イラク

【イラク】これぞ本場のバグダッド・カフェ5選!

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東京在住
訪問エリア:192ヶ国

2025年4月21日更新

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写真:toshel

イラクの首都バグダッド旧市街では、多くの人々に愛されるカフェが点在します。イラクのカフェは、コーヒー紅茶だけでなく、シーシャ(水タバコ)を吸う人が多いです。また、政治や思想、趣味などの語らいを目的とする人々で賑わいます。今回は、数多くあるバグダッドのカフェより厳選した5つのカフェをご紹介します。

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バグダッド旧市街の文化的ストリート

イラクの首都バグダッド旧市街にあるムタナビ通りとラシッド通りは、イラク全土で最も有名なストリートの一つです。特に中世のアッバース朝時代(750年~1258年)から知識人のコミュニティの中心として知られ、多くの著名な詩人や学者が集まり議論を交わす場所として発展しました。「カイロが書き、ベイルートが出版し、バグダッドが読む」という有名なアラブのことわざにも示されるように、学問と文化の交流の場だったのです。

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ムタナビ通り

ムタナビ通りは、915年にイラクのクーファで生まれたアラビアの著名な詩人「アブー・タイーブ・ムタナビ」にちなんで名付けられました。ムタナビは文学的な才能で知られ、多くの詩は愛、自然、哲学といったテーマを探求しており、豊かな比喩を用いて表現されていることで今もなおアラビア語圏で広く引用され、多くの文化人に影響を与えています。彼の名からムタナビ通りが名付けられ、文学的自由の象徴となり、今もバグダッドの文化と知識の中心地として多くの書店やカフェ、文房具屋が並びます。

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そして、詩人や作家、学生が集まり、意見交換や文化活動が行われているほか、訪れる観光客にとっても重要なスポットです。

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アル・ラシード通り

アル・ラシード通りは、アッバース朝のカリフ「ハールーン・アル・ラシード」にちなんで名付けられています。この通りは政治的、精神的、都市的、そして文化的にバグダッドで最も重要なランドマークの一つとなっています。

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また、芸術的、歴史的、そして影響力のある重要性から、パリのシャンゼリゼ通り、カイロのモハメッド・アリ通り、ベイルートのハムラ通りといった世界各地の著名な通りと比較されてきました。その歴史と重要性からユネスコの世界遺産への登録も提案されたほどです。近年、この通りはバグダッドの中心地として認識され、その重要性から「バグダッドの生きた記憶」というニックネームが付けられています。

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バグダッド旧市街の歴史的カフェ

これら多くの人々の集うバグダッド旧市街ストリートの歴史あるカフェをご紹介します。

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シャバンダール・カフェ(Shabandar café)

ムタナビ通りに1917年創業のシャバンダール・カフェは、バグダッドのカフェ文化の礎と言っても過言ではありません。当初は冊子の印刷所でしたが、オーナーによってカフェへと変貌を遂げ、政治、文化、文学に関する議論が盛んに行われてきました。抗議活動や討論など、歴史的な出来事の舞台ともなったこのカフェは、イラクの様々な芸術家や知識人にとって文化的なランドマークとなっています。

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シャバンダール・カフェは、単にコーヒーや紅茶を楽しむ場所ではなく、文化と知的交流の活発な中心地です。バグダッドの豊かな歴史を反映した歴史的な写真や遺物が飾られた空間の中で、観光客や地元の人々が文学、詩、時事問題について語り合います。カフェは、木製の家具を基調としスマホゲームを禁止するなど、バグダッドの伝統的な雰囲気が特徴です。

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尚、2007年の爆撃によりカフェは破壊され、オーナーの家族数名が悲劇的な死を遂げました。しかし、その後に「文化遺産を守るため」と再建されました。バグダッドの重要な社交場として多様な顧客層を惹きつけ、その回復力と揺るぎない精神を示したかたちです。

