イタリア半島には独立した小国が二つあります。一つは、ローマ市内の平坦な場所に位置し、世界で一番小さい国ながら、カトリック教会の総本山としてあまりにも有名な「バチカン市国」。そしてもう一つは、イタリア半島の北東部、曲がりくねった山道をひたすら登った岩山の頂上に位置し、現存する世界最古の共和国として長い歴史をもつ「サンマリノ共和国」。今回は、周囲をイタリアの丘陵地に囲まれ、360°景観眺望の美しい小国、サンマリノをご紹介いたします。
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断崖絶壁の岩山頂上に今もなお佇む中世の城砦
イタリアの丘陵地に囲まれた岩山からの絶景
サンマリノ共和国のあるティターノ山の標高は749メートル。
断崖絶壁の岩山の頂上に一つの国が存在するとは驚きです。
丘陵地に囲まれているため視界を遮るものはなく、360°を見渡せる大パノラマ。突出した岩山頂上からの景観眺望は素晴らしく、東側には遠くアドリア海まで臨める絶景です。
「弱気を助け強気を挫く」高貴な歴史のある国
サンマリノは1631年に独立国家として認められた、世界最古の共和国です。大戦下のおり、命からがら逃げてきた敵の負傷兵を囲い、一方、近隣勢力の侵略に晒された際には果敢に立ち向かい、独力で撃退したうえ追撃して領土を広げたそうです。
その高貴なる誇りは、後世にも受け継がれているのでしょうか。街行く地元の人々やカフェのバリスタまでも、どこか気品を感じます。このような雲上の場所に住んでいたら、心に余裕が生まれるのかも知れませんね。
街を囲む3つの城砦
世界遺産である旧市街には、中世の時代に建てられた3つの城砦があります。第一の城砦Guaitaは11世紀に建設され、戦火のため何度も再建されました。
最も古い城砦ですが、現在の形に落ち着いたのは15世紀になってからです。
第二の城砦Cestaはティターノ山の最高峰に位置しています。
第三の城砦はMontale。3つの搭の中では一番小さく、一般公開はされておりません。この三つの搭は、サンマリノの国旗と紋章の両方に描かれ、国のシンボルとして重要度の高さを伺えます。
旧市街の歩き方
要塞や砦の観光は早朝か夕方がオススメ
サンマリノは世界で5番目に小さい国であり、一日あれば主要なポイントを観て回れます。
日帰りで来られる観光客も多く、昼前から大勢の人がバスで到着します。
眺望の素晴らしい要塞や砦の中には、一人しか行き来できない狭く急な階段もありますので、観光客のまばらな早朝や夕暮れの入場をオススメします。要塞や砦は有料です。要塞や美術館を巡ることのできるパスもあります。
できれば、空気の澄んだ早朝、大勢の観光客が訪れる前に主要なビューポイントを回ってしまい、皆が到着する頃にはカフェやレストランでのんびりしていたいところです。
カフェやショップの立ち並ぶオシャレな街
国のGDPの50%が観光収入というだけあり、街中はお洒落なカフェやショップが立ち並んでいます。中世の街並みをそのまま生かしたショップなどは、置いている商品もさることながら、建物自体の歴史もとても興味深いです。
また、丘陵地を見下ろす絶景カフェの景色と心地よい風は、時間が経つのを忘れさせてくれます。
坂道の多い旧市街
岩山の上にあるこの国の旧市街は、坂道が多い、というより坂道しかない!と言った方が良いかもしれません。どこを歩くにも坂、坂、坂。
特に要塞に向かう坂道は、車も上れないのではないかと思うくらいの急坂です。中世時代そのままというだけあり、道は石畳が多く、雨が降ると滑るかも知れませんので、なるべく歩きやすい格好で訪れたほうが良さそうです。
サンマリノへの行き方
イタリアに囲まれているサンマリノへの玄関口は、イタリアの「リミニ」というアドリア海沿いの漁港都市から行くのが便利かと思います。リミニ駅前からは定期的にバスが出ており、道が混んでいなければ1時間ほどで着きます。片道5ユーロです。
「Rimini-San Marino」の運行スケジュールは、こちらからご確認いただけます。始発ではない場合もあるため、もしリミニ駅前よりご出発の場合は「Rimini Stazione FFSS」のラインをご覧ください。
イタリアへは何度も足を運んでいても、「サンマリノは行ったことがない」という方もいらっしゃるかと思います。「リミニ」で前泊するのも良いですし、「リミニ」へは「ボローニャ」から急行列車(IC)で一時間前後ですので、ここからでも日帰り圏内です。
また、サンマリノを存分に堪能されたい方は、サンマリノ旧市街にもホテルはございますので、宿泊されるのも良いかも知れませんね!ただし、荷物が多いとあの坂はツライかも?