北アフリカのマグリブに位置するアルジェリアは、アフリカ大陸最大の面積を誇る大国です。歴史的には、紀元前のローマ帝国、イスラム帝国、オスマン帝国、フランス領として支配され、1962年に独立したアルジェリアは、今でもこれらの時代がほどよくミックスされた、歴史的にも文化的にも観光資源の多い魅力的な国です。今回は、アルジェリアの首都アルジェ、橋の美しい山間の街コンスタンティーヌ、ロマン遺跡の点在する世界遺産ティパサをご紹介します。
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最近のアルジェリア情勢
1992年に起きた軍事クーデターと、その後2002年まで続いた武装イスラム集団との内戦により、近年まで情勢が不安定だったアルジェリア。
内戦末期の1999年に大統領選挙で選出されたブーテフリカは、幾度の反政府運動を経つつ、20年の長きに渡って政権を維持しました。しかし、彼の汚職の事実が次々と判明するなか、2019年に入り再選を目指そうとした彼に激怒したアルジェリアの人々は、ブーテフリカへの抗議のため、毎週金曜日にデモンストレーションを実施し、とうとう2019年4月2日に大統領職を辞任に追い込みます。民衆の勝利と思われましたが、辞任後も彼の息のかかる人物が政治に関わり続けている現状に不服と、アルジェリア人は今でもデモンストレーションを続けています。今後の政情に目が離せません!
それでは、さっそくアルジェリアの首都アルジェより見どころをご紹介します。
アルジェリアの首都アルジェ
地中海に面したアルジェは、乾いた風の吹く地中海性気候に恵まれた、とても過ごしやすい街です。
街中は、幾多もの統治時代の面影が色濃く残り、時代の変遷を今でも辿ることができます。
カスバ(旧市街)/世界遺産
一般的に「カスバ」というと、ここアルジェの丘を指します。「カスバの女」という昔の歌謡曲も、ここをイメージして作られました。この一帯は高低差が118mにもおよび、海岸線とそれを臨む起伏のある地形が特徴的です。
急勾配を縫うように伸びる細い路地の両脇には、家々やショップが立ち並び、多くの人々が行き来する賑わいのある通りになっています。
一見、イスラム国家ではどこにでもあるメディナやスークのようですが、この国だけ「カスバ」と言うのは、かつてオスマン帝国の領下にあった際、当時の「城塞」を意味する「カスバ」がそのまま使われているためです。
Djemaa El Djedid
漁業のモスクとして知られるアル・ジャディドは、オスマン帝国に指示され設計されました。建設当時、北アフリカに影響を及ぼしていたアンダルシア(スペイン)とイタリアの要素も取り入れられ、モスクとしては珍しい建築様式に仕上がっています。白亜の壁が青空に映える美しいモスクです。カスバ内の端となる海沿いの平坦地に建てられています。
ミナレットは同じマグリブであるモロッコのものに似ていますね。
ちなみに、マグリブとはアラビア語で「陽が落ちること」、「陽が落ちるところ」など西の方向を意味します。アルジェリアのほかに、モロッコ、モーリタニア、チュニジア、リビアの五か国がマグリブと言われています。また、ムスリムの一日五回の礼拝で、日没時に行われる礼拝を指す言葉でもあります。
アル・シャディドモスクの周りはMartyrs広場という大きな公園です。
- Djemaa El Djedid
- アルジェリア / 社寺・教会
- 住所:Djemaa El Djedid地図で見る
Mosquee Ketchaoua
こちらの美しいモスクは、カスバの入り口に建っています。
ケチャウアというモスクの名前は、オスマン帝国時代のトルコ語の地名がそのまま付けられたものです。
このイスラムモスクともキリスト教会とも思える建物は、1436年に建設された当初はモスクでしたが、支配する領主が変わるたびにキリスト教会、モスクと用途が代わり、その度に建物は改修されました。どおりでモスクらしくない出で立ちです。現在、当初のオリジナルとして残っているのは前庭の柱のみになっています。
- Mosquee Ketchaoua
- アルジェリア / 社寺・教会
- 住所:Mosquee Ketchaoua地図で見る
カスバを散策してみよう!
