小惑星探査機「はやぶさ」は太陽系の起源に迫る手掛かりの採取を目的に打ち上げられ、地球の重力圏外の天体に着陸、地表のサンプルを採取し、2010年6月に持ち帰りました。その世界初の偉業は、相模原で見ることができます。
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JAXA(ジャクサ)の宇宙科学研究所
JAXAとは、Japan Aerospace Exploration Agencyの略称で、正式名称は宇宙航空研究開発機構といいます。宇宙開発利用技術の基礎研究から開発・利用に至る一連の事業を行う、国立研究開発法人です。
そのJAXAの拠点のひとつに宇宙科学研究所があります。こちらは宇宙研究の中心施設として開設され、全国の大学の共同利用機関としての側面に加え、世界各国からの研究者も受け入れるなど、宇宙科学研究の拠点として機能しています。
宇宙科学探査交流棟
宇宙科学研究所の敷地内にある宇宙科学探査交流棟は、2018年にオープンした展示スペースです。宇宙に関する様々な技術を一般向けに展示しており、無料で入場することができます。
日本の宇宙開発の黎明期
宇宙科学探査交流棟は、日本のロケットの歴史を辿ることができます。1955年3月、糸川英夫博士が実施したペンシルロケットと呼ばれる小型ロケットの発射実験から端を発した宇宙開発の歴史。展示は、その糸川博士の直筆論文と実物のペンシルロケットから始まります。
全長230mmという小さなロケットですが、こんにちの「はやぶさ」の活躍を考えれば、極めて大きな意味と功績を持っています。
童心に戻ってスタンプラリー
宇宙科学探査交流棟入口に置いてあるスタンプラリーの台紙。「スタンプラリーなんて子どもっぽい」と思わず、是非チャレンジされることをおすすめします。色とりどりのスタンプが集まりだすと、俄然熱を帯びて熱中してしまうこと間違いなし。ラリーのエリアが狭いので、みるみるスタンプが集まり出します。ただし残り2個のスタンプは宇宙科学探査交流棟以外の施設にあります。
見どころはなんといっても「はやぶさ」
「はやぶさ」は、太陽系の起源に迫る手掛かりを得ることを目的に打ち上げられた小惑星探査機です。2003年5月9日13時29分25秒(日本標準時)に宇宙科学研究所から打ち上げられ、2005年夏にアポロ群の小惑星イトカワに到達、地表のサンプルを採集し、2010年6月13日22時51分、地球の大気圏に再突入しました。
その際、「はやぶさ」は燃え尽きてしまいましたが、イトカワで採取したサンプルをオーストラリア・ウーメラ砂漠に落下させ、目的を遂げました。
大気圏突入技術
宇宙科学探査交流棟の一番奥の部屋には、「はやぶさ」がサンプルを持ち帰るために用いた直径約400mm、厚さ平均30mmという鍋型の再突入カプセルと、カプセルを地上に落下させるために使用されたパラシュートなど、実際のミッションに使用された実物が展示されています。
約60億kmに及ぶ遥かな旅から帰還した、それらの実物はわたしたちに何を語りかけてくるでしょうか。なお、この部屋の展示物は、撮影禁止となっています。
美しく輝くイトカワからのサンプル
もうひとつ、「はやぶさ」が持ち帰った重要な展示物があります。それがイトカワから採取した実物のサンプル。顕微鏡を覗き込むと、はっとするような美しい結晶のような物質を見ることができます。きらきらと光に反射する物質が何であるか。その解説はありませんが、思わず息をのむ美しさに見惚れてしまうでしょう。宇宙の神秘がそこにあります。
圧巻!「はやぶさ2」の実物大模型
「はやぶさ2」は先述した「はやぶさ」の後継機です。2014年12月に打ち上げられ、2019年2月、目的地の小惑星リュウグウへの着陸に成功しました。人工的にクレーターを作り、地表ではなく、土中のサンプルを採取して、生命の起源を辿ることが任務とされています。
宇宙科学探査交流棟には、その「はやぶさ2」の実寸大の模型と、人口のクレーターを作るための衝突装置、そして小惑星リュウグウの形状推定モデルの模型がそれぞれ展示されています。
- JAXA 宇宙科学研究所
- 相模原市 / 博物館 / 子供が喜ぶ
- 住所:神奈川県相模原市中央区由野台3-1-1地図で見る
- 電話:042-759-8008
- Web:http://www.jaxa.jp/about/centers/sagamihara/index_...
宇宙科学研究所生活協同組合
宇宙科学探査交流棟を出て、南に数十m行くと、宇宙科学研究所生活協同組合、いわゆる生協の店舗があります。ここは一般も利用が可能となっており、ここでしか購入できないグッズもあります。宇宙食やTシャツ、キャップなど、マニアだけでなくとも手にとってみたい商品が扱われています。
宇宙食コーナーの人気商品は「スペースカレー」。宇宙飛行士のために開発されたレトルトカレーです。パッケージの裏面には、「地上での調理方法」が記されており、洒落がきいています。「スペースカレー」は1箱540円で販売されています。
- 宇宙科学研究所 生活協同組合
- 相模原市 / おみやげ屋
- 住所:神奈川県相模原市中央区由野台3-1-1地図で見る
- Web:https://www.univcoop.jp/isas/index.html
相模原市立博物館にも宇宙の神秘がいっぱい!
JAXA宇宙科学研究所のほぼ対面にあるのが相模原市民博物館です。実は、こちらには「はやぶさ」の実寸大模型が展示されています。また、火星探査機「のぞみ」のエンジニアリングモデルも展示。なお、先述したスタンプラリーのスタンプは、この博物館内にあります。残り2つのスタンプを押せばめでたくコンプリートです。なお、博物館常設展の入館料は無料です。
プラネタリウムに天文研究室
この他、相模原市立博物館にはプラネタリウムや宇宙関連の文献が揃う天文研究室などの施設が整えられています。プラネタリウムは大人500円。子ども200円で鑑賞することができます。天文研究室では天文関係の専門書等があり、閲覧することが可能です。また、学習指導員や学芸員が常駐しているので、質問や学習相談も行えます。
JAXA宇宙科学研究所、相模原市立博物館に来れば、宇宙三昧の1日を楽しめること間違いなしです。
- 相模原市立博物館
- 相模原市 / 子供が喜ぶ / 博物館 / プラネタリウム
- 住所:神奈川県相模原市中央区高根3丁目1−15地図で見る
- Web:http://sagamiharacitymuseum.jp/