財の旧第四銀行住吉町支店などの、歴史的建造物も建っていて散策にぴったりのスポットです。
各所に配された堀をイメージした水路、広場を覆う芝生に桜や松、そして風に揺れる柳などは、かつて柳都(りゅうと)と称されたことからイメージして植栽されているそうです。
- 新潟市歴史博物館
- 新潟市 / 博物館 / 歴史博物館
- 住所:新潟県新潟市中央区柳島町2-10地図で見る
- 電話:025-225-6111
- Web:http://www.nchm.jp/
旧新潟税関庁舎
新潟は、1858年(安政5年)に締結された修好通商条約により、神奈川、函館、長崎、兵庫と並んで開港5港の一つに選ばれました。明治2年に建てられた税関庁舎は、当時の税関として現存する唯一の建物です。
関税業務を行う役所として、地元の大工が西洋建築を見よう見まねで造った建物で、「擬洋風建築」と呼ばれています。一見すると洋風の建物ですが、よく観察してみると、きんちゃく型のガラス窓やなまこ壁など、和風の技術で造られているところが数多くあります。
- 旧新潟税関庁舎
- 新潟市 / 建造物 / 観光名所
- 住所:新潟県新潟市中央区緑町3437-8地図で見る
- Web:https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/rekishi...
旧第四銀行住吉町支店
市内住吉町からこの地に移築・復原された建物は、鉄筋コンクリートづくりの建物に以前使用されていた石材をはるなど、気の遠くなるような作業を経て復元されています。花こう岩の外壁やギリシャ神殿様式の列柱などが特徴で、内外ともに、照明なども極力再利用し、無い物はそっくりに作り直されるなど、銀行だった建物の荘厳さをそのままに表現されています。2階部分は、無料で見学出来るようになっています。
- 旧第四銀行住吉町支店
- 新潟市 / 建造物 / 博物館 / 観光名所
- 住所:新潟県新潟市中央区柳島町2-10地図で見る
- 電話:025-225-6111
- Web:http://www.nchm.jp/index.html
湊稲荷(みなといなり)神社
1716年(享保元年)創建の小さなお社ですが、北前船の船乗りたちの信仰を集め、鎮守の森を灯台代わりに入港の目印にしていたそうです。この神社には、新潟市有形文化財第1号日本遺産にもなっている「回る願懸け高麗犬」があります。
願い事を心に念じながら狛犬を回すと願いが叶うといわれているのですが、その昔、花街の遊女や芸妓が愛しい船乗りが出港できないように荒天を祈ったという言い伝えもあります。
もう一つ、足元が麻ひもで巻かれている「足止めきつね」もいます。これも女性達が夫の深酒を止めるように願ったとか、花街で働く女性たちが客を繋ぎ留めたいと願ったことから始まったようです。麻ひもは授与所前に用意されています。どちらにしても女性の願いを聞いてくれそうな神社で心強いですよね。
- 湊稲荷神社
- 新潟市 / 神社 / パワースポット
- 住所:新潟市中央区稲荷町3482地図で見る
- 電話:025-222-6549
- Web:https://komainu-minatoinari.com/
散策ガイド
北方文化博物館 新潟分館と、旧齋藤家別邸は、徒歩1分というご近所ですし、みなとぴあと神社も徒歩5分の近さです。旧齋藤家別邸からみなとぴあ間も徒歩30分弱なので、徒歩ですべて周れます。所要時間は、半日程度見ておくとよいでしょう。お屋敷がある住宅街も趣がありますし、みなとぴあも信濃川沿いに美しい景色が見渡せる絶好のお散歩スポットになっています。みなとぴあには専用駐車場もありますし、お屋敷周辺には小さなコインパーキングが点在しているので便利です。
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