モンゴルの食は肉が中心であり、中でも羊肉がよく食べられています。羊肉はとても優れた食材であり、モンゴル人が厳しい環境の中で力強く生きる秘訣は、この羊肉に隠されているといっても過言ではありません。今回はそんな羊肉とモンゴル料理についてまとめました。
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モンゴルの羊肉について
食べられているのはマトン
羊肉といえばジンギスカンが有名ですが、この名前はモンゴル帝国初代帝王のチンギス・ハーンが由来しているといわれています。羊肉は独特な臭みがあり、苦手という方も多いでしょう。ですがモンゴルの羊肉は臭みが少なく食べやすいのが特徴です。理由は明らかではありませんが、エサとなる草に秘密があるとも考えられていて、西部と南部の羊は特に美味しく育つそうです。
そして羊肉と聞いてもうひとつ思い浮かぶのが、ラム肉のステーキですね。ラムとは生後1年未満の仔羊のことで、若い肉ほど臭みが少なく身がやわらかいです。ですがモンゴルでは子供の家畜は出荷しないというルールがあるので、口にするのはラムではなくマトンになります。
実はとても優れもの!羊肉の栄養価
羊肉の栄養価についてざっくり調べてみたところ、以下のようなことがわかりました。(あくまでも情報なため実際の効果効能については不明です)
- 高タンパク・低コレステロール
- ビタミンB群・ミネラルが豊富
- 脂肪燃焼に役立つカルニチンが豊富
- 9種類の必須アミノ酸がバランス良く含まれる
- コレステロールを下げる不飽和脂肪酸が豊富
- 女性に嬉しい鉄分が豊富
- 若さを保つ働きがある
- 代謝を促し、体温を上昇させる働きがある
これらを見る限りでは優良食材ということがわかりますが、良い部分を取り上げて説明すれば、なんでも素晴らしく思えてしまうものです。そのため実際に羊肉を食べているモンゴル人は、どんな傾向があるのかをみていきましょう。
日常的に羊肉を食べるモンゴル人
モンゴルの冬はマイナス30度を下回ることも珍しくなく、そこへ大陸の乾いた風が吹きつけます。現地の人はその厳しい環境で暮らすために、冬は意識的に羊を多く食します。羊肉は体温を高めるといわれていて、そのせいなのか彼らは旅行者に比べて薄着です。慣れといってしまえばそれまでですが、モンゴル人にも寒がりな人はもちろんいて、食生活でそれを補っているようです。
それから風邪で体調を崩したときは、数日もあれば回復するケースが多いです。日本では「もう2週間以上も引きっぱなし...」という声をときどき耳にしますが、そのように抵抗力が著しく低下している状態は、通常ではあまり目にすることがありません。
また筆者の主観ではありますが、モンゴルの男性に「草食男子」は少ないです。羊肉とは関係ないと思うかもしれませんが、近年見られる男性の「草食化」は、糖質過多の食生活が原因と説くお医者様もいらっしゃいます。モンゴルでは糖質となる炭水化物よりタンパク質の摂取量が明らかに多いので、ここはまったく無関係とはいい切れないかもしれません。
モンゴルの羊料理
チャンサン・マハ
羊肉を塩ゆでにしたモンゴル料理の定番メニューで、チャンサンは「煮る」、マハは「肉」を意味しています。大きな鍋に羊肉を入れ、ミネラルたっぷりのモンゴル岩塩で調理すると、とても美味しく仕上がります。茹であがった肉は小さなナイフを使って、骨からそぎ落としながら食べていきます。
ホニニ・チャンサン・トルゴイ
羊の頭を丸茹にしたものであり、見た目にもかなりインパクトのあるメニューです。羊は骨以外のカラダの部位はすべて食べつくすことができるといわれていて、頬、頭、舌、鼻、口、目のまわりなど、そぎ落とすとけっこうなボリュームになります。
ホルホグ
川の石と圧力鍋で作るパーティー料理です。野外で行うことがほとんどであり、大人数で楽しめる特別メニューです。鍋の中に熱した石と切った肉を交互に重ね、水を少し入れて1時間ほど蒸し焼きにすると、美味しいホルホグが出来上がります。
おわりに
モンゴルの食を支える羊肉は、栄養満点で美容や健康維持に役立つ優良食材です。それだけでなく料理をいただくことによって、モンゴル特有の遊牧文化・食文化も、一緒に体験することができるでしょう。モンゴルの羊は臭みが少なく食べやすいので、訪れた際には是非楽しんでみてください。