カスバは、ガイドブックなどに載っていない、オスマン帝国時代の貴重な建築物が、未だ数多く点在しています。
有名無名によらず説明のない建築物も多く、オリジナルマップなど作ってみたくなるくらい魅力のある街です。迷子にならないように注意してくださいね!
新市街
カスバのすぐ南側に続く新市街は、フランス統治時代に発展した地域で、雰囲気がガラリと変わります。
交通量も多く、忙しない雰囲気もありますが、道路の両脇はフランスのパリを思わせるような建物が立ち並んでいます。
フランスパンを道の真ん中で売る露店なども、よく散見されます。売り方がユニークですね。
National Theatre(アルジェリア国立劇場)
カスバのMartyrs広場を背にしてBab El Ouedという大きな通りを南へ向かうと、右手に見えてくるのは、1853年に建設されたオペラ鑑賞のできるシアトルです。
ネオバロック様式の劇場は、アルジェリア文化財の一つでもある由緒ある建築物で、夏には多くの舞台芸術や特別公演が行われます。
- アルジェリア国立劇場/アルジェ ナショナルシアター
- アルジェリア / エンターテイメント
- 住所:Algerian National Theatre Mohiuddin Bhtarzi地図で見る
Ibn Badis Mosque of Algiers
さらに進むと、左手にドームが見えてきます。オスマン帝国時代に建てられたモスクです。正面は賑やかな通りから一つ海側の道となります。形状が美しく、この付近だけは何故か静かで落ち着いており、このモスクだけが圧倒的な威厳を放っています。
- Ibn Badis Mosque of Algiers
- アルジェリア / 社寺・教会
- 住所:Ibn Badis Mosque of Algiers , アルジェ・サントル アルジェリア地図で見る
Emir Abdel kader Place
元の通りに戻り、さらにショップの立ち並ぶ道を行くと、小さな広場へ出ます。
この広場は、19世紀半ばにアルジェリア侵略戦争を導いた改革派「Abdel kader」というの人物の像が中心に立っています。
この像より有名なのが、広場を囲むように建っている「カフェミルクバー」と「Le Novelty」というレストラン。歩き疲れたら寄ってみてくださいね。
- Emir Abdelkader Place
- アルジェリア / 公園・動植物園 / 広場
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アルジェ中央郵便局(Grand Poste d'Alger)
さらに進むと、アルジェ新市街の中心部に出ます。1870年に建てられたこちらの中央郵便局は、3つのアーチとアーケードで形成され、上部のファサードの素晴らしさからアルジェでも一大観光名所となっています。
フレンチとイスラムが融合したような建築様式で、内部はイスラム風です。
アルジェの地下鉄
ここからは地下鉄で移動します。アルジェには、最近開通したばかりの地下鉄が、カスバから南の方まで要所を抑えて走っています。今後はアルジェの国際空港まで延伸するようです。
バスより分かりやすく、安いうえ、時間通りに運行されるため、是非、アルジェ巡りの足として使ってみてください。
それではアルジェ中央郵便局前の駅「Tafourah」より、さらに南へ向かいます。
Martyrs' Memorial Algiers
地下鉄「Jardin d'essais」駅で降り、地上へ出てすぐのところにあるロープウエイに乗り山頂へ向かいます(およそ20円)。
すぐに殉教者のための碑「Martyrs' Memorial」へ到着します。
高さは92メートルあり、山の上に建っていますので、アルジェの街のどこからでも見える都市のシンボルともなっています。
そして、ここから眺めるアルジェの街がなんとも美しい!
カスバの街並み。
眼下には、映画『ターザン』も撮影された「デュ・アムマ植物園」も一望できます。
- Martyrs' Memorial Algiers
- アルジェリア / 建造物
- 住所:The shrine of the martyr地図で見る
Grand Mosque Alger
そして、アフリカ最大にして、世界第三番目の大きさを誇るグランドモスクも見えます。
2019年4月時点では未だ建設中ですが、この、どこからでも見える高いミナレットは床面積も広く、最上階にはレストランができるのだとか。食事のできるミナレットは、世界のどこを探してもここだけではないでしょうか。
- Grand mosque Algier
- アルジェリア / 社寺・教会
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