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Igreja do Carmo(カルモ教会)
アンゴラは上述の通りポルトガル領でしたので、それ以前に信仰されていた土着の伝統的宗教からキリスト教へ改宗した(させられた)国民も多くいました。公用語もポルトガル語です。街には、植民地時代に建てられた古い教会が残ります。
ポルトガル領だったアフリカの国はどこも同じく、教会のアズレージョが美しいです。アズレージョとは、ポルトガル文化の典型的なタイルで、スペインのカラフルなタイルと違い、色は青一色のものが多いです。「アズレージョ」はペルシャ語で「青」を意味しています。
イベリア半島(現在のポルトガルやスペイン)は、8世紀前半ごろ北アフリカから侵入してきたアラブ人によって支配されていましたので、その過程でペルシャ語であるこの名が付き、ポルトガル領土へと伝えられたようです。
大西洋沿いの公園
大西洋沿いには整備されたプロムナードがあり、湾に沿って続きます。
- 大西洋沿いのプロムナード
- アンゴラ / 遊歩道
- 住所:Luanda地図で見る
新市街の様子とポルトガルの名残
プロムナードの内陸側は、建設されたばかりと思われる瀟洒な建物が並びます。植民地時代を反映しているのか、ポルトガルらしいカラフルなパステルカラーの建物が多いですね。
街中には統治時代の名残を感じるものも。
それでも貧困層は減らない
ここまで、開発の進んだ綺麗な街並みをご紹介しましたが、それらは本当に一部の地域だけで、そこから離れるとすぐに貧困層の住む昔ながらの古い家屋が立ち並びます。
アンゴラは、多くのアフリカ諸国と同様にコレラやマラリアなどの感染症が多いうえ、乳幼児の死亡率が世界で最も高く、平均寿命も世界トップレベルに短い国でもあります。
アフリカ諸国は、地中資源に依存する国と先進国のODAや国連(IMF)に頼るなどで政府関係者ばかりが潤いますが、多くの国民は一日2ドル以下で生活する貧困層です。
ルアンダの物価は本当に世界一高い?
そんな貧困層を多く抱えるアンゴラですが、首都ルアンダは2007年から2017年にかけて、物価高の世界ランキングで度々世界一となり注目されていた時期がありました。本当に物価が高いのか、現在はどうなのか、実際にお店へ入って確かめてみます。
Supermercado Maxi(スーパーマーケット)
こちらは、ルアンダ中心部にある「Supermercado Maxi」という大手チェーンのスーパーマーケットです。アンゴラ国内で採れた新鮮な自然栽培野菜を売りにしており、食品を中心に幅広く様々な商品が並びます。物価を実際に見てみると特段高いと感じる商品は見当たりません。あえて言うなら、輸入食品が少しだけ高い印象です。
アンゴラの通貨単位は「クワンザ(KZ)」です。2021/7現在、1KZ=0.17円です。下の写真の左側の137KZと書かれた缶の飲み物は、日本円でおよそ23円です。
すぐ右隣にある白い箱Genial(ポルトガル産の赤ワイン)は2,600KZで442円。日本では、これと同じワインがネットにおよそ1,300円で販売されていました。アンゴラはポルトガルから短距離という輸送量の安さもあるのでしょうが、日本と比べてもかなり安いように思います。
- Supermercado Maxi(スーパーマーケット)
- アンゴラ / スーパー・コンビニ
- 住所:Supermercado Maxi Luanda地図で見る
Dakaza(インテリア用品店)
地産地消の食糧が多いためスーパーマーケットは例外的に安いのかと思い、政府関係機関が立ち並ぶ通りに位置する高級インテリアショップ「Dakaza」へ行ってみました。上段にある緑色の服を召した置物は3,000KZ。日本円にして510円です。「高すぎる!」という価格ではありませんよね。
そのほかの雑貨もそれほど高いとは思いませんでした。日本人が見れば、どちらかというと「安い」という感覚のように思います。
為替マジックで物価高世界一
上述したとおり、アンゴラの目覚ましい発展は原油やダイアモンドなど地中資源のおかげであり、現在においてもGDPの半分近くをそれらが占めています。また、歳入が米ドルに大きく依存していたこともあり、世界一高い物価といわれていたころは政府が為替に大きく介入していました。
アンゴラ通貨であるKZ(クワンザ)の対円為替10年チャートを確認してみます。下図を見ると、「世界一高い物価」と言われていた2017年12月まで、ほぼ横ばいが続いていることが分かります。これは上述のように、アンゴラ政府が為替に介入し固定相場を続けていたためで、管理フロート制へ移行した2018年1月から急激に円高が進んでいます。
- 出典:www.xe.com通貨換算レート・海外送金サイトXeのスクリーンショット
世界一の物価と言われていた2014年の最安値(1KZ=0.83円)から、この記事を書いている2021/7時点では約7倍(1KZ=5.98円)まで円高が進んでいます。
7倍とすると、上述のポルトガルワインGenialが3,000円です。それは少し高いかも知れませんね。同様に、日本で食べるマクドナルドのビッグマックセット600円が7倍の4,200円でしたら高すぎますし、スターバックスコーヒーのショートラテ400円が、ルアンダでオーダーすると2,800円でしたら誰も足を運ばないでしょう。
これは、対円だけでなく、対ドル(写真下左)、対ユーロ(写真下右)も同様の動きですので、海外からアンゴラへ入国した人から見ると相対的に「ルアンダの物価は高い」とされたのも頷けます。
- 出典:www.xe.com通貨換算レート・海外送金サイトXeのスクリーンショット
- 出典:www.xe.com通貨換算レート・海外送金サイトXeのスクリーンショット
尚、アンゴラ国民にとっては今も昔も物価に変化はありません。為替に介入し地中資源の輸出で大きく利益を得たアンゴラ政府が潤ったというところでしょう。
アンゴラVISA情報
観光目的でアンゴラへ行く場合、VISAが必要です。事前にWebからe-Visaを取得できますので、印刷して持参します。
- アンゴラのe-Visaはここ ⇒ https://www.onlinevisa.com/angola-visa/
尚、e-Visaを取得しても、結局は現地到着時に写真撮影や正式VISAシート印刷発行が必要で、相当時間がかかります。東京世田谷にある在日アンゴラ大使館へ行ける距離に住んでいる方は、日本で事前に正式VISAを取得して行くことをお勧めします。
- 在日アンゴラ大使館HPはここ ⇒ https://www.angola.or.jp/ja/consulate-ja/#tourism
アンゴラへの行き方
日本からアンゴラへの直行便はありませんので、アフリカ大陸から日本へ直行便を出しているエジプト航空や、エチオピア航空、南アフリカ航空を使い、それぞれカイロ、アディスアベバ、ヨハネスブルグを経由して行きます。