岩の割れ目に、四方からごうごうと水しぶきをあげ落下する瀑布は、まさに「東洋のナイアガラ」。この場に立つと想像以上のスケールに圧倒されることでしょう。見上げる滝ではなく、見下ろす滝というのも珍しく、迫力のその姿を驚くほど間近で見られることも人気の秘密です。滝の周辺には奇岩が連なり、悠久の時が生み出した独特の渓谷美が楽しめます。
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吹割の滝とは?
吹割の滝は、群馬県沼田市利根町にある滝です。
昭和11年に「天然記念物および名勝」に指定され、日本の滝100選にも選ばれました。高さ7メートル、幅30メートルあまりにも及ぶこの滝は、あたかも巨大な岩が吹き割れたように見えるところから、「吹割(ふきわれ)の滝」と名がついたそうです。凝灰岩、花崗岩の川床上を流れる片品川の清流が、岩質の軟かい部分を浸蝕し、多数の割れ目が生じています。川沿いには、1.5キロメートルに渡って奇岩が続き、紅葉、新緑と季節ごとに様々な渓谷美が見られます。2000年のNHK大河ドラマ『葵 徳川三代』のオープニングにも使用され、迫力ある映像が流れていました。
吹割の滝の歩き方
吹割の滝の楽しみ方は、滝を上から見下ろす山側ルートと、川沿いの遊歩道を歩く川沿いルートの両方を歩く形で1周となります。
どちらを先に見るか、どちらか一方にするか、お好みや体力次第で選べます。山側と川沿いをぐるりと1周しても、約1時間ほどです。
遊歩道から眺める瀑布の迫力はもちろんですが、ぜひ目を向けて頂きたいのは、奇岩が連なる岩壁群。
見るからに恐ろしい形相の「般若岩」などもありますので、お見逃しなく!
山側散策ルート
浮島橋を渡った先にある浮島には、観音堂がありますので、お参りしながら全景を見下ろすのも気持ちの良い風景です。第1から第3までの観爆台がありますが、ちょっとした山歩きになるので、体力に自信のある方にお勧めです。
川沿い散策ルート
川沿いの遊歩道を散策するコースは、途中に岩場を歩ける場所があります。
水しぶきがかかるほどに近づけるそこは、大迫力の瀑布を間近で楽しめます。大変危険な場所でもありますので、観光される際はくれぐれも自己責任で気をつけてくださいね。
吹割の滝の竜宮伝説
吹割の滝の滝つぼは、昔から竜宮へ通じているとの伝説も残る神秘的な滝でもあります。村で祝儀などの振舞ごとがあるたびに、竜宮から膳椀を借りていました。お願いの手紙を書いて滝に投げ込むと、渦に巻き込まれて深い竜宮へと吸い込まれていき、前日には頼んだ数の膳椀が岩の上にきちんと置かれていました。三日のうちにお礼の手紙を添えてもとの岩の上に置けば、いつの間にか見えなくなり竜宮へ返されました。ところがある年のこと、借りた膳椀を返すときに数を間違えて一組だけ返し忘れてしまいました。以後いくら丁寧に頼んでも借りられなくなってしまいました。
この膳椀は竜宮の椀と呼ばれ、今でも沼田市の名家に保管されているそうです。また、群馬県民の100%が覚えていると言われている上毛かるたにも、「滝は吹き割、片品渓谷」と、詠われているそうです。
吹割の滝へのアクセス
電車の場合
JR上越線沼田駅からバス40分
車の場合
関越自動車道沼田インター下車、国道120号線を尾瀬方面へ直進およそ20分。