北欧フィンランド生まれの大人気キャラクター、ムーミン。北欧の森の妖精であるムーミンは、スウェーデン語を話すフィンランド人のトーベ・ヤンソンによって書かれた物語です。今回は、フィンランド・タンペレ市にある世界で唯一の「ムーミン博物館」をご紹介します。ムーミンファンには必見です!(※博物館の内部は写真撮影禁止となっています。本記事内の画像は、特別な許可をとって撮影しています)
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ムーミン博物館とは?
フィンランドの第3の街・タンペレ(Tampere)市は、ヘルシンキから約170km北にあり、フィンランドの湖水地方と呼ばれるエリアにある人口22万人の街です。
タンペレ市内には公衆サウナの数が多く、個性あるサウナが点在していることからサウナの首都と呼ばれています。また世界一にも輝いたクラフトビールの醸造場がある他、諸外国からの学生も通う大学数が多いために国際的な雰囲気が漂い、オープンでとても居心地のいい都市です。
そんなタンペレ市の中心地にあるのが、世界で唯一のムーミン博物館(Muumin Museo)です。
ムーミン博物館はここ数年の間、市立図書館、アート美術館などの場所を転々としてきましたが、2017年初夏にようやく、タンペレ大学の向かい側にあるTamperetalo(タンペレタロ)というコンサートホールの一角が、ムーミンの特別仕様に改装されて開館しました。
今回は、ホールの1階と地下1階部分で展開され、ムーミンの絵本の世界に入り込むことができる、ムーミン博物館を詳しくご紹介します。
ムーミン博物館の5つの魅力
その1:原画を楽しめる!!
ムーミン博物館の目玉といえば、作者トーベ・ヤンソンの筆跡をたどる原画を見られることではないでしょうか。地上1階・地下1階部分の壁際には、額に入ったムーミンの原画が飾られています。
今でこそ、日本を含む全世界でムーミンアニメがカラフルな映像になって放映されたり、色々と装飾されたムーミングッズを手に入れることができますが、原画は特に色を塗られることもなく、しかも大した背景もなく、1本の線のみというシンプルな画でその世界観が表現されています。
森や湖のほとりで過ごすムーミンとその仲間たちの原画も登場しますが、原画をよく見ると、作者のトーベが何度か修正をした修正液の跡もわかります。シンプルな線ですが、シンプルだからこその難しさ、例えば独特のふくよかなムーミンの顔や体など、ちょっとの誤差で印象の異なるキャラクターとなってしまいます。絶妙な世界観を作り上げるためのトーベの苦労を、1つの原画から垣間見ることができます。これは、ムーミン博物館だからこそ発見できる醍醐味です。
その2:巨大な絵本を楽しめる!!
地下1階部分には、大人の背丈以上にもなる大きな絵本が展示されています(下の写真の右上)。トーベ・ヤンソン作の『ムーミン谷の夏まつり(フィンランド語:Vaarallinen Juhannus)』を紹介している大きな絵本です。こちらは、分厚いしっかりとした合板などの素材でできており、もちろんページをめくることもできます。
絵本のページは手書きの筆記体のような書体で書かれており、温かみを感じるものとなっています。また、言語はスウェーデン語ですが、フィンランド語に訳された際にも、韻を踏むようにリズミカルに書かれているそうです。
子供用の絵本でありながら大人も一緒に楽しめる、完成度の高い芸術品のような絵本となっています。等身大の絵本、ぜひページをめくりながら読んでみたいですね。
その3:ジオラマと音声でムーミンの世界を楽しめる!!
ムーミン博物館には、絵本の中のシーンを再現したジオラマがガラスケースに入れられていくつも点在しています。雪の球が出てくるシーンでは、ふかふかの雪を固めた球が再現され、絵本の世界で積み上げた雪の中に灯りが灯って入れば、それもそっくりそのまま再現されています。
数あるジオラマ展示の中でも一番の目玉は、赤い屋根に青い外壁がトレードマークの「ムーミンハウス」です。ムーミン一家が住んでいるこの家には、お風呂やキッチン、いくつものベッドルームや物置など、部屋のインテリアや小物に至るまで細部に工夫を凝らしたジオラマとなっています。
館内にある各ジオラマの横には、タッチパネルがあり、そこでそのジオラマや原画に関係するシーンのお話を、各国語で読んだり聞いたりすることができます。もちろん日本語もありますので、日本語の音声と文字でジオラマ展示の背景情報を把握すれば、物語の世界を一層楽しむことができるでしょう。