鎌倉
鎌倉観光
古都の町並みが美しい日本を代表する観光地のひとつ

これは珍しい!漫画家に愛される鎌倉の神社【荏柄天神社】

取材・写真・文:

神奈川在住
訪問エリア:47都道府県

2021年5月25日更新

20,365view

お気に入り

写真:えいぶゆう/TossyPhoto

学問の神様である菅原道真をお祀りしている神社としては、福岡の「太宰府天満宮」、京都の「北野天満宮」が有名です。この2つは日本三大天神として知られますが、残りのもう一つが鎌倉にあるってご存知でしたか?それがここ「荏柄天(えがらてん)神社」です。そもそも、どうして実在の人物であった菅原道真を、神様としてお祀りすることになったんでしょう?本記事では、その謎もご紹介します。さらに荏柄天神社は日本でも、とっても珍しい「漫画」にゆかりのある神社なんですよ!それでは荏柄天神社をさっそくご紹介しましょう。

この記事の目次表示

日本三大天神の学問の神様

「学問の神様」と聞いて、パッと思い浮かぶ神様はいますか?

学問の神様といえば、とても優秀な学者として活躍した菅原道真ですね。学校の受験や、資格試験なんかでお参りする王道の神様なので、この記事を読まれている多くの方が、お世話になったことがあるのではないでしょうか。

菅原道真をお祀りしている神社といえば、菅原道真の墓所でもある福岡の「太宰府天満宮」が有名ですね。さらに京都の「北野天満宮」でも菅原道真をお祀りし、やっぱり学問にご利益があるとして、毎年多くの受験生が訪れます。

菅原道真は、別名「天神様」と呼ばれています。全国に「〇〇天神」と名の付く神社は、菅原道真を祀った神社なんです。

その中でも代表的な天神様、日本三大天神は、福岡の太宰府天満宮、京都の北野天満宮、そしてもう一つが鎌倉にあるんです。

それが今回ご紹介する「荏柄天(えがらてん)神社」です。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto荏柄天神社

「えがら」とは変わった名前だと思いませんか?もともと地名が由来となり、神社の名前となったそうですが「えがら」つながりで、こちらの神社では他では見られない、とっても珍しいものをお祀りしているんですよ。

のちほどご紹介するとして、まずは菅原道真について少し学んでから荏柄天神社に向かうとしましょう。

どうして菅原道真をお祀りしてるの?

荏柄天神社の場合

菅原道真は、最初っから神様だったわけではなく、歴史上多大な功績をのこした人間です。リアルに存在していた人間が、神様として祀られるようになったのは、一体どうしてなんでしょうか?

たとえば京都にある安倍清明神社では、かの有名な陰陽師「安倍清明」が祀られています。普通の人間とは思えない、不思議な力を持っていたと言われる安倍清明が祀られるのは、なんとなーくわかるのですが、菅原道真もそんな力を持っていたのでしょうか??なんだか、ただならぬ感じがしますね!

  • 安倍晴明神社

荏柄天神社には、こんなお話が伝わっています。

1104年に、それまで雲ひとつなく、青々と晴れていた空に、突然黒々とした雲がモウモウと覆いかぶさり、激しい雷がゴロゴロと落ちてきました。

人々が突然の天気の変化にあっけにとられていると、天から黒装束の肖像画が降りてきました。その肖像画を見てみると、描かれていたのは菅原道真だったのです。

「天から雷鳴とともに降りてくるとはただならぬことだ!」と、肖像画をお祀りすることになりました。お祀りするにあたって、肖像画の傍らにイチョウの木を植えて、ご神木にしたことが荏柄天神社の始まりとされています。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto荏柄天神社のイチョウの木

う~ん。とってもオドロオドロしい光景ですね。これは荏柄天神社に伝わるお話しですが、他の天神ではどういう経緯で、菅原道真を祀っているんでしょう?

太宰府天満宮の場合

福岡の太宰府天満宮は菅原道真の墓所です。

菅原道真は、もともと大宰府に住んでいたわけではありません。京で働いていたのですが、職場のライバルに言いがかりを付けられ、してもいない罪を被せられて、左遷され太宰府にやってきました。

菅原道真はとても頭がよく優秀だったので、太刀打ちできないと思ったライバルが罪を着せたんですね。

さらに菅原道真の子供も流刑にされたりと、菅原道真は恨み・怒り・無念を抱えて、太宰府で亡くなってしまったのです。

菅原道真が亡くなったあと、左遷前に勤めていた京の職場では、異常気象、火災、地震などさまざまな災いが多発しました。

罪を着せた人々も自責の念があったのでしょう。「これはきっと菅原道真のタタリに違いない!」と言う人々が増え、魂を鎮めるために「太宰府天満宮」が建てられました。

  • 太宰府天満宮

その後も100年近く、何か災いがあると「菅原道真のお怒り」ということで恐れられました。なんだか、100年近くも菅原道真のせいにされて、少し気の毒な気がします。

きっと「菅原道真の怒りってことにして、その場をとりなそう」という政治的な理由もあったんでしょう。

この「何か起こったら菅原道真のせい」→「怒りを鎮めるため神社をつくろう」という流れが、少しずつ全国に広まり、のちに各地で「天神様」信仰が根付くようになりました。

荏柄天神社に降臨したときも、雷鳴を轟かせながら登場するという、どちらかと言えばネガティブな描写でしたもんね。

ところで、雷の神様のことも天神様と言ったりします。菅原道真が亡くなってから、宮廷に大きな雷が落ちて、多くの死傷者がでたことから、菅原道真=雷の神様=天神様という関係がうまれました。

そしてまた時代は流れ、とても頭のよかった菅原道真を学問の神様として親しむようになったのです。江戸時代の寺子屋では、必ず天神様の像が祀られていたそうですよ。

それではさっそく荏柄天神社にレッツゴー!

