佐賀県にある吉野ヶ里遺跡は弥生時代の日本最大の遺跡です。今から2,000年以上前の日本はどんな姿だったのでしょうか。当時の集落の様子を復元した吉野ヶ里歴史公園を歩けば、気分は弥生人。大人から子供まで楽しめる魅力たっぷりの吉野ヶ里歴史公園をご紹介します。
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吉野ヶ里遺跡とは?
紀元前4世紀頃から紀元3世紀頃の弥生時代。日本に稲作文化が起こり、それまでの狩猟・漁業中心の生活から人々の暮らしは大きく変わりました。そしてこの農耕生活をきっかけに、水の権利や余剰生産を巡っての争いが起こるようになりました。その結果、外敵から周囲を守るために、周囲に濠を巡らせた環濠集落が生まれました。
吉野ヶ里遺跡は、佐賀県神埼郡の旧神埼(かんざき)町・旧三田川(みたがわ)町・旧東脊振(ひがしせふり)村の3つの町村にまたがった日本最大の弥生時代の環濠集落遺跡です。1986年頃から発掘が進められ、墳丘墓や多数の甕棺墓、100軒以上の竪穴住居跡などが発見されました。
現在は、吉野ヶ里歴史公園として整備され、「弥生人の声が聞こえる」をテーマに、復元された当時の建造物を通じて、弥生時代の人々の暮らしを体験できる貴重な場所となっています。JR吉野ヶ里公園駅から徒歩約15分とアクセスも良好です。
吉野ヶ里歴史公園で、弥生時代の暮らしを見てみよう!
年々拡張を続ける「吉野ヶ里歴史公園」
吉野ヶ里歴史公園は、遺跡発掘が完了したエリアから順次公園として整備されており、平成13年の開園当初から拡張を続けています。平成29年7月15日の段階で、その広さは約104.0ha!園内は循環バスも走っており、それを使ってまわることもできます。
広い公園内は、「入口ゾーン」・「環濠集落ゾーン」・「古代の森ゾーン」・「古代の原ゾーン」の4つのエリアに分かれています。入園料は大人460円。中学生以下のお子さんは無料となっています。
それでは、建造物が復元されている「環濠集落ゾーン」を中心に、各エリアを紹介していきます。
入口ゾーン
東口側にある歴史公園センターを中心とする入口ゾーン。レストランやお土産屋さん、吉野ケ里遺跡についてのパネル説明が展示されているガイダンスルームなどがあります。園内の情報や、遺跡についての予備知識をこちらで得ることができます。なお、こちらの入口ゾーンはチケットなしで入ることができます。
環濠集落ゾーン
入口ゾーンでチケットを購入し、まずは公園のメインとなる環濠集落ゾーンへ。
この環濠集落ゾーンはさらに細かく分かれており、それぞれ特徴的を持っています。
南内廓
集落の中心区域の一つで、吉野ヶ里の指導者たちの生活の場であったと考えられています。物見櫓4棟、竪穴住居11棟などが復元されています。
南内廓の入口にある櫓門や、内部にある物見櫓では四方に盾を置き、出入りする人たちを兵士が見張っていました。ここが防御を強く意識したエリアであることがうかがえます。門や物見櫓のいくつかは実際に上って周囲を見渡すこともできます。
集落に復元された住居にも入ることができます。建造物には一つ一つ説明書きのパネルが置かれているため、それらがどのような役割をもったものなのか学びながら見学することができます。
北内廓
吉野ヶ里を中心とする「クニ」の祭りや政治の中心で、最も重要で神聖な場所であったと考えられています。そのため、当時は指導者たちだけが出入りできた場所だったようです。その北内廓の中でも存在感を発揮しているのが主祭殿です。
集落内最大の建物で、支配者層が集まり田植えや稲刈り、祭りの日どりなどの重要事項を話しあったり、最高司祭者(巫女)が祖先の霊に祈りを捧げる儀式が執り行われていたそうです。
北墳丘墓
北内廓の北側にある北墳丘墓は人工的に土を固めて作られており、集落の歴代の王、またはそれに近い身分の高い人物のお墓と考えられています。こちらの墳丘墓内部は展示室になっていて、実際に発掘された状態での遺構と本物の甕棺(かめかん)を見学することができます。
埋葬時期は2200~2100年前とされ、14基の甕棺が出土しました。甕棺はこの時代の北部九州特有の棺です。銅剣や管玉などの副葬品があったことから、身分の高い人たちの墓と推定されています。2000年前にこの地で眠った王たちを間近で感じられる貴重な場所です。
倉と市
盛大な市が開かれたり、取引される品々が保管されていたと考えられる吉野ヶ里の交易中心地です。ものを補完する倉庫などが復元されています。
南のムラ
古代中国では、北が上位、南が下位と考えられていました。その考えに影響されて作られた吉野ヶ里集落の中で最も南に位置するこの場所は、「下戸(げこ)」と呼ばれる一般の人々が暮らしていたと考えられています。200人ほどが暮らし、農作業や支配者層の人々の世話などの労働を行っていました。
古代の森ゾーン
人々が住み始める前、吉野ヶ里の丘陵地にはシイやカシなどの照葉樹林が連なっていたと考えられています。公園の北側にあたるこのゾーンでは、それらの往時の森の復元をはかり、主に森や自然を通じての学習・体験ができるようになっています。
甕棺墓列
遺跡内からは約3,000基の甕棺墓が発掘されていますが、そのうち約1,000基がこの古代の森から発掘されました。先に紹介した北墳丘墓と異なり、こちらは一般の人々の埋葬地であったと考えられています。全長300m、約500基の墓列が再現されています。
古代植物の森
弥生時代の森に近い植生を再現しており、遺跡エリアとはまた違い、自然を通じて当時の様子を感じることができます。
古代植物館
植物資料の展示や、森を通じた様々な学習体験ができます。
古代植物館を含め、その他の施設で体験できるプログラムはこのように入口で案内されていますので、やってみたい方は事前に確認しておきましょう。
古代の原ゾーン
公園内のプレイゾーン。ローラー滑り台や複合遊具、グラウンドゴルフ、バーベキューなど大人から子供まで楽しめるエリアです。遺跡風景を眺めながら、広大な芝生でピクニックができるのは日本でここだけではないでしょうか。
さいごに
じっくりと復元遺跡を見学するだけではなく、体験プログラムを通じて弥生時代を学んだり遊具やバーベキューで楽しんだり、と様々な過ごし方が楽しめる吉野ヶ里歴史公園。ここでしか感じられない弥生時代の息吹、ぜひ皆さんも感じてみてください。
- 吉野ヶ里遺跡
- 佐賀 / 遺跡・史跡 / 公園 / 観光名所 / パワースポット / 遊び場
- 住所:佐賀県神埼郡吉野ヶ里町田手1869地図で見る
- 電話: 0952-55-9333
- Web:http://www.yoshinogari.jp/