スペイン・グラナダにある世界遺産、アルハンブラ宮殿。キリスト教の国土回復運動によって陥落された、イスラム帝国最後の砦です。その美しさに圧倒されたキリスト教徒は、異教の建築物であるにもかかわらず破壊することができなかったとも言われています。アルハンブラ宮殿は一つの建築物ではなく、城塞に囲まれた宮殿や塔、庭園を含めたエリアを指すため、見どころがたくさんあります。ここでは、壮大かつ優美なアルハンブラ宮殿の魅力をお伝えします。
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アルハンブラ宮殿の魅力1:精巧な装飾
ナスル朝宮殿
アルハンブラ宮殿の中でも一番のメインといえるのが、「ナスル朝宮殿」です。
このナスル朝宮殿は、その美しさから非常に人気が高いため、観光客が殺到しないよう、一度に見学できる人数が制限されています。見学するには、指定の入場時間が記載されたチケットを事前に入手する必要があります。
厳しく入場制限しなければならない程の人気というだけあって、随所に散りばめられたその精巧な細工は必見です。
ナスル朝宮殿の全ての柱に、美しい細工が施されています。
イスラム装飾に特有の、幾何学模様とタイル。文字を変化させたカリグラフィー装飾が多く見られます。
透かし細工の窓と庭園が美しい、「リンダラハのバルコニー」。
ナスル朝宮殿の目玉の一つ、「ライオンの中庭」。この庭を囲むライオン宮は王の居住スペースで、王以外の男性は立ち入り禁止のハーレムだったといいます。
王妃が住んだと言われる「二姉妹の間」の天井。
鍾乳洞のような装飾があまりにも美しく、写真では伝わりにくいのですが、よく見ると小さなパーツを何千個と組み合わせて細工されていることが分かります。透かし細工の窓から反射する自然光が美しさを更に引き立て、その美しさにため息しか出ません。
アルハンブラ宮殿の魅力2:優美な庭園
アルハンブラ宮殿は、広大な敷地の中に複数の建築物を持つため、それらをつなぐ庭園も多くあります。
どの庭園も、その美しさは言葉で表現できないほど。天国のような光景に、訪れた人は誰もが癒されるはずです。
ヘネラリフェ
並木道を通ると、アルハンブラ宮殿のはなれにある「ヘネラリフェ」と呼ばれるエリアに行き着きます。王族の避暑地として建てられた離宮で、夏の暑さの中でも緑と噴水で涼しさを感じます。
庭園が美しいアルハンブラ宮殿の中でも、ヘネラリフェの庭園は王の別荘地として作られたエリアとあって、天国のような非日常を思わせる空間になっています。
こちらはヘネラリフェの中でも最も有名な「アセキアの中庭」です。
ナスル朝宮殿
こちらは、先ほどご紹介したナスル朝宮殿の「リンダラハの中庭」。
上から見ると、幾何学模様に整備された庭に色とりどりの美しい花々が咲いており、訪れる人々を楽しませてくれます。
配置された噴水も美術品のようで、人工物と植物の計算しつくされた美を感じます。
アルハンブラ宮殿の魅力3:壮大な建築物
ここまでは、繊細で美しいアルハンブラ宮殿の内部を見てきましたが、実はこの宮殿は丘の上に位置することもあり、軍事要塞としての役割も担っていました。要塞としてのスケールの大きさは、まさに圧巻です。
アルカサバ
西端に位置するこの「アルカサバ」と呼ばれるエリアは、要塞のようになっており、上からはアルバイシンの町を見渡すことができます。
4階建ての塔「ベラの塔」は、見張り台として使用されていました。どの角度からでもグラナダの街並みを見渡すことができ、ここがかつて巨大な軍事要塞として、重要な役割を担っていたことが伺えます。
こちらの「ぶどう酒の門」は、アルハンブラの中で最も古い建物です。
カルロス5世宮殿
こちらは、キリスト教の支配下でカルロス5世が建てた宮殿。アルハンブラで見られるイスラム建築とはやはり違う、堂々として壮大な雰囲気を醸し出しています。
円形闘技場のようにも見えますが、円形の中庭を備えた宮殿です。建物によって雰囲気が全く異なるのも、様々な歴史を経て今に至るアルハンブラ宮殿の面白いところです。
おわりに
一言でアルハンブラ宮殿と言っても、その魅力は一つにとどまらず、この記事で紹介できなかった見どころもまだまだあります。筆者には、アルハンブラ宮殿を見るだけでもスペインに行く価値があると思える程でした。
世界中の観光客を魅了し続けて止まない、アルハンブラ宮殿。混雑することが多いので、訪問する場合は公式ホームページから予めチケットを予約しておくか、ツアーに申し込むのがお勧めです。
ぜひ一度、この風光明媚な非日常の世界に足を運んでみてはいかがでしょうか。
- アルハンブラ宮殿
- スペイン / 建造物 / 城・宮殿
- 住所:Calle Real de la Alhambra, s/n, 18009 Granada,Spain地図で見る
- Web:http://www.alhambra-patronato.es/