神域のはじまり

荏柄天神社へは、鎌倉駅から京急バス4番線「鎌倉宮(大塔宮)」行きに乗車し、その名もズバリ、「天神前」で下車します。

菅原道真と天神様の関係を学んだ後なので、バス停の名前も「ふむふむなるほど」という感じですね。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhotoバス停(天神前)

すぐ近くには、日本で唯一の天皇創建の神社「鎌倉宮」もあります。バス停「天神前」から目視確認できるほど、とーっても近いんです。

荏柄天神社は他の神社も観光できて、とっても効率の良い立地条件なんです。

【関連記事】日本でここだけ!天皇創建の神社[鎌倉宮]で厄除け&鳥居ウォッチング

鎌倉宮
鎌倉 / 神社 / 観光名所 / 紅葉 / パワースポット / 一人旅 / あじさい名所
住所:神奈川県鎌倉市二階堂154地図で見る
電話:0467-22-0318
Web:http://www.kamakuraguu.jp/

少し歩くと、「荏柄天神社」と書かれた石碑がずどーんと建っていて、私たちを迎えてくれます。大きな木の下をくぐると、その先には赤い鳥居が待ち構えています。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto石碑と木と参道

階段を登っていくと、朱色の鮮やかな拝殿が見えてきます。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto拝殿

拝殿には、菅原道真といえばコレ!というシンボルの梅のマークが。菅原道真は梅が大好きな人だったので、境内のいたるところに、この梅マークが見られます。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto梅マーク

次のページを読む

鎌倉の旅行予約はこちら


鎌倉のパッケージツアー(新幹線・飛行機付宿泊プラン)を探す

鎌倉のホテルを探す

鎌倉の航空券を探す

鎌倉の現地アクティビティを探す

鎌倉のレンタカーを探す

鎌倉の高速バスを探す

この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


【2023年版】全国の人気神社・お寺TOP52!旅行好きが訪れた寺社ランキング

2023年の1年間にトリップノートのトラベラー会員が登録した「行ったスポット」のデータを元に、トラベラーのみなさんが実際に訪れた国内の寺社ランキング【2023年...


鎌倉&江の島を隅々まで満喫♪1泊2日の観光モデルコース

都心から電車で1時間ほどでアクセスできる鎌倉と江の島。せっかくなら泊まってのんびり観光やグルメを楽しみたいけど、どこに行こうか迷っちゃう・・・。そんなあなたでも...

半日で楽しむ鎌倉さんぽ!鶴岡八幡宮~長谷モデルコース♪

四季折々の魅力にあふれる神奈川・鎌倉。とにかく見所がたくさんあって、楽しむには丸一日かかるイメージがある人も多いのでは?いえいえ、そんなことはありません!アクセ...

【2022年版】関東の人気の神社・お寺TOP25!旅行好きが行った寺社ランキング

2022年にトリップノートのトラベラー会員が登録した「行ったスポット」のデータを元に、トラベラーのみなさんが実際に訪れた関東の寺社ランキング【2022年版】をご...

【鎌倉】葛原岡・大仏ハイキングコース完全ガイド&立ち寄れる観光スポット8つ

北鎌倉から鎌倉の大仏までを結ぶ人気の葛原岡・大仏ハイキングコース。見所満載で初心者にもおすすめのコースです。有名な銭洗弁財天や縁結びの神社、天空のカフェなどに立...

この記事を書いたトラベルライター

旅はいつも心のまんなかに
知らない土地、知らない文化、知らない人。知らない何かがいつも自分の心を広げてくれます。広がったその先を見てみたい。その探求心や好奇心はそのまま「旅」として、いつも心のまんなかにあります。

えいぶゆう(文)とTossyPhoto(写真)の2人で、心のまんなかにある「旅」を切り取っていきます。

あなたの心にも旅の灯がともりますように。

本当は教えたくない!鎌倉の隠れ寺「寿福寺」

沢山の寺院が並ぶ鎌倉の中で、鎌倉幕府が定めた鎌倉五山に名を連ねる「寿福寺」。鎌倉幕府の中核を担った北条政子のお墓があるなど、鎌倉を興した人々に多くのゆかりがある...


絶対後悔させない!湘南【江の島】の超詳しい観光&時間ガイド

湘南を代表する観光スポット「江の島」。どメジャーな観光スポットですが、意外にもガイドブックでは紙面の都合からか、江の島の見どころを収めきれていないんです。実際に...


【神奈川県・三浦半島】侮れない!プチ本格登山を楽しむ三浦アルプス

神奈川県の三浦半島にある三浦アルプスは、逗子、葉山、横須賀の境界にある山稜地帯です。三浦アルプスの一番の魅力は、200m程度の低い山々にもかかわらず、まるで原生...

超超超初心者におすすめ!本当に楽な神奈川のハイキング5選

神奈川県には気軽に登山・ハイキングできる自然がたくさんあります。でも、「初心者におすすめ」の情報を見て、行ってみたらキツかった。なんてことはありませんか。超がつ...

【ベトナム】半日で巡る!お土産天国ダナン市街の見どころ

ベトナム中部の都市ダナンは、お土産天国と言っても差支えないほど、様々な名品が低価格で購入できるんです。中には女子ウケするカワイイ小物もいっぱい。そんなダナン市街...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります