カスピ海は、5つの国に面した世界一大きな湖です。コーカサス地方に属するアゼルバイジャンはそのうちの一国であり、中でも首都バクーはカスピ海に面する最大都市。遥か紀元前より石油の湧いたバクーは近年の発展目覚ましく、高層ビルが次々と建設され、第二のドバイとも称されるほど進化を続けています。今回は、2016年に初めてFormura1(F1)も開催され、ますます勢いに乗るアゼルバイジャンの首都バクーをご紹介いたします。
この記事の目次表示
カスピ海に面する港湾都市バクー
世界一大きい湖
カスピ海の面積は374,000㎢。日本の面積は378,000㎢ですので、日本がすっぽり!とはいかないものの、非常に大きいということが分かりますよね!名称こそ海とついておりますが、現在のところ世界一大きな湖とされています。
天然資源の豊富なカスピ海は、その定義が海か湖かによって世界情勢を大きく変えた時期もありました。もしカスピ海が海だった場合、国際海洋法条約によって沿岸各国に領海が設定されますが、湖の場合は共同管理となるからです。現在に至っては、各国の領海を定める格好で落ち着いているようです。
カスピ海に面する首都バクーの過去と今
カスピ海に面する沿岸国は5つあります。ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、イラン、そしてアゼルバイジャンです。その中でもカスピ海沿岸に位置する最大都市はアゼルバイジャンの首都バクーであり、古くから港町として栄えていました。
周辺のバクー油田は紀元前から石油が溢れており、大規模な油田の見つかった19世紀後半には世界中から注目されました。このため周辺のイランやロシアをはじめ、EU諸国も交えての激しい争奪戦が繰り広げられるなど、悲しい経験をしています。
しかし、独立した今となっては、その豊富な資源を生かして都市の建設は飛躍的に進み、目覚ましい発展を遂げています。
世界遺産バクー旧市街を散策
カスピ海から吹く風の心地よいバクーの旧市街
新市街が発展する一方で、バクーの西側に位置する旧市街は世界遺産に指定され、今もなお古き良き当時の城壁や建築物を遺しています。
地元の方々のバクーの発音は「バキ」、あるいは「バキュ」で、ペルシャ語の「風に強く打たれる」に由来するといわれています。その名のとおり、カスピ海からは断続的に強い風が吹き、時折、旧市街にも心地良いそよ風をもたらします。
静かな旧市街の佇み
シルクロードの中継地でもあったバクーは、12世紀~14世紀にかけては頻繁に隊商(キャラバン)が行き来する重要な要衝でした。その当時の様子を遺す旧市街は城壁に囲まれ、街並みにもその風情が感じられます。
旧市街を取り囲む城壁にはいくつかの門があります。メインゲートであるシェマハ門は少し高さがあり、主に城主や訪問者が馬車などで通るために使われていました。シェマハ門には、旅路の長い当時の隊商に対し、無事を祈る言葉が綴られています。
こちらも城塞に作られている門の一つで、城内に住んでいた一般の人々に使われており、荷車などが通る大きさです。
それではこちらの門をくぐって旧市街を散策してみます。
旧市街の内壁伝いには、当時の投石器が遺っています。
シルクロード馴染みの可愛いらしいショップも軒を連ねます。
ツリーアートがあちこちにあります。
古い街並みにも芸術性を感じさせます。
こちらは当時のマンホールです。趣がありますね。
旧市街のあちこちから新市街の近代的な建物が垣間見え、まさに新旧融合の都市を感じさせます。
向こうに見える特徴のある建物は、フレームタワーと呼ばれる炎をモチーフにしたタワーです。
住居、ホテル、ショッピングモールおよびオフィスがこの三棟に収められ、バクーの象徴的な建物となっています。
- バクーフレイムタワーズ
- アゼルバイジャン / 観光名所 / 建造物
- 住所:Flame Towers,Baku地図で見る
モスクとタワーと宮殿と(世界遺産)
バクー旧市街は街並み自体が世界遺産ですが、中にも世界遺産に指定された建物がいくつかあります。まずはムハンマドモスク。11世紀に創建された城壁内最古のモスクです。
こちらは乙女の搭。紀元前5世紀に教寺院として建てられ、12世紀には要塞として再建されました。名前の由来は、その昔こちらのタワーより女性が身を投じたという言い伝えからのようです。
こちらはシルヴァンシャー宮殿です。15世紀に建造され、王宮として使用されていました。
イスラムの香りが漂いますね!
- 城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔
- アゼルバイジャン / 観光名所 / 遺跡・史跡 / 建造物
- 住所:the Shirvanshah's Palace,Baku地図で見る
ワインの発祥地コーカサス
ワイン発祥の地については諸説あり、コーカサス地方は紀元前8000年のワイン醸造痕跡が発掘されたことから、発祥の地として有力視されています。
アゼルバイジャンのワインは濃厚で甘いものが多く、カスピ海で獲れる新鮮な魚類ともよく合います。
カラッとした気候のもと、外で飲むワインは最高です。
2016年より市街にてFormura1(F1)開催!
何といっても、2016年のアゼルバイジャンの大きなニュースといえば初めて自国で開催されたF1です。
サーキットコースではなく、バクー旧市街を含む市街地コースとあって、開催直前の街はどこもかしこもF1一色!街を歩いているだけで住人の興奮が伝わってきます。
初めてのF1、しかも市街地コースということもあり、終わってみると縁石の問題などもありましたが、このたび、めでたく2017年も開催されることになりました。
しかも、2016年の「ヨーロッパGP」名義ではなく「アゼルバイジャンGP」と名称も国名に変わります。F1開催日に合わせて観光スケジュールを立てられるのも良いかもしれませんね!ビューポイントのおすすめはこちらのフォーシーズンズホテルです。
市街地コースの角地に二面しており、カーブを有したブレーキングポイント!観戦には絶好のポジションかと思われます。また、カスピ海側の部屋はバクー市街も一望できる絶景で、旧市街にも近いため観光にも便利です。ご参考までに。
- フォーシーズン ホテル バクー
- アゼルバイジャン / ホテル
- 住所:Neftchilar Avenue 77/79، Baku 1095地図で見る
- Web:http://www.fourseasons.com/baku/
アゼルバイジャンへの行き方
空路
2016年12月現在、日本からアゼルバイジャンへの直行便はありませんので、周辺国を経由して行きます。
ビザは無料!
2016年2月より、バクーの「ヘイダル・アリエフ国際空港」からの入国のみ、日本国籍者は一般ビザ(30日間)を空港で取得できるようになりました。ビザ料金も無料です。イミグレーションブースに向かって左右端にあるビザ発給ブースにて、ビザを申請できます。
おわりに
アゼルバイジャンは、あまり日本には馴染みのない国ですが、首都バクーは親切で素朴な人々に溢れ、ワインも美味しく、カスピ海から吹く風も心地よい素敵な街です。
またそして目覚ましい発展を遂げるバクーでは、2018年、ドバイのブルジュ・ハリファを大きく抜いて世界一の高さを誇るアゼルバイジャンタワーが完成予定。このタワー以外にもバクー新市街は壮大なプロジェクトが進行中で、この先もどんどん変化を遂げていく新旧融合の都市です。