京都市にある東寺には、木造としては日本一高い五重塔があることで有名です。毎年春、秋、冬の、塔の内部が公開される時期には、多くの人が訪れます。境内には金堂や講堂などの建造物、桜や紅葉の美しい庭園など、見どころも多いです。
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東寺(教王護国寺)とは
東寺(とうじ)は、京都市にある、東寺真言宗の寺院です。平安遷都の際、都の南玄関に作られ、嵯峨天皇が後に弘法大師空海に託し、真言密教の根本道場として発展しました。多くの人から東寺と呼ばれて親しまれていますが、正しくは教王護国寺(きょうおうごこくじ)という名称です。
境内には金堂や講堂、食堂といった建造物が立ち並びますが、中でも五重塔は高さ約55メートルと、木造では最も高く、京都市のシンボルの一つとなっています。
境内を散策しよう
南大門(みなみだいもん)
南大門は、九条通りに面して建つ、東寺の正門です。大きさは、幅約18メートル、高さ約13メートルもあり、重要文化財にも指定されています。この門をくぐると、金堂、講堂、食堂の順に建造物が立ち並んでいます。
金堂
金堂は、東寺の本堂にあたる建物です。東寺が創建された当初から建設が始まったとされ、長い間シンボル的存在でしたが、文明18年(1486年)に焼失しました。現在ある建物は、慶長8年(1603年)に豊臣秀頼の寄進によって再建されたものです。
建物内には、中央にご本尊の薬師如来が、その右には日光菩薩、左には月光(がっこう)菩薩が鎮座しています。薬師三尊と呼ばれるこれらの仏像は、金堂とともに焼失した後、桃山時代の仏師、康正によって復興されました。
ご本尊の薬師如来の台座には、十二神将と呼ばれる小さな仏像がずらりと並んでいます。これらには、如来の守護と、願望を成就させる働きがあるとされています。
漆箔(しっぱく)という、木造彫刻に漆で金箔を貼り付ける技法で造られた仏像は、長い年月を経ても鮮やかな金色と重厚さを保ち続けています。ぜひじっくりと見学してみてください。
講堂
境内の中心に位置する講堂は、密教の中心的建物であり、弘法大師空海が人生をかけてその教えを伝えようとした場とされています。
初代の建物は、承和6年(839年)に完成しましたが、文明18年(1486年)に金堂、南大門とともに焼失したため再建し、5年後の延徳3年(1491年)に完成しました。
講堂内では、険しい表情の守護神「持国天」(じこくてん)や、それとは対照的に穏やかな表情の密教の仏様「金剛波羅蜜多菩薩」(こんごうはらみったぼさつ)を見ることができます。
食堂(じきどう)
食堂は、講堂の北側にある建築物で、僧が集団で食事をとっていた施設です。かつては、ご本尊として千手観音がおられたため、観音堂とも呼ばれているそうです。
平安時代に建てられましたが、昭和に入ってから焼失したため、再建されました。現在は、主に納経所として使われており、参詣者が祈りをささげる場となっています。また、写経の場が設けられており、当日申し込みをすれば誰でも体験できるそうです。
- 写経の受付時間:午前9時から午後3時
御影堂(みえいどう)
境内の北西にある御影堂は、かつて弘法大師空海が住まわれていた場所で、大師堂とも呼ばれています。南北朝時代の建築で、入母屋造り、檜皮葺の屋根、縁の高欄などの特徴を持ち、国宝にも指定されています。
御影堂では、毎朝6時から、弘法大師空海が住まわれていた頃と同じように、一の膳、二の膳、お茶をお供えする生身供(しょうじんく)が行われています。
木造としては日本一の高さを誇る五重塔を見学しよう
東寺五重塔
境内の南東の隅にある五重塔は、弘法大師空海が、講堂の次に建築に着手した建造物です。その後火災により四度焼失したため、現在のものは、寛永21年(1644年)に再建された5代目ですが、国宝にも指定されています。
高さは、約55メートルもあり、木造の建築物としては日本一だそうです。市街地にあるマンションの1フロアあたりを3メートルとすると、18階ぐらいに相当しますので、その高さに驚かされます。
塔の真下から見上げると、その大きさに圧倒されますが、非常に均整の取れた美しい姿に見惚れるのではないでしょうか。
五重塔初層の特別公開
普段、塔の内部は非公開となっていますが、春、秋、冬の年3回、特別公開されます。初層に開かれた扉から覗いてみると、極彩色の密教空間が広がっています。中央には、心柱が塔を貫いていますが、これを大日如来としているそうです。また、心柱を中心とした東西南北の四方には、如来像と菩薩が配置されています。
特別公開期間の拝観料は、大人800円、高校生700円、中学生以下500円で、五重塔初層、金堂、講堂が見学できます。大人・高校生1,000円、中学生以下600円の共通券を購入すれば、東寺の塔頭寺院「観智院」にも入れますよ。
例年の初層特別公開の時期
- 春:4月下旬~5月下旬頃
- 秋:10月下旬~12月上旬頃
- 冬:1月1日~3月18日
紅葉や桜も!五重塔が良く見える東寺庭園
五重塔の北側には、池泉式の庭園があります。こちらでは、秋に紅葉が、春に桜の花が楽しめることで知られてます。
庭園の南側には、五重塔が良く見える場所があります。圧倒的な存在感の五重塔が、美しい庭園越しに眺められるポイントのため、多くの人がカメラを向けています。
境内に約200本の桜が植えられている東寺ですが、こちらの庭園では、「不二桜」と呼ばれる八重咲のしだれ桜がひときわ美しく咲くそうです。東寺の桜の見頃は、例年3月下旬頃から4月中旬頃ですので、この時期に訪れても良いかもしれませんね。
- 東寺
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- 住所:京都府京都市南区九条町1地図で見る
- 電話:075-691-3325
- Web:http://www.toji.or.jp/
この記事を書いたトラベルライターから一言
秋の紅葉の時期に、東寺を訪れてみました。いつも電車の車窓から眺めていた五重塔を、やっと目の前で見ることができ、とてもうれしく感じました。庭園の紅葉や境内の建築物も素晴らしかったです。京都駅からも近いので、みなさんも訪れてみてはいかがでしょうか。(ゆきたか)