鎌倉
鎌倉観光
古都の町並みが美しい日本を代表する観光地のひとつ

大きいのに繊細な美しさ!鎌倉最大級の木造建築【妙本寺】

取材・写真・文:

神奈川在住
訪問エリア:47都道府県

2017年9月11日更新

4,525view

お気に入り

写真:えいぶゆう/TossyPhoto

日蓮が開いた最古のお寺である「妙本寺」は、鎌倉で最大級の木造の仏堂を持つお寺です。境内に圧倒的な雄大さでたたずむお堂は、ただ大きいだけではありません。お堂や境内の門には、お寺の多い鎌倉でもなかなか珍しい、艶やかに彩色された彫刻が施されていて、見ごたえがあります。最大級のお堂は、縁側でノンビリするスペースもあり、とっておきの旅としてオススメしたい場所でもあります。そんな「妙本寺」の魅力をご紹介します。

この記事の目次表示

「妙本寺」ってどんなところ?

鎌倉にあるお寺「妙本寺」は、日蓮が開いた日蓮宗のお寺のなかで最も古いお寺です。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto妙本寺

寺院を創建したのは、比企大学三郎能本(ひきだいがくさぶろうよしもと)です。昔の人は名前が長いですね。本記事では、比企能本(ひきよしもと)と略称でご紹介いたします。

「日蓮」×「比企能本」のタッグで、この「妙本寺」が創建されたのですが、そこにはどんな理由があったのでしょう?

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto日蓮の像

比企能本の一族、「比企一族」はとっても優秀な一族でした。

鎌倉のスーパースター「源頼朝」の乳母を務めたり、同じく源頼朝の右腕の家臣として活躍したり、源家に側室に入ったりと、とにかく鎌倉の中核にガッシリと入り込んでいた一族でした。

しかし、そういう華々しい活躍をうっとうしく思うライバルは、いつどの時代でもいるもの。

特に、「源頼朝」の奥さんの「北条政子」の実家の北条家が、この比企一族の活躍を快く思ってはいませんでした。

そして、1203年に北条家によって、比企一族は滅ぼされてしまうのです。この事件は「比企の乱」と呼ばれています。

この比企の乱のとき、たまたま鎌倉から離れて、京都にいたのが「比企能本」でした。比企能本は、ずっと一族の菩提を弔ってくれるにふさわしい僧を探していました。

そんなとき、日蓮に出会い、その考えと人柄に触れるにつれて、「この人こそが我が一族を弔うにふさわしい人だ!」と思い、自分の屋敷を日蓮に寄付し、お寺としました。そして、鎌倉で最大級の木造建築のお堂が建てられたのです。

妙本寺の入り口

妙本寺はJR鎌倉駅から、あるいて10分程度。ノンビリとした住宅街を歩いていくと、住宅の中に、溶け込むようにお寺の入り口が見えてきます。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto住宅地の道路にある妙本寺の石碑と、遠くに見える入り口

この石碑、よく見てみてください。刻まれている文字が、まるで筆で勢いよく書いたように、トメやハネが伸びています。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto石碑

「南無妙法蓮華経」と書かれていますが「ひげ文字」と呼ばれる日蓮宗が好んで使うフォントで書かれています。

ここから100メートルほど歩くと背の高い山門が見えてきます。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto山門

山門の横にも小型の石碑が。やっぱりここもひげ文字で彫られています。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto石碑

この山門と石碑の後ろには、特徴的な多角形の建物が見えてきます。実はこれ幼稚園です。とっても立派な建物なので、ついついお堂かと思って参拝してみたくなりますね。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto比企谷幼稚園

木立に隠れた参道

山門をくぐり、幼稚園を脇に正面の道を進むと、民家の間に、山の入り口のような緑が見えてきます。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto緑に包まれた参道

緑が濃すぎて、この先に道が続くとは思えないほど。この先を進んでいくと、背の高い木々に囲まれて、涼しげな景色の参道が続きます。駅や大通りから近い立地ながら、この豊かな緑に周囲の音が吸収されて、とっても静か。急に異世界に入り込んだようです。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto涼しげな参道

妙本寺はこの豊かな緑も楽しみのひとつ。参道を一歩ずつ踏みしめていくと、ゆっくりとした時の流れを楽しめます。

二天門

参道の階段を登りきったところに現れるのが、こちらの「二天門」。推定1840年頃、建てられたとされる門です。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto二天門

この二天門、見どころなのは正面にまっさきに目に入る、鮮やかな彫刻。丸みを帯びて立体的な彫刻は、彫りも深く、しっかりと彩色されています。こういった彫りは、お寺の多い鎌倉でもなかなか見られないもの。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto門の彫刻

