世界中から信者が訪れるカトリックの総本山で、世界最小の独立国家です。国自体が世界遺産に指定されており、じっくり見学すると1週間はかかるバチカン市国で、必見ポイント&ワンポイントアドバイスをご紹介します。
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世界最小のバチカン市国とは?
4世紀にキリストの一番弟子であるペテロが殉教し、その墓の上に教会が創設されたのが始まりとされています。世界中にいるカトリック教徒は、約10億6,000万人とも言われます。そのカトリック教会の最高機関であり、総本山であるバチカン市国は、ローマ教皇を統治者として成り立つ独立国家です。
面積は、世界最小の0.44k㎡。国民は約800人。ほとんどが、枢機卿や司祭などの聖職者です。
要所に立つスイス人衛兵もバチカン住民で、約100人が常駐しています。マントの下に着ているカラフルな制服は、ミケランジェロのデザインがルーツと言われています。
バチカン市国の見どころは、大きく分けるとサン・ピエトロ広場、サン・ピエトロ大聖堂、バチカン美術館の3つに分けられます。順番にご紹介していきましょう。
最大30万人収容?!サン・ピエトロ広場
サン・ピエトロ大聖堂の前に広がる楕円形の広場で、彫刻家、建築家、画家の肩書を持つベルニーニが設計しています。大きさは、長さ340m、幅は240m、最大30万人を収容できる敷地です。中央にそびえるオベリスクは、ローマ皇帝がエジプトから持ち帰ったもので、高さ25.31mにもなります。
母なる教会サン・ピエトロ大聖堂は、訪れる人々を包み込むように、両手を広げたような形で広場を囲んでいます。それは柱廊でなりたち、高さ15メートルの円柱が4列で284本も並んでいます。
その柱廊に囲まれた広場の中央に立つオベリスクと、左右の噴水との間には、「ベルニーニポイント」と呼ばれる円形の印があるので、注意深く足元をご覧ください。このポイントの上に立ち、柱廊を見ると、4列の柱が重なって1列に見えます。これは柱が全て放射状に並んでいるためで、ベルニーニが考案しています。
広場から大聖堂を見上げると140体もの聖人像が並ぶ光景はドラマチックで、ベルニーニらしい空間演出です。広場に立つと、まるで見下ろす聖人たちに見守られているように感じます。
少々時間を要しますが、大聖堂のクーポラに登ると、この聖人たちを間近に感じることができ、「ザ・バチカン」といった景色も見られるので、おすすめです。
大聖堂に向かって右側の回廊の奥に建つのが、教皇の邸宅です。毎週日曜の12時には、4階の右から2番目の窓にローマ教皇が姿を見せ、お祈りをされます。
- サン・ピエトロ広場
- バチカン / 観光名所
- 住所:Piazza San Pietro, 00120 Città del Vaticano, ローマ教皇庁 (バチカン)地図で見る
- Web:http://www.vaticanstate.va/content/vaticanstate/it...
世界最大級の教会サン・ピエトロ大聖堂
中央のクーポラが美しい、威風堂々とした佇まいの世界最大級の教会です。16世紀初頭に再建された際、当時ローマで活躍していた、ほぼすべての建築家や彫刻家が携わったとされています。
入り口の扉は5つ。左から「死の扉」、「善と悪の扉」、「中央扉」、「秘蹟の扉」、「聖年の扉」とあり、「聖年の扉」は、25年に1度しか開かない扉で、次に開くのは2025年の予定です。エントランスホールの左手にある、音声ガイド貸出しカウンターで、オーディオガイド(有料)を借りることができます(日本語ガイドあり)。
大聖堂での必見はミケランジェロ作のピエタ像。死んだキリストを抱く、悲哀に満ちた聖母マリアの彫刻に胸を打たれます。残念なことに、以前は間近で見学できたピエタ像が訪れるたびに遠くになっています。
もう一つは、クーポラの真下にある大天蓋(バルダッキーノ)。教皇の祭壇を覆うブロンズ製の大天蓋で、ベルニーニが手掛けた高さ29mもの大作です。
ペテロ像の脇にある階段を下りると、大聖堂の地下につながっていて、一部見学が可能です。歴代の教皇や聖ペテロのお墓もある神聖な場所なので、機会があればぜひご覧になってください。
- サン・ピエトロ大聖堂
- バチカン / 社寺・教会 / 教会
- 住所:Piazza San Pietro, 00120 Città del Vaticano, ローマ教皇庁 (バチカン)地図で見る
- Web:http://www.vaticanstate.va/content/vaticanstate/it...
文化遺産だらけのバチカン美術館
大小合わせて24の博物館や美術館、システィーナ礼拝堂が含まれるのもこちらで、「バチカン美術館」というのは、その総称です。見学コースは全長7kmにも及び、広大な展示スペースを誇ります。
主な収蔵品は、貴重な文化遺産が海外に流出するのを防ぐために、歴代の教皇たちが集めたものなのだそう。こちらでの必見は、ラファエロの間。もともとは、ユリウス2世の居住域で、ラファエロとその弟子たちによって、室内装飾を手がけた場所です。もう一つが、システィーナ礼拝堂の最後の審判。ミケランジェロ晩年の作品です。
最後に、150万冊もの蔵書を誇るバチカン図書館の出口へと続くらせん階段をお見逃しなく。これは、建築家ジュゼッペ・モモの作品で、芸術的な弧を描く優雅な階段は、注目です。
- バチカン美術館
- バチカン / 美術館
- 住所:Viale Vaticano, 00165 Roma地図で見る
- Web:http://www.museivaticani.va/content/museivaticani/...
訪れる前のワンポイントアドバイス
- 常に混雑しているバチカン市国で、比較的空いているのは、早朝の開館直後と午後14時過ぎ。反対に休館日前後と毎月、最終日曜日は入場無料となるので一日中混雑します。
- 大聖堂への入場は、神聖な場所なので、ノースリーブ、短パン、サンダルでの服装はタブーです。大きな荷物も持ち込めないので注意しましょう。美術館内での撮影は禁止です。
- サン・ピエトロ大聖堂の入場は予約不要ですが、バチカン美術館への入場を希望する方は、事前にWEB予約サイトでの予約をお勧めします。
最後に
大聖堂の左右と美術館内には、バチカン郵便局があります。オリジナルの切手やハガキも販売しており、ここから手紙を出すとイタリアから出すよりも早く到着するそうです。黄色いポストを見つけたら、チャレンジしてみましょう。