かつてソ連の一部であったウクライナは、知られざる壮大な自然や遺跡、古都などを有する観光資源の宝庫です。日本人にはあまり馴染みのない国かもしれませんが、ウクライナ語のキリル文字のみだった街中の行先掲示に英語を併記し、日本人の場合90日以内の短期滞在観光目的のビザを不要とするなど、近年は観光に力を入れ始めています。今回は、数多いウクライナの名所の中から、首都キエフの3つの美しい教会群をご紹介します。
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ウクライナの今と昔
ウクライナ情勢
「ウクライナ」と聞くと、2014年に起きたウクライナ騒乱を記憶されている方も多いのではないでしょうか。キエフを中心に繰り広げられた反政府・抗議デモで、当時ロシア寄りの政策を行っていた大統領が国外へ脱出する事態となったのを始めとし、ロシアによるクリミア半島併合、ウクライナ東部での内戦と、立て続けに騒乱が起きました。
その間にはマレーシア航空の旅客機がウクライナ上空で撃墜されるなど、信じられないような事件もありました。
こちらはキエフの中心となる独立広場です。ここを中心にデモが起こり、100人以上の死者も出ましたが、その後の停戦合意により、首都キエフにおいては落ち着きを取り戻しています。
1500年の長い歴史をもつキエフの街
市内には、植物園や公園が数多く点在し、「緑の都」とも呼ばれています。その中にそびえるように建ついくつもの美しい教会は、まるでおとぎの国のように煌びやか。日本と同じように、春には新緑、秋には紅葉と、四季折々の景色を楽しめる、散策に適した街です。
読めそうで読めないキリル文字
ロシアをはじめ、旧ソ連の国を旅すると度々苦闘することになるキリル文字。ウクライナ語ももちろんキリル文字です。もともとギリシャ文字を手本に作られましたが、形こそ似たものがあるものの、発音は違うようです。
こちらは地下鉄キエフ駅です。「KIEV」と読めなくもないですが、やはりローマ字に馴染んでいる私たちには、これをキエフと読むのは難しいですね。
現地での発音は「クィーウ」なのだそう。以前はこのように、ほとんどの道標がウクライナ語(キリル文字)ばかりでしたが、公共の場所では徐々に英語が併記されるようになりました。これも、近年西側に政策変更し、観光に力を入れるウクライナの気概が感じられます。
キエフは東スラヴ国家と文化の地。同じく歴史深い日本の京都市とは、姉妹都市となっています。
地元の人々が英語を話せる可能性は低いですが、非常に親切で、道を聞けば身振り手振りで教えてくれます。また英語を話せる友人に電話して取り次いでくれたりもしますので、安心して観光できます。
キエフの黄金ドームが輝く3つの教会群
それでは、キエフの荘厳な黄金ドームの教会群をご紹介します。
教会内では、地元の女性は頭にスカーフを巻いている方がほとんど。イスラム教のモスクのように厳格ではなく、特に咎められはしませんが、もしお持ちでしたら女性は教会に入るときに巻かれた方がよさそうです。
ペチェールスカ大修道院(世界遺産)
ロシア正教の中でも数少ない「大修道院」の称号を持ち、11世紀半ばに創建された歴史ある修道院です。無数の巡礼者が後を絶たない、ウクライナ正教会の総本山。延々7kmに及ぶ城壁で囲まれ、その広い敷地には美しい教会や鐘楼、博物館が点在しています。
修道院のメインの入り口は、こちらの聖三位一体教会です。
入り口から教会となっており、礼拝はここから始まります。
聖三位一体教会を出ると、その先に大鐘楼が見えます。
高さ96.5mあるこの鐘楼は、金メッキが施されたドームまで上ることができます。
239段の階段を上ると、大修道院をはじめ、そばを流れるドニエプル川やその先までのパノラマを楽しむことができます。
その先の広場中央には、主聖堂として11世紀に建てられたウスペンスキー大聖堂があります。
この日は広場の大聖堂前に多くの人が集まり、とても神聖な雰囲気の中、美しい讃美歌を合唱されていました。
ウスペンスキー大聖堂の南側にはトラベズナ教会があります。
内部のフレスコ画はとても美しいです。
床に草が敷かれ、雨が降った後の草原のような香りがしています。
教会の中で編み物をしている方もいらっしゃいました。とても素敵な空間です。
敷地が広く、坂もあるので全てを見て回るには少なくとも2~3時間必要です。
- ペチェールスカ大修道院
- ウクライナ / 社寺・教会
- 住所:kiev pechersk lavra地図で見る
聖ソフィア大聖堂(世界遺産)
キエフの最も古い教会です。キエフの宗教的・文化的な中心として位置づけられてきました。鐘楼は26mあります。
建物は何度となく修復が繰り返されましたが、現在見られる6つの丸屋根と金箔は、ウクライナ・バロック様式に再建された17世紀当時のものです。
聖ミハイル 黄金ドーム修道院
聖ミハイルは、黄金ドームで覆われた修道院です。こちらの印象的なドームは、晴れた日には黄金の輝きを放っています。
黄金ドームが、薄いブルーの外壁と青空の中に映えて、とても美しいです。
内壁のフレスコ画もダイナミックで、圧倒的な美しさです。
- 聖ミハイル 黄金ドーム修道院
- ウクライナ / 社寺・教会
- 住所:Triokhsviatytelska St, 8, Kyiv, ウクライナ 01601地図で見る
キエフへの行き方
2017年2月現在、日本からウクライナへの直行便はないため、周辺の国を経由して行くことになります。日本からですと、直行便の出ているドイツのフランクフルトまたはミュンヘン、トルコのイスタンブールを経由して行かれると、一度の乗継ぎで済み、短時間で行くことができます。
国際便が到着するボルィースピリ空港からキエフ中央駅までは、空港バスが出ています。キエフ市内の観光地へは、地下鉄やバスで移動するのが便利かと思います。
地下鉄のホームは非常に深いところにありますが、宮殿の中かと思わせるような豪華な装飾の駅ホームもあるため、ぜひ乗って見られることをお勧めします!