都心から日帰り登山ができる、地獄のぞきで有名な「鋸山(のこぎりやま)」。かつて採石場だった山には「石切り場跡」が残り、まるで古代遺跡!探検気分で散策することができます。山頂には日本寺があり、日本一の大仏など見所満載。そして山の麓にある「さすけ食堂」では、希少な黄金アジを使った、驚くほど肉厚で柔らかな"究極のアジフライ"を!今回は、そんな鋸山の日帰り登山・散策コースをご紹介します。
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鋸山(のこぎりやま)とは
千葉の房総半島の内側、富津と鋸南町の堺に位置する鋸山。標高329mの日本百低山の一つです。
凝灰岩からできた山は、かつては良質石材の産地として江戸時代から採石が行われてきました。迫力ある石切り場が多く残っています。
正式名称は「乾坤山(けんこんざん)」ですが、露出した山肌の岩がのこぎりの歯状に見えることから「鋸山」と呼ばれるようになりました。
山頂の日本寺は見所満載
山頂は「日本寺」となっており、拝観することができます。岩を削って作られた観音様や日本一大きい大仏、岩から突き出た展望台の「地獄のぞき」が有名で必見スポットです。
登山でしか楽しめない石切り場跡
鋸山にはロープウェイもあり、車で上がることもできますが、登山でも片道1時間くらいでちょうどよいハイキング。登山途中にある石切り場は、登山だからそこ楽しめるスポットなのでおすすめです。
登山コースは初心者向きから上級者向きまで全5種類ありますが、今回は鋸山登山が初めての人におすすめの「車力道」コースをご紹介します。
車力道コースの登山ガイド
出発は浜金谷駅から
都内から約2時間、JR浜金谷駅で下車します。降りると案内板があるので、徒歩10分程で迷わず「車力道」の登山口までアクセスできます。
登山スタート
一気に森林に囲まれ、気持ちの良い山道です。
車力道は名前の通り、かつて木製の荷車に石材を載せ山から運び出した道です。その跡が残っており、歴史を感じます。
地球が丸く見える展望台へ
40分ほど登ると、「石切り場」「東京湾を望む展望台」と書かれた看板があります。まずは展望台へ進みます。
途中石切り場跡がちらっと見えます。洞窟のようになっていて、ちょっとミステリアスな雰囲気。
展望台まで数百メートルですが、階段が続きます。展望台直前には絶壁階段と呼ばれるかなり急な階段が待ち構えています。頑張りましょう。
階段を上り切り、少し歩くと展望台の広場へ到着。
東京湾を一望することができます。「地球が丸く見える展望台」とも呼ばれており、お天気の日はこんな眺めを見られます。ベンチがあるので水分をしっかりとって休憩を。
ラピュタの世界を彷彿させる石切り場跡へ
苔むした石壁
それでは石切り場へ向かいます。まずこちらは石材の運搬に用いられていた隧道(ずいどう)で、高くそびえ立つ石壁には見事な横線が残っています。
この間を歩けますが、なんだか古代遺跡の中を歩いている気分に。苔むしていて神秘的な雰囲気が漂います。
必見の洞窟!?
鋸山では1985年に採石が終了しましたが、最盛期には約30の企業が石を切り出していたそうです。それぞれの企業の石切り場跡が残っていますが、一番インパクトあるのがこちら、「万忠」という石屋の石切り場跡です。
洞窟のようになっているのは、良質な石を求めて地層に沿って掘ったためです。
遥か高くまで続く石壁はかなりの迫力と重圧感です。要塞のような、まるで刑務所の中にいるような威厳ある雰囲気。調査によると、40m以上も奥まで空洞になっているそうです。
ここには小さな地蔵も掘られていますので、探してみて下さいね。
探検気分になれる遺構の数々
高さ約80mの石壁の前に、大きな広場になっている「岩舞台」と呼ばれる場所があります。過去にコンサート会場にもなったこともあるようです。大きな石壁に音が反響して迫力あるコンサートになりそうですよね。
こんなものも発見。こちらは昭和40年ごろに導入された、実際に使用されていたブルドーザーです。まるで遺跡の発掘探検のようです。
山の上にこんな空間が広がっているなんてとても不思議。ジブリファンにとっては、思わずラピュタの世界!と思ってしまいます。
それからこちらの石壁、「安全第一」という文字が目に入ります。「芳家石材店」の石切り場跡で、よく見ると下に芳家石材と掘られています。
そんな発見もちょっと楽しいです。
絶景ポイント
石切り場を後にして山頂へ向かう途中、こんな絶景ポイントも。約90mと一番高低差のある「たわらや」の石切場跡です。
見事な絶壁で、まるで石職人による芸術作品のようです。とにかくそのスケールに圧倒されます。
登りきるとついに山頂へ到着です。