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祠堂
祠堂には英勝院の位牌が安置されています。こちらも水戸藩からの寄贈で、水戸藩の人物の中では歴史上のおそらく一番有名だと思われる、水戸黄門から贈られた建物です。
残念ながら祠堂を直接みることはできません。保護のために祠堂のまわりを別の建物が覆っているからです。ただしガラス越しに祠堂そのものを見ることができます。
英勝院が眠るにふさわしい豪華にして厳かな装飾ですよね。水戸黄門は英勝院に絶大なる信頼を寄せていました。というのも彼を幼少期から何かと気にかけて面倒を見てくれたのが英勝院だったからです。水戸黄門は大好きな英勝院が鎌倉の地にいたためか、とりわけ鎌倉自体にも特別な思いを持っていました。鎌倉で初めてのガイドブックを出版したもの水戸黄門で、それにより鎌倉が一大観光地になったとも伝えられています。
英勝院のすごいエピソード
さてここで英勝院のすごいエピソードをいくつかご紹介しましょう。
勝利の女神
英勝院は天下の徳川家康の側室でした。もともと「お八(おはち)」という名前でした。この時代の女性には珍しく、男装して馬に乗り戦場へと赴きました。
彼女が同行する戦は大勝利をおさめることから、徳川家康は「お八ではなく、これからはお勝(おかち)と名のりなさい」と名を改めるよう勧めました。勝利の女神として扱われていたわけですね。その後、出家してからは「勝」の字を使って英勝院となりました。
名言「うまいのも塩、まずいのも塩」
運だけでなく、賢さも備えた女性、それが英勝院です。その代表的なエピソードが「うまいのも塩、まずいのも塩」です。
ある日、徳川家康が家臣達を集めて「全ての食べ物の中でうまいものは何だと思う?」と言いました。家臣たちは各々が考える一番美味しい食べ物を発言します。当然食べ物は個人の好みですから、みなバラバラの食べ物の名を挙げます。そこで徳川家康は側にに控えていた側室時代の英勝院に尋ねます。英勝院は迷うことなく「それは塩です。塩は調理に欠かせないものであり、美味さを決めるものです」と答えました。
徳川家康は「では一番まずいものは何だ?」と聞くと、英勝院は「それも塩です。どんなにうまいものでも塩辛くしすぎては不味くなります」と答えたのです。どうですか、この出来すぎなくらいの完ぺきな回答!家臣たちはこの回答にとても感心し「男に生まれていれば、とても立派な家臣になったであろう」と口にしたそうですよ。
鎌倉に水戸の尼寺をつくった?
英勝寺は鎌倉にありながら、「水戸の尼寺」と呼ばれていました。
英勝院は徳川家康との間に女児をもうけていましたが、4歳の若さで亡くしてしまいます。これに悲しんだ英勝院を見かねて、徳川家康は水戸藩の女児の義母となるよう勧めます。その縁から英勝寺の歴代住職は、みな水戸藩の女性がつとめています。結構すごいので、歴代住職を一挙にご紹介しましょう。
小良姫というお姫様でした。英勝院の養女となった後、英勝寺の住職になり清因尼と名乗りました。この時何と8才!現代の感覚だと経験豊かな年配の人が住職になるイメージですが、この時代はすごいですねー。お寺ですから様々な宗教儀式があるわけですが、さすがに8歳の子供が取りまとめるのは無理なので、他のお寺のお坊さんがつとめていたそうですよ。
・清山尼
時は流れ英勝院は亡くなり、小良姫も歳をとり68歳の時に、次の水戸のお姫様に住職の座を譲ります。鍋姫というお姫様で、住職としての名は清山尼でした。彼女もとっても若くて10歳で住職になりました。
・清玉尼
次は金姫です。住職になったのは11歳。やっぱり若いですね。
・清薫尼
その次が美奈姫です。住職になったのは最年少の7歳!しかし11歳で亡くなってしまいます。
・清月尼
次のお姫様は金姫です。清玉尼と名前が同じですね。彼女も最年少タイの7歳で住職になりました。彼女は54歳で亡くなります。
・清吟尼
次は勝姫が跡を継ぎます。「勝」とは英勝院にインスパイアされて名付けられたようなお名前ですね。彼女は最年少記録を更新して6歳で住職になりました。47才で他界しますが、この時代は混乱が続いた世の中であり、10年間住職につくものはいませんでした。
・清端尼
そして正姫が住職になります。6歳で住職になりましたが、後にお寺を出て嫁ぎました。そのため、彼女を歴代住職にカウントしない、という考えもあるようです。残念ながら彼女は16歳の若さで亡くなってしまいます。
こうして水戸にゆかりのあるお姫様が住職を歴任したことで、鎌倉にありながら「水戸の尼寺」と呼ばれるようになりました。しかし明治維新を境に水戸のお姫様が住職を務める風習は途絶えました。
穴場のフォトスポット、映える竹林
鎌倉で竹林と言えば、報国寺が有名です。
検索エンジンでも上位に表示されるので、鎌倉の竹林イコール報国寺というイメージもありますが、実は他にも竹林があるんです。報国寺は昨今のインスタ映えブームも追い風となり、常に観光客が多数訪れる人気スポットとなりました。つまり竹林には常に人がたくさんいて、ゆっくり自分だけが写っている写真を、満足できる出来栄えになるまで十分時間をかけることができないということ。ところが、竹林の穴場スポットが、ここ英勝寺にあるんです!
境内の奥のほうには茶室があり、そのすぐ真横が竹林になっています。茶室には縁側席があって、竹林を眺めながらお茶をいただくことができるようになっています。
こちらが、竹林の入り口。どうです?空いているでしょ?ゆっくりじっくり撮影するのに最高だと思ません?
見上げれば背の高い竹がびっしり!広角レンズを使えば迫力ある写真もとれますよ。
逆に下を見ると・・・写真中央には・・・
タケノコ!それもかなり立派なタケノコです!
こんな風にいろいろじっくり見れるほど、空いていてとっても穴場です。混んでいるとどうしても人の流れがあるので、自分の好きな所で立ち止まることができませんからね。ここは本当にお勧めです。