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シャバンダール・カフェでは、伝統的なイラクのレモンティーやコーヒーと様々な軽食を提供し、会話を楽しめる居心地の良い雰囲気を維持しています。多くの来店客は、ここを「生きた歴史書」と表現していますよ。

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シャバンダール・カフェ
イラク / カフェ・喫茶店
住所:89RQ+36H, Baghdad, イラク地図で見る

ウム・クルスーム・カフェ(Umm Kulthum Café)

ムタナビ通りと交差するアル・ラシッド通りにあるウム・クルスーム・カフェは、伝説的なエジプトの歌手ウム・クルスームを称える由緒あるカフェです。

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バグダッドの豊かなコーヒーハウス文化において重要な役割を果たしており、何世紀にもわたって街の社会構造に深く根付いてきた伝統あるカフェです。アル・ラシード通りはムタナビ通りと同様に、歴史的知識人、芸術家、作家の中心地として知られており、ウム・クルスーム・カフェは、これらの常連客同士の交流や文化的な議論を促進すること重要な役割を果たしています。

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カフェの壁にはウム・クルスームの写真が飾られ明るい雰囲気が漂います。バグダッドの歴史を通してコーヒーハウスが担ってきた文化的意義を彷彿とさせる伝統的な雰囲気に浸りながら、地元のコーヒーを味わうことをお勧めします。

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アラブ音楽とイラクの文化史に興味のある人にとって、ウム・クルスーム・カフェを訪れることは、活気あるコーヒーハウスの生活とウム・クルスーム自身の永続的な遺産を垣間見るユニークな機会となります。

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ザザ・コーヒー(zaza coffee)

ムタナビ通りにある「ZaZa Coffee」は、イタリアンコーヒーを提供し、イラクの若い起業家を鼓舞することを目指しています。イリー(illy)ブランドの特製エスプレッソやZaZaブランドのオリジナル商品など、様々なイタリアンコーヒーを提供しています。カフェは高品質の材料にこだわり、バグダッドのコーヒーシーンにおいて、イタリア文化の要素が店内に溶け込み、地元の人々や観光客に人気のお店となっています。

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また、「ZaZa Coffee」は独自のアイデンティティを持ち、別の店舗にはヴィンテージのイタリア家具で飾られた落ち着いた雰囲気でイタリアコーヒーと伝統的なトルココーヒーの両方を提供しています。

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Haaraier Al-Mutanabbi

ムタナビ通りに2025年3月8日に10番目の支店をオープンしたばかりの「Haaraier」は、内装に伝統的なイラクのインテリアデザインを飾ります。

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ファサードの青いタイルが美しいです。

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内部にはアラブらしい広い中庭があります。

  • 写真:toshel

また、この地域の歴史や文化を反映した装飾やアンティークが融合しており、訪問者はバグダッドの豊かな遺産を感じながら、特製の紅茶や他の飲み物を楽しむことができます。

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ムタナッビーの名を冠し、その偉大な文学的遺産と現在の知的活動を繋げる重要な象徴となっています。

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Haaraier
イラク
住所:89RP+WFC, Al Rasheed St, Baghdad地図で見る

Carauia cafe

ムタナビ通りに最近オープンしたカフェです。イラク絨毯のデザインをふんだんに取り入れつつ、重くならないよう壁はポップな装飾で彩られています。

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イラクの伝統的な出窓のモチーフも素敵です。

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Carania Cafe
イラク
住所:89RQ+CJ5, Baghdad, Baghdad Governorate地図で見る

イラクのバグダッドへの行き方

日本からイラクへ直行便がありませんので、中東UAE(ドバイ or アブダビ)、カタール(ドーハ)、トルコ(イスタンブル)を経由して行きます。

バグダッド
イラク / 町・ストリート
住所:バグダッド地図で見る

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この記事を書いたトラベルライター

地球旅をしています~現在192ヵ国~
行ったことのない国を中心にひとり旅しています。他国の歴史、文化、宗教、遺跡、そしてそこに住む人々の考え方に興味があります。

車の運転が好きなので、海外ではドライブ旅を楽しんでます。普段は会社員です。

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