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【ナゴルノ・カラバフ(アルツァフ共和国)】未承認国家ってどんな国?日本も承認していないコーカサス山奥の独立国

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東京在住
訪問エリア:191ヶ国

2023年10月2日更新

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写真:toshel

世界には、国際政治的な諸事情で国家として承認されていない地域がいくつか存在します。「未承認国家」といわれるこれらの国は、国家としての機能(政府や外交能力)を満たし、完全に独立した状態ですが、他国に認められていない辛さもあり、未承認国家同士で国家承認し合うという複雑な状況です。今回は、コーカサス地方の山奥に位置する未承認国家「アルツァフ共和国」をご紹介します。

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未承認国家アルツァフ共和国(旧称:ナゴルノ・カラバフ共和国)の歴史

カスピ海と黒海の間に、コーカサス地方と呼ばれる山脈地帯があります。この一帯は、紀元前1万年には人類が住みついていたとされ、多くの金属器や遺跡が発掘されています。今回ご紹介する「アルツァフ共和国」は、南コーカサスのアルメニアとアゼルバイジャン共和国の国境付近、「ナゴルノ・カラバフ地方」と呼ばれる場所に位置しています。

ここには古くからアルメニア人とアゼルバイジャン人が住んでいました。人口比は流動的でしたが、双方が古代からの先住者文化を主張しては度々衝突し、領土紛争の舞台となってきました。

  • 写真:toshel

ナゴルノ・カラバフ地方に住むアルメニア人は、一つの自治州として存在していた頃からアルメニアへの編入を求めて活動していましたが、それらは受け入れられることはなく、最終的には「ナゴルノ・カラバフ紛争」にまで発展しました。

  • 写真:toshel

ソビエト連邦崩壊時、ナガルノ・カラバフ地方は一旦「アルメニア領地」とされましたが、それに対してアゼルバイジャン共和国が猛反発すると、翌日には「アゼルバイジャン領地」とひっくり返されるなど迷走し、最終的にはこの地がアゼルバイジャン共和国へと献上されたことで混迷を極めました。

そして1991年、ナゴルノ・カラバフ地方は、1つの共和国として独立宣言を果たします。独立後しばらくの間は「ナゴルノ・カラバフ共和国」と「アルツァフ共和国」の2つの名称のいずれかで呼ばれていましたが、2017年2月以降「アルツァフ共和国」のみが正式名称として採用されています。

  • 写真:toshel

アルツァフ共和国の現在はどう?

独立宣言はしましたが、それはあくまで一方的なもので、国際的には現在もアゼルバイジャン共和国内の一つの自治州とみなされています。日本も国家とは認めておらず、「アルメニアによる占領地域」という位置づけです。

アゼルバイジャン人の居ないアゼルバイジャンエリア

先述した「ナガルノ・カラバフ紛争」でほとんどのアゼルバイジャン人がナガルノ・カラバフ地方から追い出されたため、アルツァフ共和国はアゼルバイジャン共和国内にあるにも関わらず、住人はほぼアルメニア人、公用語もアルメニア語、使用通貨もアルメニアドラムです。

国旗はアルメニアへの帰属意思

下の写真の右側がアルメニアの国旗、真ん中がアルツァフ共和国の国旗です。写真からもわかるように、アルツァフ共和国の国旗は、アルメニアの国旗とほぼ同じデザインです。

  • 写真:toshel

アルツァフ共和国の国旗が掲げられている場所では、ほとんどの場合このようにアルメニアの国旗も掲揚されています。この国旗をみると「アルメニアと引き裂かれた」という思いを抱いていることが一目瞭然で、この自治州(アルツァフ共和国)のアルメニア編入に対する熱望意思を象徴していることがわかります。

いざ!アルツァフ共和国の首都ステパナケルトへ

それでは早速アルツァフ共和国を目指していきましょう。繰り返しになりますが、アルツァフ共和国は国際的にはアゼルバイジャン共和国領地です。しかし、外国人がアゼルバイジャン共和国からアルツァフ共和国へ行くことはできません。このため、旅行者はアルメニアの首都・エレバンから向かうのが一般的です。

  • 写真:toshel

アルツァフ共和国への移動はマルシュートカ(ミニバス)orタクシーで!

