北海道指定天然記念物である当麻鍾乳洞(とうましょうにゅうどう)。約200年でたった3㎝ほどしか成長しない鍾乳洞が、1億5千万年前から形成されたものです。人類が誕生する遥か昔から、想像を絶するほどの長い年月をかけて成長してきた鍾乳洞は、まさに神秘の世界。思わず拝みたくなるほどの、神々しい景色の数々を見ることができます。当麻町に伝わる「蟠龍伝説」と共に、その内部をご紹介します。
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当麻鍾乳洞の起こり
今から約1億5千万年前。まだ恐竜がいたとされている中世代ジュラ紀より、この鍾乳洞の形成は始まりました。
当時の地球は地殻変動も穏やかで、恐竜などが繁殖を広げ、生物達があらゆる進化を遂げた時代です。そんな大昔から、約200年でたった3㎝ずつという僅かな成長を重ねて、鍾乳石は現在の姿へとなっていったのです。
当麻鍾乳洞の特色
昭和32年に発見された当麻鍾乳洞は、全長135m。地下空洞の天井や壁から染み出た地下水の溶触作用によって、長い長い年月をかけて作り上げられた石灰洞窟です。
決して大きな鍾乳洞ではありませんが、その鍾乳石の数々は不純物が少なく透明度が高い、極めて質の良いものだそうです。北海道天然記念物に指定されるほどの非常に貴重な価値を持っています。
気軽に訪れることのできる鍾乳洞
鍾乳洞と聞くと、少し構えてしまう方も多いかもしれませんが、洞窟を進んでいく難易度は高くありません。
一般的にイメージするような、水面と天井がギリギリで見ているだけで息苦しくなってしまうようなゾーンもありませんし、ヘッドライトの付いたヘルメットをかぶる必要もありません。
行きたい!と思えば、装備やガイドさんも無しに簡単に行けます。ただ、薄暗く、足元や頭上が危険ということは変わりありません。階段も多く、道も濡れていて滑るので、ハイヒールや靴底が滑りやすいものは避けましょう。
また、外の気温が30度を超えていても洞窟内は涼しく肌寒いので、羽織るものなどを持っていくことをお勧めします。
当麻鍾乳洞、神秘の内部
いよいよ、その神秘的な内部について紹介していきます。
洞窟内はひんやりとしていて、夏でも肌寒いほど。薄暗い内部はライトアップされており、神秘的な雰囲気を更に助長させています。
明るく照らし出されているおかげで、鍾乳石の細部や、奥の見えづらいところまでしっかりと見ることができます。
細い道や狭い道はもちろん、足元は濡れていて滑りやすくなっているので、かなり注意が必要です。かと言って、足元ばかり気にしていると「頭上注意」の看板も数多くあるので、上に気を払うこともお忘れなく。
思わず、拝みたくなるほどの厳かさ。歩を進めるごとに目に入ってくる、想像を絶するほどの年月と大自然が造り出してきた神々しい光景に、ただただ息をのむばかりです。
様々な鍾乳石
洞窟内では様々な種類の鍾乳石を見ることができます。つらら石や石柱は判りやすく見つけやすいので、意識しながら歩いてみると楽しみが増えることでしょう。
他にも、以下のような特徴的な形をした鍾乳石が数多く見られるので、ぜひ探してみて下さい。
- 石筍:筍のような形をした鍾乳石
- フローストーン:霜柱が1つの場所に密集したような鍾乳石
- カーテン:カーテンのような形をした鍾乳石
貴重な価値を持つ鍾乳石を意識しながら歩いてみることも、楽しみ方の1つとしてお勧めです。
当麻町に伝わる「蟠龍伝説」
当麻町を歩いていると、よく見かける2頭の龍。これは町に伝わる「蟠龍(ばんりゅう)伝説」を元にしたものです。
昔、突然雲の中から2匹の夫婦龍が現れ、大空を飛び回ったり、大地を駆け回ったりしていたそうです。その姿を先人達が見つけ、自分たちの守り神として、この地の発展を願ったとされています。
この蟠龍伝説で、龍神が休む所が「えぞ蟠龍洞(当麻鍾乳洞)」とされているのです。昭和32年の発見当時の中の様子は、龍が寝そべっているように見えたそうです。
まだまだ解明されていない、恐竜が生きた大昔の時代。現代の我々が「龍」と呼ぶような生き物がいたとしても不思議ではありませんね。
龍が寝そべっているように見えたその形は、実は龍の化石かも…。大の大人にそんな考えを抱かせてくれるほどの、人知では計り知れない不思議さが、この洞窟には満ちています。
ただただ神秘の世界に包み込まれるも良し、貴重な鍾乳石を学術的な観点から見るも良し、神話に思いを馳せるも良し。あなたのお好きなままに、当麻鍾乳洞を楽しんでください。
当麻鍾乳洞の基本情報
住所
北海道上川郡当麻町開明4区
電話番号
0166-84-3719
営業時間
9時~17時
営業日
4月下旬~10月下旬(冬季休業)
入場料
大人:500円
子供(小・中学生):300円
幼児:無料