滋賀県東近江市の太郎坊宮は、勝利と幸福を授ける神様として知られ、近年はパワースポットとして人気です。長い石段を登れば、岩盤にへばり付くようにして立つ社殿が見られます。本殿の舞台からは東近江の街を一望する景色が楽しめます。
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太郎坊宮とは
太郎坊宮(たろうぼうぐう)は、滋賀県東近江市にある神社です。赤神山(あかがみやま)という山の中腹あたりにあり、創建は約1400年前と古いです。正式には、阿賀神社(あがじんじゃ)といいますが、地元では太郎坊さん、太郎坊宮などと呼ばれて親しまれています。
勝利と幸運を授ける神様として信仰され、さらにご利益がすぐに現れる大神としてたたえられているので、企業の経営者やスポーツ選手も参拝しているそうです。
境内には、間を通り抜けることができる大きな岩盤「夫婦岩」や、湖東の景色を一望できる本殿、一願成就社といった見どころがあります。
太郎坊宮に参拝しよう
太郎坊宮に参拝してみましょう。ふもとの鳥居から本殿までは急な石段が700段以上続いています。体力がないと登るのが大変ですが、車で訪れて社殿に近い駐車場に停めると、石段は250段ほどとなり、少し楽に参拝できますよ。
駐車場
太郎坊宮の駐車場は、社殿に近い「中腹駐車場」のほか、ふもとの「登山口駐車場」、「神田前駐車場」、近江鉄道「太郎坊宮前」駅に近い「太郎坊宮駅前駐車場」があり、いずれも無料開放されています。休日やお正月などは混雑するそうですが、中腹駐車場の利用がおすすめです。
筆者は、近江鉄道「八日市駅」からタクシーに乗り、中腹駐車場まで送っていただきました。所要時間は10分ほどで、料金は1,200円でした。
表参道
中腹駐車場から少し西に進み、ふもとからの参道に合流します。こちらは表参道と呼ばれており、急な石段が本殿まで続いています。
本殿まで石段を登るのが難しい方は、中腹駐車場にある祈祷殿でお祈りをすると良いでしょう。こちらでお守りを購入することもできます。
参集殿
少し階段を上り、右手にあるのが参集殿です。境内でもっとも大きな建物で、朱色の外観なので、ふもとからもよく見えています。こちらは、土産物を販売する売店、お守りの授与所、休憩所を兼ねた建物となっています。
本殿まではまだしばらく石段を登る必要がありますが、こちらの景色も良いものです。参集殿内には、「天空カフェ」があり、眼下に広がる景色を楽しみながら飲み物をいただくことができます。ふもとから登ってきた方には、ちょうど休憩するのに良い場所でしょう。なお、軽食や食事のメニューは無いようですので、ご注意ください。
拝殿
参集殿から急な階段をさらに登ると、左手に拝殿が見えてきます。神社の祭儀を行う建物で、後ろには神楽殿が付帯しています。江戸時代からこちらにあるそうで、歴史を感じさせる建築です。
拝殿の周辺は、境内でも紅葉の美しい場所だそうです。筆者は11月の上旬に訪れましたが、少し赤く色付き始めた紅葉が見られました。特に拝殿から少し登った夫婦岩の手前あたりは、眼下に広がる東近江の景色と紅葉が楽しめるので、おすすめです。
夫婦岩
拝殿からさらに進むと、大きな岩が目の前に見えてきます。切り立った岩が二つ並んでいるので、夫婦岩と呼ばれています。この岩と岩の間には、隙間があり、通り抜けることができます。
幅80センチほどの狭い道を通るとき、願い事を念じると願いが叶うといわれています。しかし、叶うのは良い心を持った人だけで、悪い心を持つ人が通ると、岩に挟まれてしまうという、ちょっと怖い言い伝えがあります。
筆者が通った際、前後の参拝者と間隔が空いていたため、岩を眺めてみましたが、とても迫力がありました。岩を通ると気分がすっきりとしたような気がするので、皆さんもぜひ願い事を念じながら通ってみてください。
本殿と展望台
いよいよ本殿が見えてきました。長く続いていた上りの石段も、こちらでようやく終わりです。本殿は、江戸時代の建築で、国指定有形文化財に登録されています。こじんまりとした建物ですが、急な岩盤にへばり付くようにして立っている様子が珍しいですね。
