世界中で人気を博したトルコの宮廷歴史ドラマ、『オスマン帝国外伝』。ドラマ中、スレイマン大帝のそばに仕え大宰相として活躍したイブラヒム・パシャにまつわる、イスタンブールにおける関連スポットを現地でリサーチしました!
この記事の目次表示
【1】トプカプ宮殿の御前会議の間
イブラヒム・パシャは、オスマン帝国第10代皇帝スレイマンの時代に活躍した大宰相です。スレイマンがまだ皇子だった頃から彼の寵を受けていたイブラヒムは、スレイマンがスルタンの座に即位したあとも彼の傍らで仕え、異例の早さで昇進して、スルタンに次ぐ権力者とされる大宰相という地位にまで登りつめます。
そんなイブラヒムが、帝国の政治を取り決める会議を開催していたのが、トプカプ宮殿内にある御前会議の間です。イブラヒム自身が建設を命じて造らせたものとして知られており、大宰相としての権力を示すかのような豪華絢爛の美しい装飾が印象的な広間となっています。
【2】イブラヒム・パシャの邸宅
イブラヒムは、その地位と度重なる遠征での功績により多額の財を成していました。彼はその財を利用して、トプカプ宮殿の近くに自らの大邸宅を建設しました。ドラマ中では、スレイマン大帝の兄妹であるハティジェ皇女と結婚したあと、ここに二人で住まっていました。この大邸宅は、イブラヒムの死後に国家に没収され、現在はトルコ・イスラーム美術博物館として一般公開されています。博物館では、クルアーン(コーラン)の写本や絨毯、タイルなどの美術品を鑑賞することができます。
- トルコ・イスラーム美術博物館
- イスタンブール / 博物館
- 住所:Binbirdirek Mh. Atmeydanı Sk. No: 12 - Sultanahmet/İSTANBUL地図で見る
【3】ハティジェ皇女が眠るヤヴズ・スルタン・セリム・モスク
ドラマ中では、イブラヒムはスレイマン大帝の兄妹であるハティジェ皇女と結婚しました。イブラヒムは、最終的にスレイマン大帝に処刑されて無銘の墓に埋められたため、いまでも彼がどこに眠っているのかは定かではありませんが、ハティジェ皇女が眠っている場所ははっきりとしています。ハティジェ皇女は、旧市街のヤヴズ・スルタン・セリム・モスクの敷地内にある霊廟で父セリム1世と母アイシェ・ハフサ・スルタンの近くで眠っています。
ドラマでは二人は結ばれましたが、実際はイブラヒムはハティジェ皇女とは結婚せず、ムフスィネという別の女性と結婚していたという説が有力になっています。
- ヤヴズ・スルタン・セリム・ジャーミィ
- イスタンブール / モスク
- 住所:Balat Mahallesi Sultan Selim Cd. No:18 34087 Fatih/İstanbul地図で見る
【4】ガラタ塔界隈
イブラヒムと彼の親友である宮廷史家のマトラークチュらが、人目を避けて夜のガラタ塔付近にある酒場に出向くシーンがたびたびあります。ドラマの舞台である16世紀のガラタ塔界隈は、東ローマ帝国時代からのジェノヴァ共和国の居住区があった場所で、当時のイスタンブールの中でもムスリムではない異教徒たちが住まう「小さな外国」のようなスポットでした。
現在のガラタ塔周辺には、イブラヒムたちがこっそり通っていたような怪しい酒場はありませんが、おしゃれなカフェやレストランが軒を連ねる観光スポットになっています。
おわりに
スレイマン大帝の時代のオスマン帝国の圧倒的な存在を西欧に知らしめたイブラヒム・パシャは、最終的にはスルタンの寵を失い処刑されてしまったものの、帝国の繁栄にはなくてはならない存在でした。名宰相イブラヒムの生涯に思いを馳せながら、イスタンブールを散策してみてはいかがでしょうか。