マルシュートカは、コーカサス地方において長距離を移動する際の一番の公共移動手段です。大型のバンを乗合するようなかたちのミニバスです。

マルシュートカで行く場合

  • 乗り合い場所:アルメニアの首都・エレバンのキリキア・ターミナル
  • 出発時刻:諸説あり、8AM~11AMの間に数本(満席になったら出発)
  • 価格:片道2,000ドラム~3,000ドラム(2018/10現在、日本円600円~700円)※運転手により若干の差あり
  • 乗車時間:休憩含め7H~

タクシーで行く場合

  • 乗り合い場所:どこからでも
  • 出発時刻:何時でも
  • 価格:1台片道30,000ドラム~50,000ドラムが相場(2018/10現在、日本円で7,000円~12,000円)※交渉次第で変動
  • 乗車時間:休憩含め5H30~

いずれの手段で向かう場合も、ルートは主に2通りあり、アルメニアの首都・エレバンの北東に位置するセヴァン湖脇を通っていくルートと、エレバンの南に位置するアララト山前面を横切る行き方があります。

どちらを選択するかは、マルシュートカ、タクシーそれぞれの運転手の好みのようです。今回は、タクシーを利用し、エレバンの北東に位置するセヴァン湖脇を通っていくルートの様子を紹介します。

エレバンの北東に位置する美しいセヴァン湖を目指す

先ずは、セヴァン湖を目指します。セヴァン湖はアルメニアの首都・エレバンの街より高い場所にあるので、エレバンを抜けた後はひたすら山を登っていきます。

  • 写真:toshel

エレバンからセヴァン湖までは約1時間かかります。

セヴァン湖を縦断し横断するのに約1時間

エレバンを後にして約1時間ほどで、セヴァン湖が見えてきます。

  • 写真:toshel

セヴァン湖はとても美しい湖で、青々とし、太陽光が煌めいています。そして、とても大きいです。

  • 写真:toshel

セヴァン湖だけでも見ごたえあり!エレバンから向かうとセヴァン湖を縦断して横断するような格好となるため、時間にして約1時間、ひたすら湖を横目に眺めながら走り続けることになります。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel
セヴァン湖
アルメニア / 自然・景勝地
住所:Lake Sevan地図で見る

セヴァン湖を過ぎた後は国境までさらに約1時間

セヴァン湖を後にすると、のどかな平地が広がり、

  • 写真:toshel

やがて、なだらかな丘陵が現れます。

  • 写真:toshel

Sotk Gold Mining

途中、鉱石や金の採れる珍しい色合いの岩山が出現します。

  • 写真:toshel

Sotk Gold Minigと呼ばれるこの岩山は、アルメニアの産業にも大きく影響しています。見たことないような青を中心としたグラデーションに目を惹かれます。こちらも、なかなか見ることのできない風景です。

  • 写真:toshel

ちなみにアルメニアに人を運ぶ長距離列車はありませんが、金を運ぶ列車はフル稼働。ここで採掘された後、エレバン近郊へと運ばれていきます。

  • 写真:toshel
Sotk Gold Mining
アゼルバイジャン / 自然・景勝地
住所:sotk gold mining armenia地図で見る

国境に到着し、アルツァフ共和国へ入国

セヴァン湖を離れて約1時間ほど走ると、ようやくアルメニアとアルツァフ共和国の国境へと到着します。

  • 写真:toshel

写真の前方にある小屋のようなところでパスポートを提出すると、国境警察が筆記で個人情報を転記。事務処理はすぐに終わります。

  • 写真:toshel

国境の様子を見ていると、ヨーロッパからの観光客が多い印象です。

首都ステパナケルトまで険しい山道をひたすら進むこと2時間半

国境を過ぎた辺りから、渓谷が現れます。

  • 写真:toshel

切り立った山々の合間に流れる川沿いの道をひたすら進み、国境から約2時間半でアルツァフ共和国の首都ステパナケルトへ到着します。

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地球旅~現在191ヵ国~
行ったことのない国を中心にひとり旅しています。他国の歴史、文化、宗教、遺跡、そしてそこに住む人々の考え方に興味があります。

車の運転が好きなので、海外ではドライブ旅を楽しんでます。普段は会社員です。

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