水温14℃前後の清流にしか育たない水中花・梅花藻(バイカモ)は日本の固有種です。滋賀県の醒井宿(サメガイシュク)では、風情ある町並みの中で貴重な梅花藻を楽しむ事ができます。散策スポットも合わせてご紹介します。
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醒井(サメガイ)宿とは?
中山道61番めの宿場町として栄えた近江の醒井宿は、現在の滋賀県米原市醒井に位置します。名古屋から車で1時間、京都からでも1時間半という便利さです。電車の場合は、JR東海道本線 「醒ヶ井駅」 が最寄り駅になります。
駅から10分ほどの場所に、清流・地蔵川が流れ、川に沿って民家が建ち並ぶ風景は、昔ながらの宿場町の名残りを感じさせる、情緒ある町並みとなっています。
地蔵川で見られる貴重なもの
水の妖精・梅花藻(バイカモ)
梅花藻は、キンポウゲ科の淡水植物で、白く小さな花を咲かせるのですが、その形が梅の花に似ていることから名前がついています。日本固有種で、全国でも生育場所が限定されています。都道府県別レッドデータブックでは、絶滅危惧種に指定されている場合も多いそうで、なおさら儚げな愛らしさに惹かれてしまいます。
梅花藻は、例年、5月中旬から咲き始め、8月下旬ごろまでが見ごろとなります。サルスベリの咲く頃には、水面に浮かぶ白とピンクの花びらのコントラストで愛らしさが一層増すようです。
絶滅危惧種の魚・ハリヨ
ここでは、絶滅危惧種がもう一つ見られます。年間を通して14℃前後の水温を保つ水の中には、ハリヨという5cmくらいの魚が生息しています。日本では、滋賀県東部と岐阜県西濃地区、岐阜地区の平野部の湧水地のみで生息が確認されている珍しい魚です。小さな魚の色はグレーで、黒い斑点があります。小さいので、見つけられたらラッキーですね。
- 醒井 地蔵川の梅花藻
- 滋賀 / 自然・景勝地 / 女子旅 / 花畑(5月) / 花畑(6月) / 花畑(7月) / 花畑(8月)
- 住所:滋賀県米原市醒井地図で見る
- 電話:0749-58-2227
醒井宿の散策スポット
居醒(イサメ)の清水
地蔵川の源泉にあたる場所が、加茂神社の側にあります。居醒の清水と呼ばれ、古くは、日本書紀や古事記にも登場し、ヤマトタケルが伊吹山の神であった白いイノシシとの戦いで傷つき、瀕死で辿り着いたこの地で清水を口にしたところ、目が醒めるように元気になったと言い伝えられています。
源泉の辺りには、蟹石や、鞍懸石、ヤマトタケルが腰掛けたという腰掛石も残されています。それから、もう一つ忘れてならないのが、鳥居の先に続く願い橋と呼ばれる小さな橋。願い事を1つ唱えながら渡ると願いが叶うと言われていますので、お忘れなく。
神社の境内脇から、こんこんと湧き出て、枯れることのない清水は、醒井の人々にとって欠かせない生活の水であり、この宿場を訪れる旅人を今も変わることなく癒してくれます。平成20年6月には、平成の名水百選(環境省)に選ばれています。
醒井宿問屋場(トイヤバ)/醒井宿資料館
江戸時代、宿場を通行する大名や役人に、人足や馬の提供をしたり、荷物の積み替えの引継ぎ業務を行なっていたところを問屋場といいます。醒井宿の問屋場は、資料館も兼ねて解放されています。ほぼ完全な形で残っている全国的にも珍しい貴重な建物とされています。
- 醒井宿資料館・醒井宿問屋場
- 滋賀 / 博物館 / 雨の日観光
- 住所:滋賀県米原市醒井123地図で見る
- 電話:0749-54-2163
- Web:https://www.city.maibara.lg.jp/kanko/rekishi/shite...
旧醒井宿郵便局/醒井宿資料館
上記は、問屋場の資料館でしたが、こちらは、昭和48年まで醒井郵便局として使用されていた資料館で問屋場とは対照的な2階建ての擬洋風建物です。米国出身のウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計に携わっていたことで知られています。現在では国の登録文化財に指定されており、建物の2階には、醒井宿に伝わる古文書などが展示されています。
- 醒井宿資料館 ・旧醒井宿郵便局
- 滋賀 / 博物館 / 穴場観光スポット
- 住所:滋賀県米原市醒井592地図で見る
- 電話:0749-54-2163
- Web:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/13118
丁子屋
最後は、醒井宿散策時にホッとできるお店のご紹介。創業100年以上の老舗、丁子屋さんでは、冷たく冷やされた名水まんじゅうがお勧めです。居醒の清水で作られた名水まんじゅうは、程よい甘さの餡と、つるんとしたのどごしが、夏場のひと休みにピッタリ。他にも、梅花藻のパウダーが練りこまれている、ソフトクリームもあります。
さいごに
中山道61番めの宿場町、醒井宿は小さな宿場町なので、ほんの1~2時間もあれば堪能できるスポットですが、梅花藻の季節には、お勧めです。
中山道には、他にも楽しい宿場町がたくさん存在します。ぜひ足を伸ばしてみてください。