長崎県佐々町は県北地域に位置しており、周りを360度佐世保市に囲まれた町です。人口約1万4千人のこの町に、長崎県で唯一昔ながらの釜炒り製法でお茶を製造している茶園があります。それが、「上ノ原製茶園」さん。この上ノ原製茶園さんが運営する喫茶店「息福(いっぷく)」が、松浦鉄道佐々駅から徒歩1分のところにあり、こちらでゆっくりと釜炒り茶を楽しむことができます。
この記事の目次表示
長崎県佐々町
長崎県佐々町は、長崎県北に位置する人口約1万4千人の町です。佐世保市に隣接していて、佐世保市内まで車で約20分、福岡県博多市まで車で約2時間ととても便利な町でもあります。JR佐世保駅からは松浦鉄道で約40分の電車旅になります。
2月下旬から町の真ん中を流れる佐々川ではシロウオ漁が行われ、早咲きの河津桜が約260本咲き乱れます。
3月に開催される「河津桜・シロウオまつり」は町の一大イベントです。2018年は3月1日から3月31日まで佐々町内で開催されます。期間中、佐々町内ではシロウオの踊り食いを始め、様々なシロウオ料理を楽しめます。
本格釜炒り茶を製造している上ノ原製茶園
皆さん、釜炒り茶ってご存知ですか?釜炒り茶とは、読んで字のごとく「釜」で「炒った」お茶のことです。多くの方が緑茶と聞くと濃い緑色のお茶を思い浮かべると思いますが、それは「蒸し茶」です。現在、日本茶の約95%が蒸し茶であると言われています。
釜炒り製法は昔から一般的に用いられた製法でしたが、時代の流れによりお茶を大量生産するようになってから、釜炒り製法でお茶を作る農園は減少しました。釜炒り茶は、大きな釜で茶葉を炒るため、手間と時間がかかります。そのため、大量生産が可能な蒸し茶製法に移行していったのです。
しかし、九州の一部山間地域では今もこの釜炒り製法でお茶が製造されています。そのうちの一つが上ノ原製茶園さんなのです。
上ノ原製茶園さんは、約70年続く製茶園さんです。現在は二代目の宏二さんがお茶摘みからお茶製造までを一貫して行っています。
釜炒り茶の特徴
釜炒り茶は、その色と香りに大きな特徴があります。蒸し茶が濃い緑色であるのに対し、釜炒り茶は金色をしています。また、口にふくんだ時に鼻に抜ける香りはなんとも言えません。苦みは一切なく、あっさりした飲み心地です。夏は、冷やして飲むのがおすすめです。
和喫茶「息福(いっぷく)」
松浦鉄道佐々駅から徒歩1分のところに上ノ原製茶園さんが運営する喫茶店があります。「息福(いっぷく)」という名の通り、店内に一歩足を踏み入れるとホッとした雰囲気を感じられます。
ここでは、釜炒り茶を使ったお茶漬けやぜんざい、釜炒り茶そのものを楽しむことができます。また、上ノ原製茶園で製造している様々な種類の茶葉を購入することもできます。
まず、お店に入って席に着くとお茶を一杯出してくれます。
お店の看板メニュー「息福セット」は、お茶漬けとぜんざい、お茶のセットで650円ととっても良心的な価格です。もちろんお茶漬けに使われているお茶は、上ノ原製茶園で作られた釜炒り茶です。お腹も心も満足すること間違いなし!
美味しい釜炒り茶の淹れ方
お茶を頼むとお店の方が美味しいお茶の淹れ方を教えてくれます。湯冷ましと砂時計を使って本格的にお茶を淹れることができます。お茶を淹れるときの最適な温度は、60度から70度なんだそう。沸騰したお湯をそこまで下げるには、湯冷ましと急須と湯呑の間でお湯を二往復ほどさせます。そうすると適温になり、茶葉がゆっくり開くことで、お茶本来の甘味やアミノ酸を十分に引き出すことができるのです。
おわりに
釜炒り茶の歴史は15世紀前後までさかのぼります。そのころから続く釜炒り茶を一度ぜひ味わってみて下さい。標高約350メートルの山の上で育った茶葉と昔ながらの釜炒り製法を守り抜く上ノ原製茶園さんの熱意を感じることができますよ。