約880万人の人が住む関西の経済の中心「大阪府」は、府内の多くの地域が開発されており、特に大阪市近郊には、マンションや一戸建て住宅が立ち並んでいます。一方で、古くからの伝統的な家屋が残っている地区も意外と多く、今も風情ある町並みを保っています。今回はその中でも、大阪随一の規模で伝統的な家屋が残る「富田林寺内町」を紹介します。江戸時代の町屋がずらりと並んでいる様子を見ながら、歩いてみませんか?
この記事の目次表示
富田林寺内町(とんだばやしじないまち)の歴史
大阪府東南部の富田林市には、江戸時代の雰囲気が今に残る「富田林寺内町」と呼ばれる場所があります。この地区は、お寺を中心に発展した「寺内町」で、伝統的な町屋が立ち並ぶ景観は素晴らしく、一帯は大阪府で唯一の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。
宗教自治都市としてスタート
戦国時代の永禄初年(1558~1561年)に、京都、興正寺(こうしょうじ)の証秀が、現在の大阪府南河内地域にあった「富田」と呼ばれる荒地を、境内地として購入しました。その後周辺の4つの村の庄屋とともに、この土地を寺内町として開発し、興正寺別院を建立しました。
商業の中心として発展
江戸時代、幕府の直轄地となった富田林寺内町は、独立した町の機能を持つ「在郷町」として発展します。周辺は米や綿、菜種の栽培がさかんになり、農作物を扱う商人も増えました。また、米や水が豊富にあった富田林では、酒造業も栄えました。当時の記録によると、町内では7軒の造り酒屋があったそうです。
近代化により、人の流れが変わる
明治時代にかけても、寺内町周辺は発展し、郡役所や警察署が置かれました。しかし、近代化により鉄道や国道が開通すると、しだいに人は駅前に移るようになりました。さらに自動車も普及したため、人の流れが大きく変わり、寺内町は静かな町になりました。
富田林寺内町を散策しよう
富田林寺内町を歩いてみましょう。歴史ある町屋を見学し、古い時代にタイムスリップした気分を味わってみるのも楽しいものです。まずは、じないまち交流館や、寺内町センターで富田林寺内町について学ぶと、より興味を持って散策できるでしょう。寺内町の散策に便利な地図も置いていますよ。
- じないまち交流館
- 大阪 / 観光案内所・ビジターセンター
- 住所:大阪府富田林市富田林町9-29地図で見る
- 電話:0721-26-0110
- Web:http://park10.wakwak.com/~kouryukan/
- 寺内町センター
- 大阪 / 観光案内所・ビジターセンター
- 住所:大阪府富田林市富田林町15-4地図で見る
- 電話:0721-25-1000
- Web:http://www.tondabayashi-city.jp/museum/search/deta...
興正寺別院
興正寺別院は、永禄3年(1560年)に京都の興正寺、証秀によって創建されました。富田林寺内町は、この寺院を中心に、発展を続けてきました。境内にある本堂、鐘楼、太鼓楼などの建造物は、国の重要文化財に指定されています。
- 興正寺別院
- 大阪 / 寺
- 住所:大阪府富田林市富田林町13-18地図で見る
- 電話:0721-23-3555
- Web:http://tondabayashi-navi.com/miru/kousyouji.html
城之門筋
城之門筋は、興正寺別院の前にある、風情ある通りです。綺麗に保存された町屋、そして興正寺別院の鐘楼、太鼓楼が並ぶ様子は、寺内町の代表的な景観です。城之門筋は、「日本の道百選」にも選定されています。
- 城之門筋
- 大阪 / 町・ストリート
- 住所:大阪府富田林市富田林町地図で見る
- Web:http://www.tondabayashi-city.jp/museum/search/deta...
旧杉山家住宅
杉山家は、富田林寺内町の造営にかかわった八人衆の、代表的存在でした。もともとは木綿の問屋を営んでいましたが、その後は酒造業も手掛けるようになり、河内地区の酒造業の取りまとめ役として活躍した大商家でした。
非常に大きく立派な家屋は、江戸時代中期頃の建造と言われており、寺内町で最古の建物となっています。寺内町が栄えていた当時が想像できる町屋は、見学することもできます。
仲村家住宅
仲村家は、杉山家と同様に、寺内町造営にかかわった八人衆の一人で、かつての屋号は「佐渡屋」でした。江戸時代には酒造業を営んでおり、天明5年(1785年)には、河内で最大の出荷量となるなど、大変繁盛していたそうです。18世紀後半ごろに建築された建物は、大阪府の指定文化財になっています。
- 仲村家住宅
- 大阪 / 建造物 / 歴史的建造物
- 住所:大阪府富田林市富田林町16-31地図で見る
- 電話:0721-25-1000
- Web:http://tondabayashi-navi.com/miru/nakamurake.html
佐藤家住宅
佐藤家住宅は、文政3年(1820年)に建築されました。佐藤家では、古くから味醂(みりん)の醸造をしていました。現在では醸造を行っていませんが、敷地内には土蔵が残っています。また味醂の醸造をしていた「紅梅蔵」は改装されて複合店舗となり、新しいお店が営業しています。
旧万里春酒造酒蔵(きゅうばんりのはるしゅぞう)
富田林寺内町には、江戸時代に日本酒を造る酒蔵が多数あり、大変繁盛していました。しかし次第に衰退し、比較的遅くまで醸造していた万里春酒造も、昭和57年には廃業してしまいました。ですが万里春酒造の酒蔵や看板は今でも残されており、酒造業が栄えた当時の姿が偲ばれます。
- 旧万里春酒造
- 大阪 / 建造物 / 歴史的建造物
- 住所:大阪府富田林市富田林町21-22地図で見る
- Web:http://www.tondabayashi-city.jp/museum/search/deta...