彫刻のモチーフは、翼の付いた龍が、荒波を乗り越えているところです。本来、日本の龍には翼はありません。龍は東洋から西洋に伝わるにつれて羽が生えていきました。

体の形状も蛇のように長いフォルムから、だんだんとタツノオトシゴのような短い体になっていきました。

再度彫刻を見てみると、東洋の龍というよりは、西洋のドラゴンに近いようです。

二天門は彫刻だけではありません。両サイドに二体の像が安置されています。左から多聞天(毘沙門天)、右側が持国天です。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto多聞天
  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto持国天

お寺で門の両サイドに置かれる像として、よく見かけるのは仏教界のボディーガードである金剛力士です。

こちらは多聞天と持国天です。多聞天と持国天は、仏教界で東西南北を守る四天王のメンバーのうち2人。つまりこの2人も、ボディーガード系の神様なんですね。

次のページを読む

鎌倉の旅行予約はこちら


鎌倉のパッケージツアー(新幹線・飛行機付宿泊プラン)を探す

鎌倉のホテルを探す

鎌倉の航空券を探す

鎌倉の現地アクティビティを探す

鎌倉のレンタカーを探す

鎌倉の高速バスを探す

この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


日本のおすすめパワースポット24選!全国の最強パワースポット特集

日本の総氏神のように信仰される天照大御神をお祀りする伊勢神宮や、”願いが叶うパワースポット”として有名な来宮神社、全体が最強パワースポットと言われる皇居など、日...


【2023年版】旅行者が行った日本国内の人気観光スポットランキングTOP48!

2023年にトリップノートのトラベラー会員が登録した「行ったスポット」のデータを元に、トラベラーのみなさんが実際に訪れた国内の人気観光スポットランキング【202...

関東のデートスポット33選!カップルのお出かけにおすすめ

スクランブル交差点を一望できるルーフトップラウンジや、異国情緒あふれる法水寺、カップルでのドレス体験も人気のロックハート城など、カップルで行きたいデートにおすす...

雨の鎌倉におすすめの観光スポット&カフェ21選!

予約なしで写経体験ができる長谷寺や、リゾート気分を味わえる材木座テラス、分厚いホットケーキが人気のイワタコーヒー店など、雨の鎌倉におすすめの観光スポット&カフェ...

神奈川デートに!カップルにおすすめのデートスポット42選

ロマンチックな夜景が眺められる名所や海の見える公園、2人で思いっきり楽しめるレジャースポットに、絶景が魅力の観光スポットまで、カップルで行きたい神奈川のおすすめ...

この記事を書いたトラベルライター

旅はいつも心のまんなかに
知らない土地、知らない文化、知らない人。知らない何かがいつも自分の心を広げてくれます。広がったその先を見てみたい。その探求心や好奇心はそのまま「旅」として、いつも心のまんなかにあります。

えいぶゆう(文)とTossyPhoto(写真)の2人で、心のまんなかにある「旅」を切り取っていきます。

あなたの心にも旅の灯がともりますように。

本当は教えたくない!鎌倉の隠れ寺「寿福寺」

沢山の寺院が並ぶ鎌倉の中で、鎌倉幕府が定めた鎌倉五山に名を連ねる「寿福寺」。鎌倉幕府の中核を担った北条政子のお墓があるなど、鎌倉を興した人々に多くのゆかりがある...


絶対後悔させない!湘南【江の島】の超詳しい観光&時間ガイド

湘南を代表する観光スポット「江の島」。どメジャーな観光スポットですが、意外にもガイドブックでは紙面の都合からか、江の島の見どころを収めきれていないんです。実際に...


【神奈川県・三浦半島】侮れない!プチ本格登山を楽しむ三浦アルプス

神奈川県の三浦半島にある三浦アルプスは、逗子、葉山、横須賀の境界にある山稜地帯です。三浦アルプスの一番の魅力は、200m程度の低い山々にもかかわらず、まるで原生...

超超超初心者におすすめ!本当に楽な神奈川のハイキング5選

神奈川県には気軽に登山・ハイキングできる自然がたくさんあります。でも、「初心者におすすめ」の情報を見て、行ってみたらキツかった。なんてことはありませんか。超がつ...

【ベトナム】半日で巡る!お土産天国ダナン市街の見どころ

ベトナム中部の都市ダナンは、お土産天国と言っても差支えないほど、様々な名品が低価格で購入できるんです。中には女子ウケするカワイイ小物もいっぱい。そんなダナン市街...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります