設置された遊歩道が、湯けむりでさえぎられるほど、白い湯気がもくもくと立ちこめています。場所によっては、圧力釜の空気を抜いているかのように、遊歩道をめがけて、すごい勢いで吹き付けてくる蒸気。そんな迫力ある渓谷が、秋田県湯沢市にあります。別名「地獄釜」とも呼ばれる小安狭随一の景勝地。夏は深い緑、秋は鮮やかな紅葉と栗駒山の景色を眺めながら、自然の中へ出かけてみませんか?
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小安狭とは?
小安峡は、秋田県の南方、栗駒山麓にある渓谷です。渓谷周辺には小安狭温泉と呼ばれる小さな温泉郷が存在します。開湯は江戸初期で片足に怪我を負った鶴が、この湯で傷を癒したことから発見されたと伝えられています。
この渓谷に並行して、秋田県と宮城県とを結ぶ国道398号線が通っており、国道沿いには、奥羽山脈栗駒連峰の名水と名高く、秋田の酒蔵では、焼酎造りにも利用されている「栗駒神水」があります。
渓谷の全長は約8kmで、湯沢市にある雄物川の支流であるとともに、皆瀬川の上流にもあたり、栗駒国定公園に含まれています。皆瀬川の急流が、長年にわたって両岸を深く浸食し、形成された渓谷で、その渓谷美を堪能するには、国道に架けられた赤い河原湯橋からが、まずはお勧めです。
毎年10月下旬~11月中旬の紅葉シーズンには、周辺一帯が錦秋で染まると評判で、観光客が大勢訪れます。
これぞ!大地のエネルギー!「大噴湯」
さあ、橋から見下ろす小安狭を堪能した後は、いよいよ渓谷へと下っていきましょう。
国道から200段の階段を降りると、渓谷に到着です。渓谷沿いには、800mの遊歩道が続いており、通り抜けも可能です。
周辺の断崖から温泉の蒸気が何箇所も吹き出す「大噴湯」は、小安狭のビュースポットで、大地の力強いエネルギーを実感できる場所です。
湯けむりが、辺りを覆っている光景は「地獄釜」と呼ばれるほど異様な雰囲気。遊歩道に向けて、轟音を響かせ、シューッと勢いよく吹き出してくる蒸気を近くで見るのは、迫力満点でもありますが、怖さもあり、走って通り抜けるほどでした。「保湿~♪」などと、喜んではいられません。
小さいお子さんは怖がって先に進めない状態でした。蒸気の強さも湯気の深さも、日によって強弱があるとのこと。これも自然のエネルギーならではですね。
遊歩道沿いには、大量のお湯が岩場を流れ、露天風呂のように溜まっている所もありますが、源泉の温度は98度と大変高温なので、うかつに手を出すと火傷をする恐れがありますから、蒸気にもお湯にも気をつけてください。
登り階段で疲れたら、立ち寄り湯や無料の足湯で癒されて
当然ですが、200段下りたら200段を登らなければいけません。これが、結構急できつい階段なので、ゆっくりと息を調えながら登って下さいね。階段で疲れたら、小安狭上流には12軒ほどの温泉宿があり、中には立ち寄り湯を楽しめるところもあります。また国道沿いには、飲食店なども点在しています。
その中の一軒、「あぐり館みなせ」では、地元の野菜や加工品などを取り扱うほか、無料の足湯も隣接しているので、お勧めです。