栗きんとんと聞いてどのような物を思い浮かべますか?お正月に食べるあれでしょうか?実は栗きんとん発祥の地と言われる岐阜県中津川市の栗きんとんは、主に栗と砂糖のみを使って炊き上げ、茶巾で絞ったような形に仕上げた和菓子で、お正月の栗きんとんとはまったくの別物です。無添加のため、誰でも安心して食べられるやさしい味わいが特徴です。秋になると市内の各和菓子店でそれぞれ栗きんとんが販売されます。今回は栗きんとんのマメ知識と合わせて、なかでもおすすめの和菓子屋さん3店舗をご紹介します。
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かつての中山道宿場町!岐阜県中津川市とはどんなところ?
江戸日本橋を起点とし、京都まで約530kmを結んだ江戸時代の街道・中山道。その道中には69箇所の宿場があり、中津川市内にも馬籠宿といわれる宿場が置かれていました。現在宿場エリアは観光地として栄え、古民家を利用した飲食店やお菓子屋、雑貨屋などが立ち並びます。昔の趣のまま、宿泊ができる旅館もあり、風情に溢れています。
栗の収穫量なんと全国第4位!岐阜県は栗の宝庫
平成26年産栗の収穫量調査(農林水産省調べ)によれば、岐阜県は全国で第4位の生産量を誇ります。ちなみに1位は茨城県、2位は熊本県、3位は愛媛県となっています。栗は土壌が美しくないと、美味しい物はできあがらないそうです。中津川を旅して分かった空気の清々しさと山々の雄大さを想うと納得の結果だと感じます。
栗きんとんはどうやってできたの?茶巾絞りの形が伝統的
中津川市では昔から、秋になると山栗を収穫しては焼き栗や茹で栗にしたり、栗ご飯を炊いたりと秋の味覚を楽しんでいたそうです。その後蒸した栗をちいさく刻んで潰し、砂糖を混ぜ込み、茶巾に絞って食べるようになったことが栗きんとんの始まりと言われています。
その後明治時代の中頃になって、和菓子屋によりお菓子として商品化されたと伝えられています。実際に中津川市の和菓子屋で販売されている栗きんとんは、すべて可愛らしい茶巾絞りの形です。
大人気!中津川市の厳選栗きんとん3選
中津川市の観光案内所や和菓子屋では、中津川の栗きんとんめぐり公式マップが手に入ります。マップでは栗きんとんを販売する計14店が紹介されていますが、今回はなかでもおすすめの3店をご紹介します。
【1】栗きんとんのまさに元祖!元はお酢屋だった「すや」
創業当時はお酢屋さん?
すやはなんと創業元禄元年(1688年)という古い歴史を持っています。当初はお酢を売る酢屋でしたが、現在は和菓子屋として広く知られています。店名に昔の名残があるのが面白いですね。栗きんとんを一番初めに製造したという説があり、まさに栗きんとんの元祖ということで有名です。
古民家で営業?すやをおすすめする訳
味についても、上品な甘さで舌触りがさらっとしていて繊細さを感じます。一口食べるとふんわり栗の香りと砂糖の甘味が広がり、元祖栗きんとんの風格が垣間見えます!やはりこちらはぜひご賞味頂きたい店舗です。
また、筆者はすや本店へ赴き、商品を購入しましたが、本店の建物は木造建築の古民家で、大変歴史を感じられる店構えでした。すやの商品をお買い求めの際は、ぜひ本店へ行かれることをおすすめします。
【2】テレビCMでも話題!「川上屋」
地元ではすや派と川上屋派で分かれている?
川上屋は創業元治元年(1864年)で、恵まれた土地から生まれる産物に着目し、こだわりの逸品を作り続けてきている和菓子店です。地元ではすやと並ぶ人気店で、すや派と川上屋派の二大派閥があるほど。東海地域では川上屋がテレビCMを放送しているため知名度が高く、店舗数が多いことでも有名です。
なんと言ってもその舌触り!
実際に食べてみると、栗の粒感がほどよく残っており、甘さ控えめで食べやすい印象を受けました。歯ごたえはしっかりしているタイプで、一粒の存在感が大きく思えます。原材料は、すやが栗、砂糖のみに対して、川上屋は栗、砂糖、トレハロースを使用しています。
甘さ控えめで食べやすいこともありますが、地元の栗きんとん二大派閥の一派という理由もあり、おすすめできるお店です。二大店舗のどちらが好みか吟味してみると面白いかもしれません。
- 川上屋 本店
- 中津川市 / 和菓子
- 住所:岐阜県中津川市本町3丁目1−8地図で見る
- 電話:0573-65-2072
- Web:http://www.kawakamiya.co.jp/
【3】久里柿も人気の生菓子専門店「松月堂」
100年以上続く、昔ながらの素朴な和菓子店
松月堂は創業明治40年(1907年)と、生菓子専門店として100年以上の歴史があります。現在は四代目に受け継がれようとしているところで、昔ながらの素朴な菓子作りにこだわっています。
美味しそうなきつね色!松月堂の栗きんとん
松月堂の栗きんとんは、小包を開けるとひょっこり顔を出すその色に注目です!渋皮がほどよく菓子のなかに使用されていて、ほんのりきつね色なのです。栗の栄養素がぎゅっと詰まっている印象を受け、進んで食べたいと感じるものでした。
すやと川上屋のまさに中間のような歯ごたえで、上記2店舗の間くらいがお好みだと思う方におすすめできる栗きんとんです。
久里柿(くりがき)とはどんな食べ物?
松月堂では、栗きんとんを珍しい食べ方で販売しています。信州市田の干し柿で栗きんとんを包み込んだ和菓子、久里柿(くりがき)です。通常の栗きんとんはもちろん、栗きんとんを使用した創作和菓子を賞味できることも松月堂をおすすめする理由の一つです。
- 松月堂 本店
- 中津川市 / 和菓子
- 住所:岐阜県中津川市太田町2-5-29地図で見る
- 電話:0573-65-3008
- Web:https://www.syogetsudo.jp/webshop/
ちょっと得する豆知識!にぎわい特産館とは?
今回筆者は栗きんとんを購入するため、各店舗を1件ずつ回りました。それぞれのお店の建て構えを見学することができて楽しかった反面、同時に思うことがありました。もっと効率よく色々な店舗の栗きんとんが買えたらいいなあ、と。実はそんな願いがかなう場所が存在するのです!それは中津川駅前のにぎわい特産館です。
こちらでは14店の和菓子屋の栗きんとん詰め合わせが販売されています。もちろんばら売りで購入することも出来て大変便利です。筆者は全部の店舗を巡ったあと、にぎわい特産館の存在を知ったので、これから行かれる皆さまには是非事前にお伝えしておきたいお得情報です!
- にぎわい特産館 中津川観光センター
- 中津川市 / おみやげ屋
- 住所:中津川市栄町1−1 にぎわいプラザ1階地図で見る
- 電話:573-62-2277
- Web:http://n-kanko.jp/omiyage/