英勝寺は神奈川県鎌倉市にあり、鎌倉でたったひとつの尼寺です。徳川家と水戸藩のゆかりが深いお寺で、代々の住職は水戸のお姫様がつとめました。格式あるこのお寺には、鮮やかな草花に彩られた庭園や、インスタ映えする竹林、建物の装飾など見どころがたくさんありますよ。
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花の寺 英勝寺
英勝寺は、徳川家康の側室であったお勝が、家康の死後に落飾し英勝院となり開基となったお寺で、鎌倉唯一の尼寺です。
また、鎌倉には沢山の「花の寺」と呼ばれるお寺がありますが、ここ英勝寺も代表的な花の寺です。入り口を通るとすぐに、鮮やかな緑と花々の庭園が広がります。
この日もピンクや黄色の花々が鮮やかに境内に色を添えていました。
この境内のお花を写真に収めようと、カメラを携えた人も多数訪れていますよ。
緑豊かな順路
境内には「順路」が設定されていて、見逃すことなく英勝寺の魅力を味わうことが出来ます。
木柵で保護された順路を進んでいきます。
「花の寺」と言われていますが、境内に生えている小さな緑ですら、なんだか特別に見えます。どうです?普通の緑より、ずいぶんつやつやしているようにも見えます。
ぜひ花だけでなく、緑にも目を向けていただきたいです。同じ鎌倉という土地にありながら、立体的で岩場が多い地形によって、お寺ごとに湿度、日照条件など植物が育つための環境にバラエティがあります。そのため、ともすれば雑草と言われるような植物にも注意してみるとお寺の違いがあってなかなか面白いですよ。
順路の途中には、英勝寺のメインの建物である仏殿を横から拝観できます。
鐘楼
順路の途中には、鐘楼を安置した建物が見えます。
開放されていないので、鐘楼そのものをハッキリ見ることはできませんが、建物の隙間からちょっとだけ見ることができます。
こちらは1643年に作られました。直接見られないので、想像するしかできませんが、この鐘楼は、袴を履かせたように緩やかな曲線を持つと言うということで「袴腰鐘楼」と呼ばれています。鎌倉では唯一の形式になっています。
山門
さらに鐘楼の近くには、屋根が大きく張り出して威風堂々とした山門がたっています。
見てわかる通り、この山門は二層に分かれています。昇ることはできませんが、山門には階段があり、2階には阿弥陀如来、観世音菩薩、勢至菩薩、十六羅漢が祀られています。
英勝寺の建物の特徴は、壁面に施された美しく立体的で力強い彫刻です。これが随所に見られますよ。
この山門なかなか大変な歴史を背負っていて、過去に売却されてしまい鎌倉市内の別の場所に移築されていましたが、つい最近の2011年にここに戻ってきました。この山門は英勝院が亡くなった後に、その弔いのために建てられたもので、英勝院と深いつながりがある水戸藩が寄贈したものです。
仏殿
山門をくぐると、どーんと登場するのが英勝寺のメインの建物、仏殿です。
鎌倉の寺院は災害や戦火によって消失しているものがほとんどですが、ここ英勝寺には当時のまま残っている建物がいくつかあります。この仏殿もそのうちのひとつ。1636年頃の建物だそうですよ。
山門と同じく、仏殿にも壁面に彫刻が施されています。屋根の下には12支の彫刻があります。
そして英勝寺の仏殿が有名なのは、彫刻だけではありません。最大の特徴は中にあるんです。通常このようにガラス戸がしめられていますが、拝観する際に自分であけて拝むスタイルです。
中を見てみると、まず正面に阿弥陀三尊像が安置されているのが見えます。金を基調とした豪華絢爛な造りです。
このまま視線をすーっと上に向けてみましょう。仏殿の最大の特徴は、色彩豊かな天井画です。
まず中央に描かれているのが龍。こうした龍は禅寺に描かれていることが多いですね。龍は水をつかさどることから「火事から守る」という意味合いもあり、こうした大事な建物に描かれることが多いそうですよ。
空想上の生き物や天女の姿なども鮮やかに生き生きと描かれています。
祠堂門
仏殿を回り込むと、小さな門があります。こちらは祠堂門。祠堂(しどう)とは、位牌を祀るお堂のこと。その前にあるため祠堂門です。
祠堂門は鮮やなボタンの彫り物が素敵です。