奈良県桜井市にある長谷寺は、全399段もあるトンネル状の登廊(のぼりろう)や、舞台造りの本堂など見どころの多いお寺です。中でも、身の丈約10メートル。木造としては日本最大クラスの十一面観音像は必見。なんと、春と秋の特別拝観時には、この400年以上もの歴史がある観音様の御足に直接触れて祈るという貴重な体験ができるんです!下から見上げる観音様のお姿は格別!そんな特別体験をしに、ぜひ長谷寺へ行ってみませんか?
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長谷寺の歴史
桜やぼたん、アジサイ、紅葉と、境内では四季折々の草花を楽しむことができ、「花の寺」としても知られる奈良県の長谷寺。
686年に道明上人(どうみょうしょうにん)が聖武天皇の病気平癒のため「銅版法華説相図(どうばんほっけせっそうず)」を安置したことがはじまりです。
その後、西国三十三所観音霊場を開いた徳道上人(とくどうしょうにん)が本尊の十一面観世音(かんぜおん)菩薩を祀り、長谷寺も三十三所めぐりの第8番札所となりました。万葉集などの古典にも登場するなど、古くから人々の信仰を集めるお寺です。
登廊を上がって、本堂へ
入口の仁王門をくぐると、目の前に現れるのが399段にも及ぶ登廊(のぼりろう)です。
平安時代の1039年、春日大社の社司(しゃし)中臣信清(なかとみののぶきよ)が子の病気平癒のお礼にと寄進したもので、上中下の3つに分かれています。
登廊を上ると、初瀬山(はつせやま)中腹の断崖に建てられた、国宝にも指定されている立派な本堂に着きます。
こちらの本堂正面には舞台が造られており、そこからは山下に広がる境内の様子を伺うことができます。
本尊 十一面観世音菩薩像に触れられる特別体験を!
本堂で拝むことができる本尊の十一面観世音菩薩像は、身の丈はなんと約10メートル。木造の十一面観音としては、国内最大クラスの大きさです。右手に錫杖(しゃくじょう)と数珠を持つ独特のスタイルで、「長谷寺式」と呼ばれています。
元々は、徳道上人が近江の楠の霊木でわずか3日間で造り上げたと言われる観音像を祀っていましたが、その後火災により焼失してしまったため、現在の像は1538年に造られたものです。
通常拝観が可能なご本尊ですが、春と秋の年2回、特別拝観の期間が設けられます。この期間中は、上の写真のように観音様の足に直接触れて祈るという貴重な体験をすることができます。
事前予約などは不要で、通常の拝観料(500円)とは別に特別拝観料(1,000円)を支払うだけ(2017年秋の特別拝観時期、セット割引1,300円のチケットあり)。
本堂内に入ると、特別拝観記念の「結縁の五色線(けちえんのごしきせん)」をいただけます。
五色は仏の五つの知恵を表しており、これを身に着けることで観音様とご縁が結ばれたというしるしとなります。この腕輪をはめ、薄暗い堂内を観音様のもとへ向かいます。
真下から見上げる10メートルの観音様の迫力は相当なもの。ですが威圧感などはなく、慈悲に溢れたお顔を見上げたあとに足元で祈りを奉げると、それだけで心が救われる気分になります。
ご本尊以外の見どころもぜひ!
本堂脇にある大黒堂には、弘法大師作と伝わる尊像が祀られ、商売繁盛や金運祈願、また台所を守り食物を満たすご利益があると言われています。
堂前には触れて祈願できる福袋や、打ち出の小づちの石像があります。
本堂の舞台からも見える五重塔は、昭和29年戦後初めて建てられた五重塔で「昭和の名塔」と呼ばれています。
また、大講堂や書院などがある本坊は、徳川家に寄進されたものですが、残念ながら当時の建物は火災により焼失。現在の堂宇(どうう)は1924年に再建されたものです。本坊前からは、山の中腹に佇む本堂の様がよく見えます。
最後に
通常、触ることはおろか、見ることさえ許されないご本尊が多い中、間近で見ることができる上に御足に触れることさえできてしまうのが長谷寺の十一面観世音菩薩像。
長谷寺へはぜひ、この貴重な体験ができる特別拝観期間中に行かれることをおすすめします。なお、年2回の特別拝観の時期につきましては、長谷寺ホームページにてご確認ください。
- 長谷寺
- 奈良 / 寺 / 縁結びスポット / あじさい名所
- 住所:奈良県桜井市初瀬731-1地図で見る
- 電話:0744-47-7001
- Web:http://www.hasedera.or.jp/