福井
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【福井】永平寺の修行体験 1泊2日の参籠で心を整える

取材・写真・文:

東京在住
訪問エリア:43都道府県

2018年12月19日更新

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写真:熊猫

旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』において二つ星がつけられるなど、国内外から注目を集める永平寺。でも観光で訪れるだけとは、なんとももったいない。宿泊を体験する参籠(さんろう)はいかがですか。

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曹洞宗の大本山 永平寺

  • 写真:熊猫永平寺の勅使門(唐門)。

福井県吉田郡永平寺町にある永平寺は、曹洞宗の大本山です。曹洞宗の開祖、道元禅師が1244年に開山し、750年以上経た今も、全国から修行僧が集う道場となっています。修行僧は雲水(うんすい)と呼ばれ、最低1年間厳しい修行を実践します。

心を整える永平寺の参籠体験

観光地としても名高い永平寺は、禅宗の伝統建築である七堂伽藍をはじめ貴重な建築や、国宝に指定されている道元禅師直筆「普勘坐禅儀」などが納められた宝物殿など見どころがたくさんあります。

しかし、永平寺の魅力を感じるのは観光としての拝観だけでありません。座禅や、お経を写し書きする写経体験など、実際に経験するプログラムが多々用意されています。その中でも雲水と同じ日常生活を体験できる参籠(さんろう)は普段は経験することのできない貴重な機会といえます。

参籠とは

  • 写真:熊猫永平寺の参拝者入口。

参籠とは在家者がお寺さんに泊まり、修行や祖先の供養を行うことをいいます。永平寺には宿坊の吉祥閣があり、一般の人も参籠することが可能です。参籠は1泊2日の行程(1泊2食)で、実践し、雲水と同様の生活をおくることができます。参籠は1名からでもOK。もちろん団体も受け入れてくれます。永平寺に参籠を希望する日の予約を入れ、当日は14時以降16時までに上山します。

  • 永平寺の宿坊、吉祥閣の外観。
参籠恩金(1泊2食)
中学生以上8,000円・小学生5,000円・幼児無料(食事不要の場合)

参籠の流れ

  • 写真:熊猫参籠1日目の行程た留意点は宿泊の部屋の廊下に貼りだされます。

精進料理をいただく薬石

  • 写真:熊猫曹洞宗の宿坊でいただく薬石(永平寺の吉祥閣のものではありません)。

上山後は、17時30分より薬石と呼ばれる食事の時間となります。いただくのは仏教の戒律に基づいた精進料理です。精進料理に肉や魚が出ることはありません。仏教において殺生は禁止されているからです。

また料理のお出汁も一般的なかつお出汁ではなく、しいたけなどから丁寧に出汁をひいています。参籠での食事は雲水らが普段実践する作法とともにいただきます。なお、永平寺と刻まれた箸は記念として持ち帰ることができます。

座禅と法話

  • 座禅と法話を行う部屋。

薬石の後は、座禅の時間です。はじめに座禅に関するレクチャーがありますので、初心者の方でも安心して行うことができます。座禅は修行の核ともいえる重要な修行です。しんとした静寂の中で行う座禅を通じ、自分自身と向き合う時間はとても貴重な経験となるでしょう。

座禅が終わると僧侶からの法話と永平寺のドキュメンタリー映画を鑑賞します。永平寺とそこで修行する雲水らの1年を観ることができます。

入浴と開枕(かいちん)

雲水の1日はとても規則正しく営まれます。曹洞宗では、全ての日常生活が修行であると考えられているからです。それに伴い、東司(とうす)と呼ばれるトイレ、浴司(よくす)と称する浴場、坐禅堂の三箇所は三黙道場(さんもくどうじょう)と呼ばれ、私語は厳禁です。

このため入浴中も私語することなく、黙々と短い時間で済ませなければなりません。座禅と法話の後は、吉祥閣の浴司で入浴の時間です。なお浴司には石鹸のみ備え付けがあります。シャンプー、歯ブラシ、歯磨き粉は備えられていないので、あらかじめ自分で用意しておく必要があります。入浴後、21時には消灯です。これを開枕といいます。

朝課

  • 山内の回廊。振鈴は鈴を鳴らして山内を駆け巡ります。

永平寺の朝はとびきり早いです。まだ夜も明けきらぬ早朝3時半(冬季は4時半)、雲水は振鈴(しんれい)と呼ばれる鈴の音で目を覚まします。振鈴とは当番の雲水が大きな鈴を鳴らしながら山内を駆け巡ることをいいます。参籠の宿泊者もその合図とともに起床し、朝課に参加します。

朝のお勤めでは、参籠に参加する人のご先祖の供養が行われます。本堂に響く読経の中、ぴんと張り詰めた堂内としんとした外気の中で、自らが一体になる感覚に陥る人もいるようです。

小食(しょうじき)と下山(あさん)

  • 永平寺の中雀門、その向こう側に山門があります。

朝課を終えると、雲水の引率のもと、山内を拝観します。禅堂、山門、仏殿、法堂(はっとう)などの歴史ある建造物を雲水の解説で巡る機会はそう多くはないでしょう。これだけでも貴重な体験といえます。

拝観後は小食と呼ばれる朝食をいただきます。小食はお粥と梅干し、お香という質素なメニューです。早起きして朝課を終えた後の朝食は、身体に染み渡ることでしょう。その小食を終えると、身支度を整え下山となります。

まとめ

1泊2日とはいえ、参籠は濃厚な体験として心に残ることでしょう。その濃厚な時間は物質社会を反省する契機になるかもしれません。禅、あるいはZENとは、質素で単調な人の営みや勤めを実践していくことで、平穏な心に整理していくことが、その目的の一つにあると考えられます。都会の暮らしに疲れたとき、永平寺の門を叩いてみるのもいいかもしれません。

永平寺
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住所:福井県吉田郡永平寺町志比5-15地図で見る
電話:0776-63-3102
Web:https://daihonzan-eiheiji.com/

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この記事を書いたトラベルライター

さすらいびと
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