日本でも専門店があるほどに人気のある東南アジアの料理チキンライス。茹でた鶏肉と、その出汁で炊いたごはんが絶妙なおいしさを醸し出します。しかし、同じチキンライスでも、マレーシア・マラッカ名物のチキンライスは、その様相がちょっと違います。「チキンライスボール」という、ごはんを丸く握ったチキンライスなのです。まるでおにぎりのようなかわいらしい形。日本では食べることができない、マラッカならではのチキンライスボール人気店を巡ってみましょう。今回ご紹介する3店舗は、なんと徒歩1分圏内で回れちゃいます。
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世界遺産の街マラッカ
- 出典:allabout.co.jp観光名所のひとつ「オランダ広場」 撮影:古川音さん
マレーシア南西岸に位置するマラッカ州の州都。ヨーロッパとアジアを結ぶ貿易の地として繁栄し、ポルトガル、オランダ、イギリスから支配下された影響から、今もその面影を残す建造物や文化が残っています。2008年に「マラッカ海峡の歴史都市群」としてペナン島ジョージタウンと共に、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。
街の中心地にあるチャイナタウン。中華系移民の子孫であるプラナカン文化が色濃く残り、ショップハウスと呼ばれる1階が店舗、2階が住居の間口の狭い奥行きある建物が印象的です。目抜き通りのジョンカーストリートには、飲食店や雑貨店が軒を連ねています。
チキンライスボールってなに?
一般的なチキンライスは、お皿に盛られたごはんに茹で鶏が載っているスタイル。しかし、マラッカのごはんは、おにぎりのように直径3cmほどの大きさに丸められています。ギュッと強く握られていて米粒がつぶれるほど。小さいながらも重量感があります。日本のおにぎりならば空気を含ませながらふんわり握りますが、これは全然ちがう!
この形は、その昔、天秤棒を担いで街でチキンライスを売り歩いていた頃の名残といわれています。労働者が作業途中でも食べやすいようにごはんを丸くしていたとか。
しかし、時代と共に天秤棒スタイルが消滅。チキンライス専門店では、手間のかかる丸型から皿盛りや茶碗盛りへと変化。ただ、マラッカではその形をあえて残したか否か、ライスボールが定着し名物となっています。
おすすめのチキンライスボール店
チキンライスボール店の目印は、「Chicken Rice Ball」、「鶏飯粒」、「鶏飯團」などの表記をチェックしてみてください。街の至る所に店舗があり、どの店にしようか迷ってしまうほどです。そんな時におすすめの3軒がこちら!
中華茶室(KEDIA KOPI CHUNG WAH)
ジョンカーストリート入り口にいつも行列が絶えない人気店があります。狙い目は朝の9~10時くらい。11時にはあっという間に行列です。
店内は昔ながらのコーヒーショップという感じで、シンプルなつくりになっています。旅慣れない人ならば、入るのに勇気がいるかもしれませんが、この雰囲気がアジアっぽくてそそられるんです。
ライスボールは鶏の出汁が効いています。多少の米粒を残しつつ、しっかりまとまったその形は圧巻。これを手作業でする労力に頭が下がります。
ゴマ油の香りを漂わせたチキンは、皮の黄色味が強い新鮮なマラッカ産の鶏肉。身が締まっていてうま味が凝縮されています。メニューは基本、鶏肉半身サイズか1羽サイズ。人数に合わせて相当サイズを店員さんが運んできてくれます。
平日は午後3時までの営業なので、早めの来店がおすすめです。
和記鶏飯團(HOE KEE CHICKEN RICE)
中華茶室からジョンカーストリートに入って、歩くこと15秒。店頭にある屋台風の厨房が目印です。
趣のある古民家のような佇まい。中に入ると奥行きのある広さに驚かされます。その中央部分は中庭になっていて気持ちの良い自然光が差し込んできます。多くの建物には中庭があり、これは中国の生活に密接な風水に基づいて建てられたものです。
ライスボールは比較的米粒が残っていて、中華茶室よりもふんわりとした仕上がりです。フォークで崩してチキンと一緒に食べましょう。
艶やかなチキンは肉質が柔らかめ。骨が除かれていて食べやすい点も魅力的です。チキンライスに欠かせないチリソースと、甘めな中国黒醤油をかけていただきましょう。
こちらの店もランチ時には行列になるので、ピーク時をずらしての訪問をおすすめします。
古城鶏飯粒(FAMOSA CHICKEN RICE BALL)
和記からさらにジョンカーストリートを進むこと1分。マラッカだけでも4店舗あるチェーン店です。
店内は130席以上もあり、観光ツアー客も多く訪れます。サイドメニューが豊富に揃っていて、プラナカン文化の食の象徴であるニョニャ料理が楽しめます。
ぜひ店内を回ってみてください。100年以上も前に造られたという建物内は、まるで中国映画のワンシーンのような富裕層の生活が垣間見える空間です。
なんと一日に5,000個以上も作られているというライスボール。手作業ではなく機械で作られていました。米粒感はほぼなく、ご紹介した2軒よりもさらにねっとりとした重みがあります。これは食べ比べをしてみる価値がありそうです。
中華茶室同様に、地産の鶏肉は新鮮さを表す黄色味がかったもの。上品な肉質で自家製チリソースとの相性は抜群です。チキンライスは茹でたものが基本ですが、ローストしたチキンもあります。
午後9時まで営業しているので、ランチだけでなくディナーでの利用も便利です。
おわりに
チキンライスボールは、ねっとりとした重みのある食感。なじみのない食感に戸惑うかもしれませんが、天秤棒を担いで売り歩いた頃の面影を感じられるかもしれません。そんな情緒が似合うマラッカでチキンライスボールを食べてみませんか?