ロンドン市内から電車で最短20分で着ける貴族の館、ハットフィールド・ハウスは一般公開されており、ため息の出るような豪華さで、英国貴族の優雅な生活を垣間見ることができますよ。ここは数多くの映画やドラマのロケ地ともなっています。
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一般公開されている貴族の館
最近、近代の貴族の豪奢な生活を描いて大人気になったイギリスのドラマ『ダウントン・アビー』を観て英国貴族の生活にあこがれや興味を持った方が多いようです。
ダウントン・アビーのロケ地となった伯爵の館ハイクレア城は公開時期が短く早期の予約も必要、行くにもタクシーが必要だったりと大変なため、行ってみたくても断念するファンも少なくないのではないでしょうか。
しかし、イギリスで映画やドラマのロケ地になって、一般公開もされている貴族の館はハイクレア城だけではないのです!
今回は、これまでさまざまな映画やドラマに出たこともある貴族の館、ハートフォードシャーのハットフィールド・ハウス(Hatfield House)をご紹介します。
ロンドン市内から電車で北に20分〜50分ほど(※電車によって異なる)、駅から出てすぐの手軽さで行けるんですよ!
女王、国王もゆかりのハットフィールド・ハウスの成り立ちと歴史
ドラマや映画に描かれる国王、女王も使った!
ハットフィールド・ハウスの敷地には主な建物が2つあります。
古くて小さい方は、もともと15世紀末に聖職者の邸宅として建造された建物の一部です。
聖職者の邸宅は、国王ヘンリー8世に没収され王室の宮殿のひとつとなりました。
ヘンリー8世は有名な暴君で、彼やその妻は、シェークスピアの『ヘンリー八世』に始まり現代にいたるまでしばしば小説やドラマ、映画に描かれています。
そして、その後の国王、女王となるヘンリー8世の子供たちはその宮殿で育ちました。その中でエリザベス1世もまた映画やドラマなどで数多く描かれた有名な君主です。
邸宅内にはエリザベス1世の肖像も飾られています。
エリザベス1世が戴冠した当時、英国はヨーロッパの凡庸な一国家のひとつでしたが、彼女の長年にわたる堅固な統治により、スペインの無敵艦隊を破る強さを得、七つの海を支配する大国になる礎を築いたのです。
ケイト・ブランシェット主演の映画『エリザベス』『エリザベス:ゴールデン・エイジ』はエリザベス1世を描いた映画のひとつで、ここでロケをされたシーンもあります。
ハットフィールド・ハウスの当主と、日本との意外な縁
17世紀初期に宮殿はソールズベリー伯爵のセシル家の所有となり、母屋は記事冒頭の写真のものに建て直され、現在のハットフィールド・ハウスとなりました。
貴族の館は、歴史の中で解体されたり売られたり、様々な運命をたどったものも多いですが、ハットフィールド・ハウスは建設以来3世紀の間ずっとセシル家に所有され、当主は今でもこの館に住んでいます。
セシル家は歴史の中で侯爵に昇格し、ビクトリア時代には首相も輩出した名家で、ハットフィールド・ハウスは政界サロンのような役割を担っていた時期がありました。その頃に伊藤博文も訪れたことがあるのだそうです。
館の中はため息の出る豪華さ!
お勉強はこのくらいにして、館の中を見てみましょう!
ハットフィールド・ハウスには現在でもセシル家当主が暮らしており、一般公開されているのは当主が暮らしていない部分です。
公開されている部分も結構な大きさですので、今回はその中からさらに一部をご紹介しますね。
舞踏会や晩餐会の開かれるマーブルホール
マーブルホールと言う広い部屋は、舞踏会や晩餐会などに使われる部屋だそうです。
ここは『バットマン』などの映画に出ているようですよ。
たくさんのポートレートに囲まれた客間
客間に飾られた、女王エリザベス1世の肖像画や国王ジェームズ1世から送られた自身の像などが、王室との密接な関係を表していますね。
知の宝庫ライブラリー
ライブラリーは16世紀から現代までにおよぶ、10,000冊以上の蔵書コレクションを誇るそうです。
ここは映画『トゥームレイダー2』などに出て来るようですよ。
貴族の館のライブラリーはファッションのためにしつらえられると言うのが一般的な見方ですが、知の財産の所有量が自慢になると言うのはヨーロッパ的ですね。
屋敷の中にチャペル
館には一族のためのチャペルもあります。こちらも個人所有のものとは思えない大きさ、意匠の凝りようです!
立派なステンドグラスは17世紀初頭のものだそうです。
細部にわたり凝った装飾
長くなってしまうのでいちいち取り上げられませんが、それぞれのスペースは天井までも美しく装飾がされているんですよ。
この階段の天井の装飾は特に、ビクトリア女王が館を訪問されるに当たりほどこされたのだそうです。また、この階段は手すりにまで細かい装飾がなされています。
コレクションの規模も違う!
甲冑が展示されている廊下です。
甲冑のほとんどは19世紀半ばに当時の当主が購入したコレクションなのだそうです。ロールプレイングゲームの世界そのものですね!