令和元年6月1日、天皇皇后両陛下は初の地方公務として愛知県を訪れた際に「七宝焼アートヴィレッジ」をご訪問されました。伝統工芸品の七宝焼きは、古くから愛知県尾張地方での生産が盛んでした。本記事では七宝焼の展示や体験もできる「七宝焼アートヴィレッジ」についてご紹介します。
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七宝焼きとは
七宝焼とは、金、銀、銅など金属の表面にガラス質の釉薬をのせて焼き付けたものです。古くから使われた装飾技法で、古代のメソポタミア文明やエジプト文明に似たものがあるそうです。ツタンカーメンの仮面の一部にも七宝焼きが使われています。
この技術はシルクロードを伝って中国を経て日本に持ち込まれたと言われています。七宝とは七種類の宝をちりばめたように美しいものという意味で名づけられました。1995年に国の伝統工芸品に認定されています。
なぜ愛知県で生産が盛んなのか
昔から愛知県の尾張地方では七宝づくりが盛んで、七宝町という町名ができるほどでした。(現在も名前は残っています。)
これは江戸時代の梶常吉というメッキ職人の努力のおかげです。当時は高価だったガラス製の釉薬を、試行錯誤の末に自作することに成功したのです。彼は技術を独占することなく製法を同業者にも公開しました。そのため七宝製造が愛知県で急速に発展したと言われています。
七宝焼アートヴィレッジ
この施設は、七宝焼きの歴史や製作工程を見学したり自分でブローチなど小物作りを体験できる施設です。入館料は無料!
展示コーナー
こちらでは七宝焼の製作工程を見学できます。七宝焼は各工程を職人が分業して作品ができあがるのです。現在でも機械化できる部分は少ないそうで、絵付けをしたり、釉薬を掛けたりなどの工程は職人の長年の経験をもとにして手作業で行われています。
実演コーナーもあるので、伝統の技術を受け継ぐ匠の技に直に触れることができます。
体験コーナー
七宝焼きの歴史に触れた後は、小物づくりで実際の製法を体験することができます。予約は不要で、ブローチやペンダントは約1時間で完成します。初めての方でもスタッフの方が丁寧に作りかたを教えてくれるので気軽に体験できますよ(最終受付は15:30です)。
ふれあい広場
敷地には芝生が青々と茂った広場も併設されて、子供連れの家族が散歩をする姿も見られました。芝生横にはテラスもあるので、のんびり過ごすことができそうです。
おわりに
かつては愛知県に200軒以上あった七宝焼きの窯元も、現在ではわずか8軒に減少しています。厳しい現状の中でご高齢となり、後継のいない職人の方は次々に看板を下ろしているとのこと。職人の技術力によって支えたれてきた七宝焼きは今も「生きた」伝統工芸品です。
コンバースも七宝焼きをモチーフにしたデザインのスニーカーを販売するなど、海外からの注目も高まっています。
「七宝焼アートヴィレッジ」が、七宝焼きや伝統工芸への興味を深めるきっかけとなることを願います。
- あま市七宝焼アートヴィレッジ
- あま市 / 体験・アクティビティ / 穴場観光スポット
- 住所:愛知県あま市七宝町遠島十三割2000地図で見る
- 電話:052-443-7588
- Web:http://www.shippoyaki.jp/