本殿の前には展望台があります。こちらは、京都・清水寺などで見られるような懸造りの舞台になっており、高さは13メートルあります。昭和の頃にコンクリート製に改築されましたが、建築当初は木の床だったそうです。
舞台からは東近江の街を一望できます。筆者が訪れた際には、やや霞んでいましたが、田園風景や遠くの山々も見渡せ、爽快な気分を味わうことができました。
こちらは西側の景色です。お隣の近江八幡市方面も少し眺められます。
裏参道
本殿からは、裏参道の石段を下り、ふもとへと戻りましょう。裏参道は、表参道の男坂に対し、女坂とも呼ばれています。途中には、一願成就社や絵馬殿と言った社殿があるので、立ち寄ってみてください。
七福神の石像
裏参道の石段を下りていると、七福神の石像が見られます。勝運の神の毘沙門天、除災の神の福禄寿など、7つの神様が斜面に安置されているので、足元に気を付けながらお祈りしてみてください。
一願成就社
一願成就社は、参拝者の心の中にあるただ一つの願い事をかなえてくれる神様がおられます。お百度詣りなどにより、病気平癒や受験合格の祈願をする人が多いそうです。
絵馬殿
絵馬殿まで下りてきました。大正時代に建築された木造平屋建ての建物には、古い絵馬が奉納されています。境内の一番下にある社殿で、ベンチが設置されているので、休憩するのに適しています。
こちらには、太郎坊宮の麓のだんご店「ふる里食品」さんのお店が出ていることがあります。地元の近江米の米粉を使ったお団子がいただけるので、ぜひ味わってみてください。出店予定は、お店のSNSに掲載されています。
筆者が訪れた日は、ちょうど出店されていたので、「太郎坊だんご」(3本400円)をいただいてみました。だんごは焼き立てで、ほんのりと温かく、ふっくらとしています。たれは醤油と甘さのバランスが絶妙で、また団子自体にもお米の甘みが感じられるため、美味しくいただくことができました。
絵馬殿から中腹の駐車場までは、歩いてすぐです。少し歩くと石段を横切り、祈祷殿に出るので、これで境内の社殿を回ったことになります。車でお越しの方は、気を付けてお帰り下さい。ふもとの駐車場に停めておられる方、電車の方は、もう少し石段を下りましょう。
石段を下りてふもとからの景色も楽しもう
祈祷殿まで戻ると、境内を一周したことになりますが、まだ見どころはあります。ふもとから見る赤神山や太郎坊宮も美しいですよ。
鳥居の並ぶ石段
祈祷殿横からは、ふもとへと続く石段が長く続いています。石段には、奉納された鳥居が多数並んでいます。太郎坊宮が、多くの方から信仰されていることがうかがえますね。途中に休憩スペースもあるので、休みながら下りていきましょう。
成願寺
さらに石段を下り、ふもとに近付くと、成願寺というお寺が見えてきます。こちらは、最澄が開いた寺院で、ご本尊として薬師如来が祀られています。太郎坊宮の神宮寺として建てられたもので、太郎坊大権現とも呼ばれます。
成願寺を過ぎると、長かった石段も終わりです。ここから神社の最寄り駅、近江鉄道の「太郎坊宮前」駅までは、約800メートル、徒歩12分程度です。
鳥居と麓から見る太郎坊宮
駅の方向に少し歩いてみると、赤神山と中腹にある社殿が見えてきます。標高約350メートルと低い山ですが、とがった形のためか、かなり高い山のように見えますね。中腹あたりから岩盤が露出しており、そこに太郎坊宮の社殿がへばり付いて立っているのが良く分かるでしょう。
田んぼの中の道をまっすぐ進むと、一の鳥居があります。この前を横切る道路を渡れば、太郎坊宮前駅へはすぐです。
おわりに
傾斜のある太郎坊宮の境内を巡るのは、日ごろ運動不足の方にはきついでしょう。しかし、それを忘れさせてくれるほどの景色や見どころがあり、参拝後はすがすがしい気分にさせてくれるものです。何か特別なお願い事があるときだけでなく、気分転換したいという時にも参拝してみてはいかがでしょうか。
- 太郎坊宮
- 滋賀 / 神社 / 夜景 / 紅葉 / パワースポット / 穴場観光スポット
- 住所:滋賀県東近江市小脇町2247地図で見る
- 電話:0748-23-1341
- Web:http://www.tarobo.sakura.ne.jp/